専門学校?それとも大学?(2)
柔道整復師に限らず、鍼灸師、理学療法士、それから日本スポーツ協会アスレティックトレーナー、スポーツ医学に関する資格は大学だけでなく、専門学校ででも養成教育を受けられますよね、で、それらの資格を取得したいと志す皆さんの悩みの一つが…
「専門学校?それとも大学に?」
単刀直入に言います。
「(一つ目の資格は)大学で取得してください」
理由その2:大学と専門学校の決定的な違い
その(1)を読まれて納得された方も、そうでない方も、まあ、読んでいってくださいな。その(1)でお話した通り、私はせっかく入った大学を中退して(それも競泳の成績での推薦で…関係の皆様、その節は本当にご迷惑をおかけしました)柔道整復養成の専門学校に入学しました。本当は高校から直接入学したかった、なぜなら、その時に入学できたら、都道府県知事免許で2年制、その次の年からの入学だと厚生労働大臣免許で3年制になると決まっていたからというのもありました。
そんな私の希望の前に立ちはだかったのは父でした。どうしても大学に行け、と。何なら合計7年分の学費も負担する、とまで…。
「え、2年で済むのが3年になるどころか、柔道整復師に一歩も近づけない大学の4年が無駄じゃないか、(お父さんは)高卒とはいえ、診療放射線技師免許と柔道整復師免許を持って4人家族を十分に養えているのになぜ?」
そんな私の疑問に、口下手な父は
「大学に行くと、一生続く友達ができる…」
としか答えられず…結局は私が途中で進路変更するのを認めざるを得なくなりました。
そりゃそうですよね、だって、大学に行ったことがなかったんだから。大学を出た兄(私にとっては伯父)との比較、くらいしかできなかったのも無理はありません。タイムマシンがあるなら私が1989年の父に代わって当時17歳の私に説明してあげたいくらいです。
大学:教育と研究
大学では学生を教育するだけでなく、新たな知見を得るための研究を行う機関でもあります。もし資格を取得した後に、実際に業務を行うようになって、あなたはもしかしたら、
「あれ、このケガの治療だけど、教科書で書かれているAという方法よりも僕が見つけたBという方法だともっと早く治るんじゃないか?」
という発見をしたとします、で、そのまま
「(ぼくの考えた)治療法B最高!」
って広告宣伝しちゃうと(この業界、こんな人が大多数で、世間の皆様に大変申し訳ないんですけど)、どこからかとても頭のいいひとが現れて、
「それって単にあなたの感想ですよね?」
ってやられるわけですね、まあ、あまりにバカバカしいのは放置されていますけど…
まあ、普通はそんな発見があれば、
「これ、ほかの人も見つけてないか?」
「それ以外にもっと良い方法があるんじゃないか?」
「Bという方法、自分は良いと思ってるけど、本当に大丈夫なのか?」
いろいろ疑問が湧くと思うんですよね、そういう時に戻ってきてほしい、一緒にそれについて検証しよう、と思ってるのが我々大学教員でもあります。
4年制大学を卒業すると国家試験の受験資格に加えて、「学士」という称号(学位)がもらえますが、その続きには大学院という機関があり、2年かけて「その領域で今分かる範囲の果てまでたどり着いた」という意味でもある「修士」という学位、あるいはそこからさらに4年以上かけて「それまで誰も知らなかった領域に一歩踏み出せた」という意味の「博士」という学位を授与しているのです。そう、博士ってスポーツでいうところの世界記録樹立者、みたいなもの、いずれそれを超える人が現れるとしても、その論文がアクセプトされたときは、その分野で世界の頂点に立った人、と思ってもらえれば…。
専門学校:職能(国家試験合格のための)教育機関
では上と同じく、資格取得後に発生した疑問を専門学校に持ち帰ってみたらどうなるのでしょう。もちろん親身になって、研究しようよ!と言ってくれるであろう先生方を何人も知っていますが、基本は在学生の国家試験合格に関係ないことはあまりお手伝いできない、よしんば協力してもらえたとしても最終的にはどこかの大学に実験の器材だとか、環境面で協力を仰ぐことになり、思い通りにはいかない可能性が高いはずです。
さらに自分自身で「それまで誰も知らなかった領域に一歩を踏み出す」醍醐味が得られる可能性は極めて低い、なぜなら3年制の専門学校を卒業しただけで入学させてくれる大学院が基本ない、あったとしてもその選択肢は極めて狭く、とくに「米国の大学院でアスレティックトレーナーの資格を取る」など海外に目を向けた時にはどこかで「学士」を取得している必要があり、その時には大学を1年からやり直すことになります(私がそうでした、最初に入った大学出ておけば、と何度アメリカで悔やんだことか)。
もういちど言います。
「(一つ目の資格は)大学で取得してください」
まだ納得できませんか?その(3)は…またいずれ。
読んで不快になられた専門学校関係の方へ、私これでも専門学校と大学が同じ学校法人下にあり、専門学校と同じ資格を養成するカリキュラムのある大学で13年間教員をやっていました、そこを棲み分け、今後の代替医療界の発展にもつながるアイデアはあります。まあ、それに聞く耳をもち、実行する勇気がトップにあるかどうか、という問題はありますが、興味がおありでしたら直接ご連絡ください。
yoshiatc@gmail.com
このnoteをご覧くださりありがとうございます。サポートいただけた際には子供たちが安心してスポーツに打ち込める環境づくりに使わせていただく所存です。よろしくお願いいたします。