yori

文字を並べています。第1回の記事に自己紹介をほんの少し(塩ひとつまみくらい)書きました…

yori

文字を並べています。第1回の記事に自己紹介をほんの少し(塩ひとつまみくらい)書きましたが、大した内容ではないので読んでも読まなくても大丈夫です。

最近の記事

第12回 obachan DNA

近くのショッピングモールで催されたスイーツフェアなるものに行き、シフォンケーキを20個くらい買った。ここで言う20個というカウントは、カット&個包装済みのものを1個とするのであって、あの穴の開いたホールのシフォンケーキを1個とするわけではない。仮にあの穴の開いた状態のホールシフォンケーキを20個買ったとするならば、一体私はどこに向かって生きているんだということになってしまう。 このシフォンケーキのお店であるが、「今は亡き私の母の友人の学生時代の友人の息子さんご夫婦」が営ん

    • 第11回 自由に選んだらいい

      吉本ばななさんの『「違うこと」をしないこと』を読んでみた。考えてみると、吉本ばななさんの本に触れるのはこれが初めてで、かの有名な『キッチン』ですら、私は中身を存じ上げないのであった。まあ、それはそれとして。この本は、いわゆるスピ系の印象を受ける人が多いのであろうなと思う。ゆえに、反射的に「あ、無理」と感じる人もいるのかもしれない。たとえば、宇宙マッサージなるものを生業にされているという白井さんとの対話で、こんな話が出てくる。 私としては、こうした話を胡散臭いものとして自分の

      • 第10回 道を尋ねるひとびと

        今日、道を尋ねられた。家の近所での出来事だったので、無事、教えて差し上げることができた事案であった。 思えば私は昔から、やたらと道を聞かれる。老若男女、国籍を問わず、めちゃくちゃ聞かれる。旅先でも聞かれるし、仕事の都合で出かけただけの、最寄り駅と目的地までの道順しか把握していないような場所でも聞かれる。この現象は、インターネットやスマホの普及前後で差はない。とにかくすごい聞かれる。 そういう人生を歩んでいると、道を聞かれた場合の対応レベルを上げるしかなくなる。なぜなら

        • 第9回 コロッケと幸福論

          今宵、私が作って食べたのは、コロッケであった。そう、いもを丸めて揚げただけのあれである。 コロッケは、無駄を承知でビジネス的に表現すると、非常にコスパの悪い食べ物であるように思う。完成までにかかる工数をコスト、コロッケをおかずとする夕飯へのテンションの上がり具合をパフォーマンスとした場合において。 まず、作るのが本当に面倒くさい。コロッケの成り立ちには、成形するまでの段階と揚げるまでの段階という、大きく2つのフェーズが存在するが、どちらも途方もなく面倒くさいのだ。 では

        第12回 obachan DNA

          第8回 雪が降れば思い出す

          昼過ぎから、結構ちゃんとした雪が降り続いている。私の軽自動車の上には、すでに5cmほどの雪が積もり、屋根だけ見たらもう車体の色はわからない。これは…、明日雪かきをしないといけないレベル。とはいえ、関東の中の私が暮らす地域には、そもそも車のタイヤを履き替える習慣が存在しないくらい、雪が珍しい。ゆえに、雪かき道具なんて通常は持ち合わせていない。 でも大丈夫か。この程度なら、外に放り出してあるデッキブラシと、玄関掃除用のちりとりを使えばいいのだから。こうした発想は、過去に3年ほど

          第8回 雪が降れば思い出す

          第7回 ナマエムズカシイネ

          2月に入り、テレビでバレンタイン特集を見かけることが増えた。放送枠を何とかしなくてはならない一方で、すさまじく忙しい&予算も少ないがゆえに、チョコレートごときのために凝った企画を考えるのは不可能であったのかもしれないテレビ局の人が、それでもシーズンだからという理由で一応報じるのは、「今年は、自分へのご褒美チョコがトレンドのようです!」という内容だったりする。そして中継の場所はいつだってデパートなのである。 思うに、自分へのご褒美チョコは、決して今年のトレンドなどではない。「

          第7回 ナマエムズカシイネ

          第6回 もしもピアノが弾けたなら

          久しぶりにピアノを弾いた。数日前から続いていた胃腸の不快リズムが正常の範囲内に収まりつつあり、しかも来月に控えた確定申告の書類もろもろも完成したことで、ああ、すばらしき人生、音楽など奏でて優雅な気持ちになってしまおうかしらと考えたんだと思われる。 しかしながら、その作戦は華麗に失敗した。私のピアノの音色は優雅ではなかったし、今後、優雅になる日が来るかもしれないね、このまま頑張れば…という段階にも至ることなくピアノの時間にさよならするしかなかった。優雅は贅沢品であって、私ご

          第6回 もしもピアノが弾けたなら

          第5回 好きな人の成分

          私は、食べ物のねぎ類をおいしく食べられない。丸っこいのも、長いのも、食せないほどではないけれども、食さずに済むのであれば、よける。とはいえ、丸っこい方のねぎ、通称、玉ねぎは、あらゆる料理に引っ張りだこの人気食材。もはや、入っていないと始まらないくらいの地位が約束されている料理すらある。例えば、カレーにおいてとか。 私のカレーの場合、玉ねぎは容赦なく、こっぱみじん切りにされる。そうすれば煮込んでいるうちに概ね溶けるので、玉ねぎの存在感を、ひょっとしたら入ってないかもねレベル

          第5回 好きな人の成分

          第4回 やさしさに包まれたなら

          人生を生きていると、ふと一日中、ある楽曲の脳内再生回数が跳ね上がる現象に出会う。きっかけとしてよくあるのは、例えばテレビCMだったり、街中の音楽だったり、職場で隣に座る人が口ずさんでいる鼻歌だったりする。とにかく耳に入った音が何かのスイッチを押したかのように頭から離れなくなり、再生を自力で止めることができなくなるのだ。 ちなみに私の今日は、日がな一日、松任谷由実さんの『やさしさに包まれたなら』に脳内を占拠されている。食器を洗っていても、観葉植物に水分を与えていても、仕事用

          第4回 やさしさに包まれたなら

          第3回 本がふにゃふにゃになっても

          注文していた本が届いた。湯船につかりながらサクッと読んでしまおうと思う。お風呂で本を読む話をすると、「本、ふにゃふにゃにならない?」と聞かれることがある。 ふにゃふにゃになるよ。 ふにゃふにゃになるので、人から、もしくは図書館から借りた、あるいは、そういうことを許容してくれそうにない家族の部屋にあって勝手に持ってきてしまった等、つまり自分の所有物ではない本は、お風呂向きではない。私もさすがに、人様の本をふにゃふにゃにしようとは思わない。自分の本が、ふにゃふにゃになって

          第3回 本がふにゃふにゃになっても

          第2回 家のお犬様の脳内

          私は犬と暮らしている。今日はその犬の名前を仮に「わんさん」とした上で、彼女について語ってみようと思う。ちなみに現在、わんさんと私は一緒にこたつに入っているが、わんさんがド・センターポジションを占領しているため、私はY字スタイル。生来、体の硬い私にとって、少々厳しい環境である。 わんさんは、マイペース成分を豊富に持って生まれてきた犬だと思う。マイペースという言葉は、「のんびり」とか「おっとり」とかいった印象を想起させることもあるが、わんさんのマイペースは、そういうのではない

          第2回 家のお犬様の脳内

          第1回 だいたい毎朝困ってる

          朝九時。本日の起床時刻である。 しかし九時はまずい。スマホのアラームは七時半に設定しておいたのだから、何とか八時には人間らしく二足歩行で、あれやこれやと動いておきたかったと思う。 スマホのアラームというのは任意で時間を設定でき、その時刻になれば、こちらも任意で設定できる音なり音楽なりを鳴らしてはくれる。とはいえ、そのアラームをきっかけとして発動するはずの予定の遂行までは保証してくれない。例えば、私がスマホのアラームを使用する際、その目的は主に起床である。つまり、起床時刻に

          第1回 だいたい毎朝困ってる