老舎 『断魂槍』 (翻訳後記)
老舎といえば、『駱駝祥子』という長篇や『茶館』などの戯曲で知られているが、短篇も多く残している。この『断魂槍』という短篇は、彼の自信作の1つだったようだ。
3人の登場人物のキャラが立っていて、異色の題材ながら読みやすい。持ち前の軽妙なユーモアは控えめで、それこそ無駄のない武術のように、文章が簡潔で力強い。元々この話は長篇にする予定だったのを、方向転換してだいぶコンパクトに仕上げたということらしい。当時の情勢を俯瞰するようなやや大仰な冒頭はその名残かと思われる。
老舎