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命について

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記事一覧

一競馬ファンとして、一人の人間としての命との向き合い方

藤岡康太騎手が先週の落馬により、亡くなりました。好きな騎手でした。差し追い込み馬で軸馬にして、負けたら諦めのつく、実力はあるけど、人気はそこまでしない、一馬券購入者にとって、迚も有り難い騎手でした。今週も、来週も、そして来年もいる筈だった。一瞬のことで、いとも簡単に命を落としてしまう、危険を伴うものであることは、頭では理解していたつもりでも、こういうことが起きてしまうと、やっぱり胸にくるものがあ

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京阪杯の頃 2023

僕の大好きだった馬、ファンタジスト。彼が競走を中止し、亡くなった京阪杯から、もう、4年の時が経った。彼のことを考えると、胸が締め付けられる様な気持ちになった時期もあった。ただ、今はもう、それだけではない。今年の小倉2歳で彼の全弟アスクワンタイムが、思い出させてくれた。鮮明に、ターフの上で輝く彼の姿を。小倉2歳でのアスクワンタイムの叩き合いは、まるでファンタジストの京王杯2歳の様に僕には見えた。嬉

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ありがとう、望来。ありがとう、アスクワンタイム。

ありがとう、望来。ありがとう、アスクワンタイム。

ありがとう、望来。ありがとう、アスクワンタイム。望来上手くなったなあ。そう思った。外回して差せる馬に乗っているのを解って、外回す。そして、きっちり勝ち切る。あまり望来に注目してレースを見ることがなかったから、昨日まで、ここまで上手くなっているのは、正直、知らなかった。ワールドオールスターの週か何かの未勝利戦で望来上手いなと思ったレースがあったが、重賞で実力馬に乗って、能力をしっかり引き出して。勝

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スキルヴィングが、好きだった人へ

何度でも見返したいレースがある一方で、当然、見返したくないレースもあるけれど、今年のダービーは、後者。それは、レースがどうだったとかではなくて、馬が亡くなったレースは見るのが辛いから。それは死と向き合っていないとかではなく、死を受け入れるのは、時間がかかるし、辛いことだから。一番好きだった馬が、突然亡くなった僕だから、その辛さは痛い程解っているつもり。スキルヴィングが好きだった人は、これから何年

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あの京阪杯に、あの日のことを心の片隅に抱えながらも、僕は進む。

故安倍元総理の国葬で、菅義偉前総理が言った。
「あなたがいなくても、時は過ぎる。無情でも過ぎていく」

僕は、ファンタジストという馬に惚れ、ファンになり、できる限り現地で見たが、あの日は現地には行けなかった。ただ、今思えば、行けなくて良かったと思う。現地にいたら、一生のトラウマだったと思う。3年前の京阪杯、彼は淀に散った。急性心不全だった。京阪杯の度に、彼のことを思い返す。僕の人生のあの時期は、

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彼の最期のレース、京阪杯が、彼女にとっても最後のレースに。

今でも鮮明に思い出す、彼、ファンタジストの勝った京王杯2歳を。友人と二人で行った、府中。二人とも彼の単勝を握りしめていた。ハナ差凌いだのが判った瞬間(とき)の興奮を、昨日のことの様に思い出す。あの時の2着が、彼女、アウィルアウェイだった。

彼は、突然、いなくなった。遠くへ。僕もいつかは行くであろう、遠いどこかへ。
あれは、ジャパンカップが終わった後、京都の12Rに彼が出るのをradikoで

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ファンタジスト、一周忌。彼がどうしても生きたかった、今日。

ファンタジスト。彼が京阪杯で競走中に亡くなってから今日で丁度、一周忌。彼が亡くなった日に、生きる希望だったJCの落選を知る。彼の命日に、彼の処へ旅立つ。そんな軽率で、美しくって、劇的(ドラマチック)な人生があって良い。なんて考え乍ら、彼に想いを馳せる。
そんな時だった。ふと、頭を過ったのは。
彼がどうしても生きたかった明日という日が続いて、一年が経ち、今日、今、そして今書いているこの瞬間が、

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ファンタジストを見に行って、ハナ差凌いだあの日

今日、2020年02月02日、アウィルアウェイがシルクロードステークスを勝ち、これが彼女にとって初重賞制覇となった。彼女の所為で胸に仕舞いかけていた想い出が、呼び起こされた。

2年前ー。京王杯2歳ステークスのその日、僕は東京競馬場に友人といた。彼、ファンタジストを見る為に。多くの人にとってはその季節にある、幾つかの2歳重賞の一つでしかなかったと思う。そしてそれは多くの人にとってはメインイベン

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忘れる頃

数年の月日を経た頃、彼の事はきっと皆の記憶から消えているのだろう。少なくとも、記憶に鮮明と残る一頭、ではないことは確か。それもそのはず、GⅠ勝利はない上、それどころか、3歳以降の勝利もない。主な勝ち鞍、京王杯2歳。今日はそんな一頭について紹介する。初めて僕の惚れた馬、ファンタジスト。

申し訳ない。まだ書けない。まだ彼について、競走馬としての馬生を終えた馬として何か書ける段階ではないみたいだ。

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聞いてない。ファンタジスト………

来春、彼は中京に帰ってくる。必ず。そう信じていた。今度こそ、彼、ファンタジストが先頭でゴール板を駆け抜ける、と。早すぎる。最近何か物寂しい、普通ってのは、何の変哲もない日常ってのは、奇跡だ。と何故か思う事が多かった。今思えば虫の知らせというやつだったのかもしれない。そうは思いたくないけれど。
信じられない。未だに。来春、彼はいない。来春どころか明日、いや今日、もう既にいない。いないのだ…………

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