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人生を変えた19歳の夏(2)

大学入学後まもなく、大学のプログラムで夏休み中に各国の提携大学で行われる1ヶ月程度の短期の語学研修があることを知った。そして、僕は大学2年の夏にスペインでの語学研修に参加することを目標に定めた。

大学2年時に標準を当てたのはいくつか理由があったけど、その中の1つは「お金を貯めたかった」からだ。留学したいという気持ちは強かったけど、僕の中でこだわっていたのは、その費用を自分で賄うことだった。それが、長期の留学をしなかった(諦めた)一番の理由かもしれない。僕の家は裕福なほうではなかったし、僕を大学に行かせるために両親が色々とお金を工面してくれていたことは薄々気づいていた。だからこそ、自分の意思(わがまま?)で行く、留学というお金のかかる一大イベントは両親の力を借りずに実現させたかったのだ。

スペイン語学研修に向けて

スペイン行きの資金を集めるために、僕は生まれて初めてのアルバイトを始めた。選んだのは、家の近所の某牛丼チェーン店。最初は慣れないことばかりで色々と大変なことも多かったけど、できる限りシフトを入れるようにして、お金は順調に貯まっていった。どのくらい稼いだかは覚えていないけど、語学研修の費用が恐らく40~50万円くらいだったと思うから、そのくらいの額を目標に毎月どのくらい働けばいいかを逆算して貯金をしていった。

もちろん本業である勉強もきちんと(?)していた。特に大好きな言語関係の授業はとても面白く、どんどんスペイン語にのめりこんでいた。(英語も同じ比率で勉強していたが、この時は完全にスペイン語に傾いていた)

大学2年の夏が近づき、費用の面でも語学力の面でも着々と準備ができてきた。語学研修もいよいよ間近となってきたある日、研修前の最後のオリエンテーションが開催され、そこで更に具体的な説明を受けた。日本とスペインの文化の違いから週末の過ごし方に至るまで、話を聞きながらどんどん僕の心を高鳴らせていった。ようやく夢に見た海外がすぐそこまで来ている!!

ちなみに、このスペイン語学研修が、僕の生まれて初めての海外だった。しかも、1ヶ月も家を離れるなんて経験もない。興奮とは裏腹に、僕はわからないことが多すぎてかなりビビッていた。スーツケースの大きさはどのくらいがいいのか?服はどのくらい持っていけばいいのか?向こうで出会う海外の人たちのために日本のお土産も持ってった方がいい?日本食も恋しくなるかな?心配は尽きなかった。今思うと、海外に行ったことのある同級生や、すでに語学研修に参加したことのある同じ学科の先輩に、とにかく重箱の隅を楊枝でほじくるように質問していた気がする。スーツケースは、両親が20年以上も前に使ったきり押し入れにしまってあったものを引っ張り出し、あまりに使っていないために劣化してボロボロになったキャスターの修理から始める始末。出発当日に他の同級生のスーツケースと自分のを比べて、僕のスーツケースがものすごく小さかったことを知るのもあと数日、、、

サラマンカ大学

僕が行くことに決めたのは、サラマンカ(Salamanca)という、マドリッドから北東に2時間半ほど行った距離に位置している街にある、サラマンカ大学。

サラマンカ大学は、スペイン最古の大学で、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学、パリ大学などと並びヨーロッパ最古の大学の1つ。サラマンカはスペインを代表する大学街で、1988年にサラマンカ大学を含む旧市街地全体が、ユネスコより世界遺産として登録されている。町の中心にあり市民の憩いの場であるマヨール広場(ライトアップされた夜は本当に綺麗!)や、12世紀ロマネスク様式と16~18世紀ゴシック様式の合わさった荘厳なカテドラル(大聖堂)と歴史的建造物が多く、町は中世の面影を残しつつ、まるで街全体が美術館のようでとても美しい場所だ。ここで僕は笑いあり涙ありの、人生を変える1ヶ月を過ごすことになる。

つづく

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