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テクノロジー時代に一目置かれるのは、『適切な削除』ができるビジネスパーソン(概念編)

こんにちは。米川(@yoneshi0320)です。

本日は営業や企画、広報など ”価値や情報を損なわず、広く円滑に相手に届ける方” におすすめの内容です。

お時間ない方は以下を30秒でどうぞ。


30秒で読みたい人のための要約

<結論>
– 網羅的ではなく、相手の関心に合わせて、必要最低限の情報を届けられる人が成果を出す。

<理由・背景>
– 網羅性のある情報は、相手のエネルギーを奪う
– ゆえに、相手が決断しやすいように”あえて”品数を絞るスーパーも

– 依頼が断られるのは、検討最低ラインよりもむしろ(情報)過多ラインを超えている可能性が
– 例外は、研究者やアーティストなど”独自の観点”で勝負する人
– 大切なのは、"届ける相手の感情や行動が、動き出しやすいフォーマットや情報量になっているか?"

– これから企業内で成果を出すのに必要なのは、”テクノロジーを活用し、キャッチアップコストを最小化する”こと
– 具体的な実装方法は、次回の
実践編–前編で解説


”二度とやりたくないことリスト”の更新

 毎年この時期、自営業やフリーランスの方から溢れる、安堵の声。

『確定申告、やっと終わった……。』
『読み方マイリストを残してた昨年の自分、グッジョブ……。』

ぼくは法人として仕事を請けるのがほとんどで、基本個人として請ける仕事はありません。
が、設立1年目は都合上、個人で請けることがあり。その年に確定申告を経験し、”二度とやりたくないリスト”にそっと名を記(しる)しました。

引用元:国税庁HPより

網羅(もうら)性が重要な昨今?

 確定申告を一度でも経験したことある方ならわかると思いますが、『収入』や『所得』の違いに加え、扶養や、配当などの資産収入まであれば、申請書作成だけで半日~1日かかる場合も。

行政行為はビジネスと異なり、基本思想は”その地域(=マーケットの)誰一人も取り残さない”です。ゆえに、網羅(もうら)性の優先順位があがり、結果としてあの煩雑さ極まりないフォーマットが生まれます。

一方、ビジネスシーンにおいても”MECE” (”もれなくダブりなく”の英語の頭文字をとった表現)は一定の支持を得ており、新入社員研修の定番テーマ。

では、”相手に伝える情報の網羅性を高めれば、仕事で成果を出すビジネスパーソンになれるか?”といえば、疑問符がつきます。

4分の1の品揃え。なのに購入率は10倍

 コロンビア大学ビジネススクールのシーナ・アイエンガー氏は、学生時代、サンフランシスコのスーパーにおいて”ジャム購入の実験”を行いました。

感覚的には、品揃えが多ければ(顧客の多様な好みに対応できるため、)購入率も高い。しかし、結果は真逆でした。

”「多くの選択肢」の試食コーナーでは、その中から”いつものジャム”を選ばないように「イチゴ、ラズベリー、ブドウ、オレンジ、マーマレード」を除外した24種類。
「少ない選択肢」では「キウイ、ピーチ、ブラックチェリー、レモンカード、レッドカラント、スリー・フルーツ・マーマレード」と言った比較的選択されにくい商品から6種類ピックアップしました。
(…)
また、試食コーナーでは1ドル割引クーポンを発行しましたが、試食コーナーではジャムは購入できず、消費者は自らジャムを選んでレジに持っていきクーポンを使うようにしました。
(…)
 結果、24種類のジャムを試食した人のうち実際にクーポンが使われた数はわずか3%であったのに対し、6種類のジャムを試食した人は30%ものクーポンが使われました。”

出典:シーナ・アイエンガー (著), 櫻井 祐子 (翻訳)『選択の科学』文藝春秋、2010年

 驚きでしょうか?

しかし、この”あえて情報を削除することで、良いコミュニケーションを実現できる”は、法人向け事業の現場でも支持されます。

依頼を断られる、入社2年目のきみへ

 前職時代、外部のコンサルへの依頼時に幾度も断われ、悩んでいた時期。そこで、コンサルからの信頼が厚く、他の営業が依頼したら断れそうな案件でも引き受けてもらえることで有名なAさんへ、相談したときのこと。

Aさんは前述の理論をもとに、”相手の検討最低ラインと過多ラインを確認しろ”と教えてくれました。

”たとえば、『A社の案件です!XXX万円規模で業界でも初の取り組み!ぜひ打合せしましょう』だけでは、相手は検討できない。

研修なのであれば、以下はどんな相手でも気になる。これが”検討最低ライン”。
・実施は確定か?コンペなど未確定か?(=機会損失が発生するかしないか)
・どれくらいの規模なのか?(=時間工数と金額を考慮)
・いつまでにどんなアクションが必要か?(=スケジュール感を共有)
・なぜ自分なのか?(=将来性や価値発揮度合いを見積る)
大事なのは、相手のまず気にしている観点から答えること。

一方、良かれと思っても、相手担当者の癖(細かい連絡を気にするか、等)まで初連絡でするのは、『丁寧だ』とはならない。むしろ『めんどくさそうなやつだな』と思われるリスクさえある。これは、情報が過多なライン。新人が陥るのは、大体こっち。”

まとめたのが次の図です。

上記エピソードを基に、筆者作成

削りすぎてもいけない。が、多いのもまた悪。

『論語』が出元の「子曰、過猶不及」(過ぎたるはなお及ばざるが如し)は、時間が資源のスタートアップの現場でも応用されています。

10秒で話せるか?

 スタートアップやベンチャーキャピタルの世界には、”エレベーターピッチ”なる概念があります。一言でいえば、”社長や意思決定者とエレベーターで2人きりになった際、降りるまでの10秒で価値を発揮しろ。”

物理的にそんな無茶なと思います。が、要諦はAさんと同じく”相手のもっとも気にしている関心事項を事前に把握し、対応する考えを端的に伝えろ”です。

時間が特に重要な資源であるスタートアップやベンチャーキャピタリストは、限りなくレバレッジを効かせて価値を最大化するのに、日々粉骨砕身しています。

もちろん一朝一夕ではできません。さらに、会話や自己開示すること自体はグルーミング(毛繕い)として、関係性を深めるのに必要です。

しかし、倍速で会議の録画がみれるこの時代。
商談や企画会議で相手の関心が薄いことに関し、だらだら話す。それが相手に価値をもたらすのはかなり稀有(けう)、と断言します。

勝負するのが”独自のアウトプット”なら別

 とはいえ、例外も。研究者や作家・アーティストなど、”独自の理論やアウトプットで世に価値を発揮する方”は、また別です。

日常生活やビジネスシーンなら削除する、独自の観点や情報から生み出された表現こそ、他者との差別化ポイント。
気の遠くなるような時間をかけて発見/発掘した、1ワード、1ドットの違いで、数億円を稼ぎだす人すらいる世界。

価値を直接生み出すか、届けるのか、どちらを選ぶのも個人の自由です。また、平日は企業の営業や広報として届けることをしながら、休日にVtuberなどクリエイターとして作品を生み出す。そんな生活もありえます。

大切なのは、届ける相手の感情や行動が、動き出しやすいフォーマットや情報量になっているか?を常に確認し、実装することです。

企業内でのテクノロジー活用の本質

 では、伝える情報に『適切な削除』をし、社内外で一目置かれるための個人の戦略と具体的な行動とは?

ぼくの結論は、”テクノロジーを活用し、キャッチアップコストを最小化する”です。
なぜなら、企業内でテクノロジーを活用する理由こそが、キャッチアップコストの最小化だからです。

その詳細と具体的なプランについて、は……次回の実践編でお伝えします。


30秒で読めるまとめ

<結論>
– 網羅的ではなく、相手の関心に合わせて、必要最低限の情報を届けられる人が成果を出す。

<理由・背景>
– 網羅性のある情報は、相手のエネルギーを奪う
– ゆえに、相手が決断しやすいように”あえて”品数を絞るスーパーも

– 依頼が断られるのは、検討最低ラインよりもむしろ(情報)過多ラインを超えている可能性も
– 例外は、研究者やアーティストなど”独自の観点”で勝負する人

– 企業内で実装するには、テクノロジー活用が必須
– 具体的な実装方法は、次回の
実践編–前編で解説


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