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商品の核は、コンセプトにある。

コンセプトが曖昧な商品コピーを書くって難しい。

曖昧なコンセプトは、商品を通じて消費者に何を伝えたいのか?真意を掴みにくいから。掴みどころがない分、コピーを書くためのヒントが少ないので、コピーライターとしては困ってしまう...そんな本音があります。

商品の企画・開発に携わっている人から見て、コンセプトの存在がどれくらいの優先順位かわかりませんが、「重要だとあまり思っていない」というのであれば、ぜひ見方を変えてほしいのです!

コンセプトの質は、メッセージの質に影響するからです。

「何でもいい」=伝わるメッセージも弱い

ちょっと悲しいというか、寂しいというか、そんな経験がありました。

クライアントと顔合わせの際に「どういうことを伝えたいですか?」とヒアリングしたら、「良い感じにしてもらえれば、何でもいいですよ」と言われたのです。

いや、何か伝えたいコンセプトがあるはずだ!と思い、「商品のこだわりは何ですか?」「どういう思いで作られたんですか?」と深掘りするも、「いや、特に...」という返答。

伝えたいことが、特にない...。

このやりとりはデザイナーの同期と話したときに、クリエイターあるあるということが判明しました(笑)

クライアントの気持ちもわかります。私も広告業界に入るまでは、コンセプトや伝えたいメッセージがなくても、クリエイターは素敵なものを作ってくれる!そんなイメージを持っていたからです。

しかし、コピーもデザインも、何もないところから生まれるわけではありません。

商品の特徴や機能、開発者の思いなどからヒントを得て考えています。インプットできる情報が少なければ、アウトプットできる表現も減ってしまう。

また、世の中には様々な商品・サービスが溢れています。差別化するためにも、売りとなる情報は多いほうがいいですし、コンセプトもきちんと固めるべきです。

この経験談はコンセプトがない極端な例ですが、コンセプトはあるけれど、表面的なものでちゃんと機能していない例は結構あるなぁと感じます。

たとえば、流行りに乗っかって「うちも商品を出そう!」と企画がスタートすると、コンセプトは後付けになるので、企画がブレやすくなります。

コンセプトは軸であり、道しるべであり、魂である。

そもそもコンセプトとは何でしょう?わかるようでわからないカタカナです。デジタル大辞泉には、以下のように説明されています。

コンセプト【concept】
1 概念。観念。
2 創造された作品や商品の全体につらぬかれた、骨格となる発想や観点。「コンセプトのある広告」

「全体につらぬかれた、骨格となる発想や観点」
→ここが重要なポイントです!

たとえるなら、コンセプトは軸(全体を支えるもの)であり、道しるべ(進む方向を示すもの)であり、魂(商品の中身を表すもの)です。

電通の山田壮夫さんは、著書の『コンセプトのつくり方』でコンセプトを「サーチライト」と表現しています。

ぼくたちはコンセプト(概念)がなければ、何ごとも見ることができません。(中略)コンセプトは経験的世界という暗闇から物事を照らし出す「サーチライト」です。

サーチライト

コンセプトがなければ企画は進みにくくなり、そこから派生する表現部分にもブレが出ます。逆にコンセプトがしっかりしていれば、他の部分も進むべき方向にスムーズに進むことができます。

これが「コンセプトが機能している」ということです。

中身がなければ、外見を磨くこともできない

広告もコピーも、もとの何かがあって、それをより良くしようと考えます。

幹がなければ花は咲かないように、人間から骨を抜いたら立てないように、商品・サービスあってのクリエイティブです。

また、個人的には何もないところから表現をつくることに引け目を感じてしまいます。中身がないのに外見だけ取り繕ったような気がしてしまうからです。

商品の核は、コンセプト。繰り返しになりますが、コンセプトが大事なのです。

きちんとコンセプトを考えるのは簡単ではありません。多くの商品の企画・開発の担当者は頭を悩ませてきたでしょう。広告会社が入ってコンセプトから一緒に考えるのも、それくらい脳みそを使うからだと思います。

じゃあ、ちゃんとしたコンセプトって何なのよ?というのは、また別の記事で詳しく書きたいと思います。

<参考文献>
・山田壮夫『コンセプトのつくり方 たとえば商品開発にも役立つ電通の発想法』朝日新聞出版


文:ハギ
@よりみちコピーライター

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