弁護士 松井淑子

6コース、孤高のトライアスリート。税務と法務の狭間の世界をその水平線のその先へと、40…

弁護士 松井淑子

6コース、孤高のトライアスリート。税務と法務の狭間の世界をその水平線のその先へと、400TT9分20秒の速度で気持ちは、暗闇の中、雨の中、負けずにほふく前進。

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最近の記事

「追われ者 こうしてボクは上場企業社長の座を追い落とされた」クレイフィッシュ元社長松島庸(2002年4月、東洋経済)

1 「追われ者」を読んだ興奮2022年12月の年末も押し迫った時期、本棚にありながら10年近くも読んでいなかった「追われ者」の背表紙を見て、ふと手に取り読み始めたら、止まらなくなり、1月1日に読了。 ダークな年明けになってしまった。 とはいえ、2022年正月も、確か最初のインパクトは、Netflixの4話もので見た「ジェフリー・エプスタイン:権力と背徳の億万長者」で、ダークだったので2023年の正月も似たようなものか。 「追われ者」は、会社での攻防、ソシオパスか、詐欺師か

    • 「バガヴァッド・ギーター」を読んで考えたこと(現状)

      岩波文庫「バガヴァッド・ギーター」、なぜか2013年4月購入部屋にいて、その日、なぜか目について手に取った岩波文庫の本。「バガヴァッド・ギーター」。買った記憶は全くなし。 ただ、後からアマゾンで検索したら、2013年4月に購入していた。なぜその時、買ったのか。 間違っているかもしれないけど、微かな記憶は、シン・テジュンさんか誰か、そうした感じの人の読書記録を見て、感化されて買ったのではないかと。 ただ、一度も開いたことはなく。 なぜかスルスルと読める、読んでしまう物語は、

      • 進展、前進

        1 空中戦 理解をできないだけなのかもしれないけど。事実認定、法律の適用、法の適用による問題解決について議論をするとき、あるべき答えは一つということは法律の場合、全くないとは思うけど。  ガクッと力が抜けるときがあるのは、話が噛み合わない、それは空中戦ではないかというときです。 2 先人への敬意の有無なのか 共通言語がある、ない、という言い方をすることがありますが、それは何故なのかと考えると。その世界、業界におけるそれまでの歩みを踏まえていないということなのかと。

        • 読書記録_英米法総論

          気がつけば、前回、noteに書いてから早、半年近く経ってしまっていました。 1 スタンダード法人税法第2版を読んで 「スタンダード法人税法」を通読しようと読んでいて、「パラツィーナ事件」のことが書かれており、そういえば、昔のブログで映画フィルム事件として、「もうかったのは誰?」というようなタイトルで、エクセルで関係図を作って記事に書いていたなと思い出し、ググってみたところ、久しぶりに自分の2000年代のブログを読んで、書いていると考えているし、読み返してもこんなことを考えて

        「追われ者 こうしてボクは上場企業社長の座を追い落とされた」クレイフィッシュ元社長松島庸(2002年4月、東洋経済)

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        • tax ! 孤高の税法?
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        記事

          「事実」を確認して、「事実」に基づき行動選択するということ。ただ、それを伝える手法も大事ということ。

          1 帯を見て購入堀栄三さんの「大本営参謀の情報戦記ー情報なき国家の悲劇ー」(1996年、文春文庫)を読みました。梅田の丸善ジュンク堂に行った時に見かけて買ったものです。 帯では、確か、LINEからZOZOに転職されたtwitter等で発言をいろいろとされている坊主頭の方の推薦文があり、それで手に取ったものです。 読み始めると、面白くて止まらず、お風呂に入りながらの時間で数日で一気に読みました。 2 「事実」ー疑い、精査することー267頁 堀が情報参謀として実戦で行って

          「事実」を確認して、「事実」に基づき行動選択するということ。ただ、それを伝える手法も大事ということ。

          債権法改正

          2017年5月26日成立、翌6月2日に公布され、いよいよ来年2020年4月から施行されるという民法の債権に関する法律改正について、税理士向けでの改正解説の依頼を受けました。 原稿については、最初の著書となる「税理士・弁護士のための税務調査のあとの不服申立てガイド」のときは、出版社の編集者の方を紹介してもらい、自身で企画を持ち込み書籍化してもらいました。 その後、いろいろと企画のアイデアが出ているところ、幸運なことに、まさにその企画を実現する内容となるお話を他の編集者の方か

          ソフトクリームとあんこ

          ソフトクリームも好きだし、あんこも好きだし、ただ、この二つが出会うことはクリームあんみつのときくらい。 支部にて。遺留分減殺請求の調停。終わってから、依頼者の方と喫茶店で改めて親族の縦の関係、横の関係をお聞きして、やはり前のめり。 ファミリーヒストリー。 聞きながら、気分は、ミスマープル。 なぜ今こんなことになっているのか、過去を遡って思いを巡らせる。それぞれの立場に立ってみる。 お金の問題だけど、実はお金の問題ではない人間関係の問題。 私にとっては、相続事件のやり

          ソフトクリームとあんこ

          推して知るべし

          評価は別にして。 単純に考えて。 受験者数2万5000人からその年の合格者500名なり700名なりだった年の人々と、 受験者数5000人でその年の合格者1500人の年の人々とで、なんらかの違いがあるであろうことを否定することはできない。 ただ、合格はスタートなので、その後、退化していく人もいれば、驚くような成長を遂げる人もいるというだけ。 要は。走り続けないといけないというだけ。 仕事で長野泊の日の朝。 6時に、ホテルから善光寺まで走る。その後、犀川まで。

          推して知るべし

          言葉の力

          2019年9月14日日経朝刊、半歩遅れの読書術。 文芸評論家川崎賢子さん。 彼女は「私はニグロではない(私は日本人である、あるいは私をニグロと呼ぶな)」という名乗りが包含する差別意識を、「私はニグロだ」と称することで解体する。 私がいま「非色」のヒロインに見出すのは蔑称(ヘイト言説)をのみこんで解体する言葉の可能性である。 差別意識を解体する、のみこんで解体する、それは言葉の力、という点ではっとさせられる。 言葉の持つ力。目にした時、耳にした時、口にした時。 ありきた

          多種大量に読んで、様々な職種の人と話をするから、分かる差分

          1 違う世界に出て、違う人々と一緒に仕事をするということ2010年から2014年まで、国税不服審判所で国税審判官として勤務させてもらいました。そこでの4年間の経験は、いまだに、本当に得難いものであったと感謝しています。 弁護士業だけをしていたそれまでの10年間とは異なり、法律文書として書かれた、いろいろなバックグランドの人が書いた書面を読み、また、自身が書いた書面、文書についても、法律家以外の人が読んだり、あるいは、審判所に出向している裁判官に読まれて具体的な指摘を受けたり

          多種大量に読んで、様々な職種の人と話をするから、分かる差分

          私宅監置の報道ー記録の意味についてー

          1 刻みつけることの意味たまたま、朝日新聞のデジタル版で目にした記事。私宅監置というものについて。 「窓ない小屋に13年、精神障害者『合法』で閉じ込められ」という記事。 沖縄在住のテレビディレクター原義和さんが、記録を続けているという。 当事者にすれば悲惨な歴史だし、それはつまりこの国の歴史でもあるわけだけれども、そうしたことを記録に残すことの意義がふと胸に迫りました。 思い出したのは、キリスト教に関する聖人についての取り扱い。 星野博美さんの「みんな彗星をみていた

          私宅監置の報道ー記録の意味についてー

          法律とその歴史

          今更ながらに当たり前のことを実感する日々がここ数年、続いています。 法律を知る、使えるということについて、本当にそのように語るには、その法律ができる前と出来てからの30年、40年という歴史を知っていないといけないといことです。 2019年1月、gacco というウェブでの授業サービスによって、東北大学の水野紀子先生の「家族と民法」という無料連続講義を受講しました。 そこでは、第1週、確かたった90分で次のような盛りだくさんの内容が語られました。 第1週:日本家族法の成

          法律とその歴史

          口頭意見陳述ー国税不服審判所ー

          1  国税不服審査の手続きの一環として、口頭意見陳述なるものを行いました。初めてです。 国税通則法95条の2に基づくものです。 2 自身が平成22年から平成26年まで国税不服審判所に勤務していた際にもあった手続きだったかとは思いますが、文字通り、請求人が意見を述べて、はい終わりという手続だったように思います。私自身は審判官として実施したこともなく。 異議申立て手続で実施されていた記録を見ただけのような曖昧な記憶です。 では、審判所時代、全く書面だけだったのかという

          口頭意見陳述ー国税不服審判所ー

          第二次納税義務

          1 判例時報 判例時報平成31年1月1日号の判決録、1つ目は、なんと第二次納税義務についてのものでした。 津地方裁判所平成30年3月22日です。担当裁判官は次の3名。岡田治、伊藤美結己、大久保陽久。 津地方裁判所には現在、平成30年に提訴した課税処分取消訴訟が1件、係属しています。 上記の3名とは異なる合議体ですが、三重県の津という一地方裁判所において第二次納税義務というマニアックな論点についてどのような判断がされたのかと目を引き、興味深く読みました。 2 争点ー訴

          第二次納税義務

          美しいもの、美味しいもの

          北区西天満の翁の牡蠣そばです。目の前に出された瞬間、目にした瞬間に、はっと息をのむ美しさを感じます。 翻って。 汚いものとは。 目にした瞬間に目を背けたくなるもの、耳にした瞬間に思わず顔が歪むような言葉、口にした瞬間、吐き出したくなるような食べ物。 何をもって美しいと目を奪われ、何をもって汚いと目を背けたくなるのか。 考えると。それは、それらを目にする人、耳にする人、口にする人に対する心遣いの有無ではないかと考えます。丁寧さと粗雑さ。作り出すものに対する、受け手のこ

          美しいもの、美味しいもの

          課税処分をめぐる争いー不服審査と裁判ー

          1999年に弁護士登録をして、弁護士として働き出して早20年。その間、4年間ほど、国税審判官をさせてもらい弁護士業を離れて、再度また弁護士として働き出して早4年。 おかげさまで、修習生の時からたずさわってみたいと思い続けていた税務、税法関係の事件をいくつか担当させていただくに至っております。 やはり、面白い。税法、課税処分をめぐる紛争。好奇心を刺激するやりがいを感じています。 ただ、いかんせん、今や少しオーバーワーク気味で、空回りしつつあるような気がしないでもないのが辛

          課税処分をめぐる争いー不服審査と裁判ー