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入社1年目からの老害化対応マニュアル(実践編)

 こんにちは。米川(@yoneshi0320)です。

今回は、企業で老害になりたくない人に向けた内容です。
前回の概念編が未読の方はこちらからどうぞ。

お時間のない方は、要約をご覧ください。


30秒で読める要約

<結論>
– いつでもどこでも初心者になれたら、老害化は全く怖くない


<背景・理由>
– デコポンの木にレモンの枝をつけることができる
– できる理由は、傷つけることで細胞分裂と変化が起きるから
– 視座や認識の変化と発達にも、痛みが伴う
– ベンチャーもスタンフォードも、変化を欲している
– しかし痛みと変化を盲目的に求めるのは、破滅への道
– 物理的な痛みと精神的な痛みの差の違いに、シェアできるか否かがある


結論は、再入学

 老害にならず、組織で成果を上げて賞賛されるひとになるには?

結論からいうと、”今とはちがう場所で初心者になる” です。

表紙抜けですか?もしくは、不可解?実行できなそう?

くわしく解説するので、どうぞご安心ください。
さらに組織内のみならず、将来組織を超えて活躍したいあなたにも、朗報が。
(さきに朗報が気になるひとは、”21世紀を代表したいあなたへ”をお読みください。)

本来”ない”存在を生み出す秘密

 前回、細胞の例を用いて『”老い”とは”分裂とそれによる変化ができなくなること”』とお伝えしました。
つまり逆説的に、老化そのものに対応するには、変化を外的環境により引き起こすことが必要です。

レモンやデコポンの栽培方法に、”接ぎ木(つぎき)”と呼ばれる技術があります。本来なら別種のデコポンの木に、レモンの枝をつけると、接着しレモンの枝から実がなる。

その方法は、まずどちらにも傷をつけ、傷口の細胞分裂を活発化させる。その後つなぎしばらくすると、細胞レベルでは見事に癒着し、枝まで養分や水が流れる。

もちろん厳密には細かい手順や専門知識が必要ですが、自然界に存在しない植物を生み出せる点を考慮すると、手順は拍子抜けするほどです。

Welcome to ”Pain World”

 これを組織と人にあてはめるとどうでしょう?

いまあなたがいる組織で幹細胞側、つまり周囲に分裂と変化を促す立場になった際、まず傷をつけることが必要です。

ここでの傷とはなにか?それは、いまの組織からの分裂、つまり離脱です。といっても、なにも会社を辞めることや独立を推奨しているわけではありません。

いまの時間のなかから、ちがう環境に踏み出す。たとえば趣味の教室に通う、副業の一歩として知り合いの会社を手伝ってみる、など。

もちろん、傷には痛みがともないます。
大量出血するほどの傷は命に関わるので、反応として至極当然。ただ、かすり傷にも過剰な恐怖を覚えていては、人としての成長もありません。

葛藤しているか?は人の成長のバロメーター

 元ハーバード大学教育研究所のロバート・キーガン教授は、成人の成長の段階と過程を”成人発達理論”として提唱しました。

そのなかで、成人の発達には2種類の成長があり、認知や視座の成長を”垂直的成長”、スキルや知識の成長を”水平的成長”を呼んでいます。

加藤洋平『なぜ、部下とうまくいかないのか』日本能率協会マネジメントセンター)
を参考に、筆者作成

また垂直的成長には段階があり、成長するなかで”自分軸と他者軸のゆらぎによる葛藤”が必ず起こる、と示唆しています。

加藤洋平『なぜ、部下とうまくいかないのか』日本能率協会マネジメントセンター)
を参考に、筆者作成

つまり、人の精神においても変化には 葛藤=痛み をともなう。
むしろ痛みなき変化は、水平的には成長していても、視座や認識の成長には寄与すらしていない可能性も。

21世紀を代表したいあなたへ

 さらに、”変化できること”自体が与えてくれる、副産物について。

『両利きの経営』で有名なスタンフォード経営大学院教授のチャールズ・オライリー氏は、”どれだけ変化できるか?が企業の業績や社員のエンゲージメントに相関している”と伝えます。

“60社のテック企業を調査した結果、(ジョン・コッターの研究と)同様に、リスクに寛容で、挑戦を奨励するカルチャーが、株価が高くてアナリストからの評価も高かったのです。しかも、従業員/元従業員の口コミサイトのレーティングも高かったのです。

出典:https://newspicks.com/news/7721184/body/?ref=user_6871464

さらに、ABEMAなどを展開し21世紀を代表する会社を目指すサイバー・エージェントでは、採用基準を”素直でいいやつ”と定義しています。

つまり、一個人として”変化できる”とは、現代におけるキャリアの方針としてパワフルに作用します。

もとは”組織内で老害にならず、成果を上げて賞賛されるひとになるには?”から始まった本論。ですが、じつは組織外、つまりこれからの社会でも”変化すること”そのものが、成果を上げるために必要不可欠な要素だったのです。

死ぬな。生きろ。

 とはいえ、変化することを盲信し、「死ぬこと以外かすり傷」を誤解して破滅への道を辿るのは、愚か者です。

過去お伝えしましたが、破滅と失敗は異なります。両者を大きく分かつのは、”再起不能になるか否か”。

お金や時間などの全リソースを、取り返しのつかない選択肢につぎ込むのではなく、「この範囲内ならたとえ失っても生命活動に支障がない=死なない」が第一優先です。

痛みは分散できる

 それでも、ちがう組織に行き、初心者として振る舞うのは、恥ずかしい、怖い、嫌だ、バカにされたくない。

気持ちは文字通り、痛いほどわかります。ぼくもいまだに新規のお客さんとのアポイントは、事前に15分ほど深呼吸や瞑想をしないと気持ちが落ち着きません。

ただ、その痛みは分散できる。そう思ったエピソードがあります。

 友人の母親が、ある日乳がんになり、乳房の全摘出を行いました。母親自身や友人が親戚一同と悲しみにくれる中、友人のお兄さんから、友人に一本の電話が。

”そうかー。

オカン、オトンになってしもたかー。

二人ともオトンなるなんて、お金払っても経験できんなー。”

友人一家は大阪出身なこともあり、スピーカーで聴いていた周囲や、何より母親ご本人もクスッと笑い、その場の全員が救われた気持ちになったそうです。

※本エピソードは”痛みは他のひとにシェアすることで、ある程度緩和される”を補足するものであり、決して関西圏の方への侮蔑や、乳がんによるご本人やご家族の状況や感情を軽んじるものではありません。予めご了承ください。

「ねぇねぇ、聞いて」を気軽に言えますか?

 痛み、とくに精神や心の痛みとは、すべてではありませんが認知を変えることで、緩和することができます。

うつ病患者へのアプローチの一つであるCBT(Cognitive Behavior Therapy)は、事実や事象に対する認知と反応をカウンセラーと本人が客観視し、いまとは異なる認知や反応への気づきを可視化するアプローチです。

また、一般的に先進国で女性の方が平均寿命が長いのは、不安をシェアし合い、ストレスを緩和しているためとする説もあります。

ちがう組織で初心者として振る舞う。
そこで感じた痛みをシェアし合うひとや場を、一人、ひとつでもいいので見つける。

億劫になりがちなアクション。ですが、長いスパンで見ときにはきっと、あなた自身の変化と成長を後押ししするはず。

その時には『老害になるかどうか?』は恐るに足りない事象になることでしょう。


30秒で読めるまとめ

<結論>
– いつでもどこでも初心者になれたら、老害化は全く怖くない


<背景・理由>
– デコポンの木にレモンの枝をつけることができる
– できる理由は、傷つけることで細胞分裂と変化が起きるから
– 視座や認識の変化と発達にも、痛みが伴う
– ベンチャーもスタンフォードも、変化を欲している
– しかし痛みと変化を盲目的に求めるのは、破滅への道
– 物理的な痛みと精神的な痛みの差の違いに、シェアできるか否かがある


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次回は2023年03月25日(土)更新予定。

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