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二年目

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2020年の詩まとめ
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2020年5月の記事一覧

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さようならよりはじめましてのあの日を永遠に覚えていられたらあともう一周くらい隣で季節を過ごしてくれる予感がしてカレンダーをめくって昨日を捨てた

ともだち

僕は知らなかったよ、
左手で鉛筆を持って文字を書いても怒られないこと
食事のペースがゆっくりでも怒られないこと
声が小さくても笑われないこと
クラスメートの名前を全員覚えて友達にならなくても困らないこと
絵の具の使い方が下手でパレットを人一倍汚しても変な顔されないこと
君は知らなかったね、
移動教室の理科室でいつも右側に座ってくれたこと
おいしそうに食べるのねって食後の珈琲をのみながら微笑んでくれ

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アイ

ひらがなを習って初めて拾った言葉が「あい」だなんてここで知りたくなかった
「i」を消して僕らは生きていく、「愛」なんて誰が設定したのだろう

存在

君がいる世界は素晴らしいんじゃなくて、君がいたから世界が素晴らしくなったんだ

▶️

すきなシンガーソングライターのアルバムを買いました、発売は二年前だけれどわたしのなかでは最新の歌声、ライブに行ったことありません公式SNSもフォローしていません、それでもわたしはいつだっていちばんその人の音楽がすきだよ、アップされてる猫の写真も食事の写真も知らないし知らなくても困りません、だってシンガーソングライターだから、歌詞が音が声が、すきになるしかなかったんだ、CD離れって嘆かれるけどあのプ

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道徳

心のノートで正しい人間をインストールしたはずなのにそれにらくがきしてた人間たちがちやほやされる社会に放り投げられてしまった

13:15ー

客数より従業員数が多い平日昼下がりのショッピングモール
三階の映画館で観た世界はここよりも輝いていた
エンドロールの先に行きたくて赤いシートにからだを預けたまま目を瞑るポップコーンは夢のにおい

さくら

君をさらった桜吹雪が僕をさらってくれたなら、またあの裏庭で音楽室からこぼれるピアノの音色で鼻唄を