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『分岐するように伸びる可能性』

『分岐するように伸びる可能性』



おいしい話にしたいから
透き通る血管を何度も分岐させた
何度も何度も収縮と膨張をして
張り巡らせた賜物
つまみ上げることのできる
その器用な指先

人口密度の高くない都会の無人駅
無機質な個体が息を取り戻している
もうここには月あかりも届かないから
遠くの航空障害灯だけが
時を刻むように瞬いている

日が昇ればまた繰り返される
僅かな資源の取り合いが
指先によって決定された計画が


永劫を願って奪った全てが
誰もいないここでずっと
何度も光っている

明日を願ったから
君の明日を奪うことにしたんだ
翌る日には別の誰かを




というのは
わたしの話でもあり
名前も知らない君の話でもあるんだ







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