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三年目

33
2021年の詩まとめ
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2021年1月の記事一覧

とくとく

とくとく

こんなにも表面は冷たいのに
わたしにもあなたにも
燃えるような血が流れているということ
ぎゅっ、と
手を握りしめたら感じる
鼓動に眩暈がして
きょうも生きていることを突きつけられる冬の寒空

思い出の詩

思い出の詩

思い出には勝てない
過去は
日々都合よく美化されてしまうから
思い出のなかに生きられたら
きっと現在から居なくなりたい感情と衝動と
永遠にお別れできるのだろうけれど
それができないから
せめて昨日の自分より元気だよ、って
言い聞かせながら生きて
今日を生きてるうちは明日に期待なんてしなくていいから
明日も明後日になれば過去で
思い出は勝手に更新されていく
タップミスで上書きしてしまった日記アプリ

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悪役の詩

悪役の詩

悪役にだって愛はあって
誰かを愛し
かつては愛されていたはずなのに
最後に愛は勝つって
誰かが言ってたよね
正義の愛しか勝つことが許されない世界
愛って曖昧で
誰にも断言できないから
なんでもかんでも愛のせいにして
まろやかにして忘れてしまうんだね
愛は勝たない
愛を守れた人だけが勝つんだよ

清らかな

清らかな

涙をながせば
純粋にみえますか
朝日に
夜のコンビニの外灯に
駅前のスターバックスの照明に
きらりと光るその粒は
心の汚れを丁寧に濾過してできた
最終兵器
頬をつたう生暖かいわたしの一部は
あなたにちゃんととどくまえに蒸発してハンカチを濡らさない
未練だけがチェック柄を濃くして
あなたはわたしを理解したつもりで微笑むの
純度100%は神様でもありえなくて
神様未満のわたしたちは
祈りを捧げるふりし

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\120

\120

いつまでも端っこにいちごミルクがある自販機、すきだよ
いつのまにかナタデココ入り乳酸菌飲料は姿を消してしまったけれど
夏に思い出す味です
早朝のプラットホーム
缶コーヒーでリセットするおとなになることを
拒絶する社会人3年目
コーンスープは
あなたとの別れを忘れるためにベンチで飲んだ冬