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テクノロジー時代に一目置かれるのは、『適切な削除』ができるビジネスパーソン(実践-前編)

本noteは、営業や企画、広報など ”価値や情報を損なわず、広く円滑に相手に届ける方” に向けた内容です。
前回の概念編が未読の方,こちらからどうぞ。

お忙しい方は、以下を30秒でどうぞ。


30秒で読める要約

<結論>
– これから社内外で一目置かれる存在になるには、テクノロジーを活用し、キャッチアップコストを最小化するのが必要

<理由・背景>
– キャッチアップコストとは、情報をキャッチアップするときにかかるコスト
– 人には、情報をキャッチアップする時に得意/不得意なフォーマットがある
– 相手の得意なフォーマットに変換する工数も、キャッチアップコストに含む
– 上位役職の仕事は判断と決断なので、キャッチアップそのものが仕事の肝
– ゆえに、組織においてキャッチアップコストは増大し続ける力学が働く
– しかし、劇的に削減する技術が登場=chatGPT(LLM)

– ゆくゆくは、Office製品の標準装備に
– 具体的な活用法や留意点は、次回の後編で


結論、テクノロジーとのCo-Createが必要。

 伝える情報に『適切な削除』をし、社内外で一目置かれるための個人の戦略と具体的な行動とは?

結論は、”テクノロジーを活用し、キャッチアップコストを最小化する”です。ここでのテクノロジーとは主に、SaaSやAI、chatGPT (LLM)を指します。

キャッチアップコストとは、情報をキャッチアップするときにかかるコストのこと。たとえば、自分が参加していない会議の録画を見る、など。また、受け手がキャッチアップしやすい情報媒体に変換するコストも含まれます。

そもそもなぜ、キャッチアップコストは発生するのか?前回noteを読んだ方なら、”ジャム購入の実験”から「情報は少ないほうが相手は選びやすい。」と思うはず。

しかし、実は実験に対する反証も。

マニアは情報過多でもいい。

 ”ジャム購入の実験”でアイエンガー氏と同じ研究グループだった、スタンフォード大学経営大学院 ジョナサン・レバーブ准教授は、結果の盲信へ注意喚起しています。

ジャムの実験の結果から、「選択肢が多ければ多いほど、顧客の購買意欲は低下するのだから、選択肢は少ない方がよい」と結論づけてしまうのは早急だと思いますよ。
(…)
ドイツの新車販売店で、自動車の専門家も普通の顧客と同じようなパターンで”決断疲れ(=選択肢が多すぎることで、意思決定の質が下がる現象)”をおこすのかを調査してみたんです。すると、面白いことに、彼らは全然疲れなかったんです。

出典:NIKKEIリスキリング『「選択肢が多すぎると選べない」は間違いだった?
スタンフォード大学経営大学院 レバーブ准教授に聞く(4)』2017
/4/2

つまり、マニアや専門家など”その選択肢に慣れ親しんだひと”には、選択肢の少なさはむしろ悪影響。ぼくも以前、米国の友人から同様の指摘が。

友人「コンビニで買えるおにぎりの具が2-3種類しか無いってなったら、そこには二度と行かないだろ?」
「同じように、俺たちからするとサンドイッチ店でパンやハムの種類を選べないのは、信じられないんだわ。」

話を組織に戻します。

”判断”には情報量、”決断”には意志


組織では役職が上がるにつれ、自ら行動するより、メンバーの行動に対し判断や決断をすることが多くなります。
ここでの判断とは、”ある程度の正解がある選択を選ぶこと”、決断とは”トレードオフがある選択を選ぶこと”と定義します。

買収や新規事業の可否などは決断ですが、頻度は多くありません。会議の内容は、判断がほとんど。ある程度の正解があるゆえ、精度を高めるには情報量が必要です。

営業であれば、顧客の窓口は誰か?意思決定者は誰か?意思決定者の気にするポイントは何か?企業の業績や最近の動きはどうか?などについて、正確な情報をいかにタイムリーに集められるか?が肝です。

『あれ、どうなってる?』の根本的背景

すると、(何もしなければ)エントロピー増大の法則のごとく。次の2点から、キャッチアップコストは増大し続けます。

  1. 管理職は”自らの判断”と”メンバーの行動促進”がメインの仕事。ゆえに、判断に必要な情報量をメンバーに求める。かつメンバーにも判断後の行動の指示を出しやすくするため、自らが参加した経営会議の録画を「あとで見といて」など、シェアする。

  2. 個々人の『情報取得(=キャッチアップ)のフォーマット』には、得意(=効率が高い)/不得意(=効率が低い)が存在。メンバーは、上司やその上の上司が得意なフォーマット(=テキスト/口頭/映像/イラスト)に、情報を加工し共有する圧力がかかる。

会議の議事録を作成する若手(=音声→テキストへの変換)。しかし、要点だけ電話で聞きたい上司(=テキスト→音声への変換)。さらに資料で論点を構造化してほしい他部署のメンバー(=テキスト→イラストへの変換)etc…。

人数が多ければ多いほどキャッチアップコストは増大。つまり、組織全員の箇所分時間はどんどん無くなっていきます。

が、2023年2月。キャッチアップコストを激減する技術が突如、襲来しました。

黒船襲来

 それが、OpenAI社が公開したchatGPTです。詳細かつ専門的な説明は他noteに譲りますが、できることを一言でいえば、「言葉でプログラミングのような指示ができ、指示に即時に言葉で回答してくれる」。

これだけ聞くとなんの意味が?と思うかもしれません。しかし外部サービスとのAPI連携が解禁されると、凄まじい勢いで応用例が出てきます。

たとえば、2023年04月01日現在、以下の作業は無料かつ動画のアップロード含め20分ほどで、アウトプットを出してくれます。

例)WEB会議を録画する
→録画をYoutubeにアップして、自動文字起こし(同社ソフトwhisperでも可)
→GoogleChromeの拡張機能で、文字起こしの要約
→要約をもとに、chatGPTで議事録を作成
→議事録と要約を共有するためのメールの文面案を、chatGPTで作成

もちろん、chatGPTは過去のデータベースをもとに学習しているので、(2023年03月末現在では)そのまま使える精度ではありません。
しかし、会議に参加していた人なら意図はわかるレベル。上記アウトプットをゼロからする手間を考慮すれば、同サービスの有料プラン(=月額20ドル)は数日で元が取れます。

進化も確定

 さらに、マイクロソフト社が数千億円単位で出資しており、WordやExcelなどとの連携もほぼ確実です。事実、同社検索のbingとはすでに連携しており、いまこの瞬間もネットから学習を続けています。

ここから起こるのは、このテクノロジーを活用する人の周辺は、キャッチアップコストが大幅に削減される未来。想像と予測も入りますが、以下の作業は遅くとも、2023年中にほぼ可能に。

例) teamsでWEB会議をする→chatGPTにinput文章で指示

<input>
『teamsの録画を要約して、議事録形式でWordにまとめてください。また、録画と議事録をもとに、来週月曜までのアクションと担当者をそれぞれ、ExcelのB列とC列に記載してください。』
『WordとExcelの内容をもとに、PPTをイラストを交えながら作成してください。PPTのフォーマットはこのURLを参考にしてください(会社PPTのテンプレ)。その後、teamsの営業部スレッドに各ファイルの共有URLを投稿してください。』
『Outlookのスケジュールから会議参加者と不参加者に、teams投稿のURLをOutlookメールで共有してください。』
『以上の内容に不明点があれば、私に確認してください。』

<output>以下を数分〜10数分で出力
- 会議の議事録とその要約(Word)
- 次回会議までのアクションと担当者リスト(Excel)
- 上記2つを構造化・図解化したPPT
- 上記3つの各共有用URLのteams投稿
- 会議参加者/不参加者へ上記4つのメール
- 上記全てを作成する上での、指示文に対する不明点

これからの”優秀なひと”とは?

 結論に戻ります。いつの時代も組織において優秀な人とは、有限なリソースの中で、成果を最大化する人です。

しかし、時間リソースは人類全員1日24時間しかありません。ということは、いま現在かかっている時間コストを最小化できるだけで、リソースが増え、成果を上げやすくなります。

つまりコスト、ここではとりわけ”キャッチアップコスト”を最小化するには、テクノロジーへ適切な指示と依頼ができることが重要です。

では、より具体的に、日々の仕事のなかでどのようにテクノロジーに向き合い、活用していくのか?盲信していいのか?落とし穴はないのか?について。

……長くなってしまったので、次回の後編に続きます。


30秒で読めるまとめ

<結論>
– これから社内外で一目置かれる存在になるには、テクノロジーを活用し、キャッチアップコストを最小化するのが必要

<理由・背景>
– キャッチアップコストとは、情報をキャッチアップするときにかかるコスト
– 人には、情報をキャッチアップする時に得意/不得意なフォーマットがある
– 相手の得意なフォーマットに変換する工数も、キャッチアップコストに含む
– 上位役職の仕事は判断と決断なので、キャッチアップそのものが仕事の肝
– ゆえに、組織においてキャッチアップコストは増大し続ける
– しかし、劇的に削減する技術の登場=chatGPT(LLM)

– ゆくゆくはOffice製品に標準装備に
– 具体的な活用方法や留意点は、次回の後編で


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