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第11回 自由に選んだらいい

吉本ばななさんの『「違うこと」をしないこと』を読んでみた。考えてみると、吉本ばななさんの本に触れるのはこれが初めてで、かの有名な『キッチン』ですら、私は中身を存じ上げないのであった。まあ、それはそれとして。この本は、いわゆるスピ系の印象を受ける人が多いのであろうなと思う。ゆえに、反射的に「あ、無理」と感じる人もいるのかもしれない。たとえば、宇宙マッサージなるものを生業にされているという白井さんとの対話で、こんな話が出てくる。

体の中枢に宇宙と繋がるエネルギーが循環しているチャクラという通路があるんですけど、第七と第一チャクラという体を上下に貫通しているはずのトンネルのどこかが崩落していたり、詰まっていたり、エネルギーゲートが閉まっていたりということが起きている。単純な話、それが通っただけで、中枢がちゃんと感じられて、全然生き方が変わってきたりするんですよ。

吉本ばなな『「違うこと」をしないこと』

私としては、こうした話を胡散臭いものとして自分の中に入れないようにするかどうかは、その話を誰が(どんな人が)しているかによって決めたい。何も検討することなく、スピ系は無理ですって突っぱねる人の場合、自分がそれを信じるか・信じないかという視点というよりは、それを信じていると周りから思われたらヤバいという視点が濃い気がする。自分がどうかということではなくて、自分が他人からどう見られるかということが判断の基準になっているというか。まあ、胡散臭いものが少なくないのも事実なんだけども。
 
そこで、吉本ばななさんて、どんな人なのかなって、とりあえず読み進めるわけだが、最後の方に「教えて ばななさん」という章がある。これは、読者からの質問に、ばななさんが答えるコーナーで、こんなのがあった。

Q ネガティブな感情を持ち続けていると、自分が疲れてしまいます。誰かのことを嫌いになりたくないのに、どうしてもそのことを考え続けてしまいそうな時、ばななさんならどうしますか。

 人にぐちって、いかに相手にされないかを見て目を覚ます。

吉本ばなな『「違うこと」をしないこと』

「ははっ」ってなった。なんかすきだな、と。たとえば、ここで「それは前世のカルマが、うんぬん、かんぬん……」とかなっていたら、私も手を引く。あるいは、「リラックスして、深い呼吸を意識しましょう、うんぬん、かんぬん」とかも好みではない。なぜって私はリラックスを目的にヨガに挑戦した結果、便秘になった女なのだ。
 
そういうわけで、なんかすきだな、を頼りにもう一度最初から読んでみた。結果、「ふふっ」とか「ははっ」とかすることになって、ヨガなんかよりも、よっぽどリラックスできたのであった。

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