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老舎 『断魂槍』 (3)

 彼のもとで腕を磨いた若き門下たちは、しばしば彼に会いに来た。彼らの多くは、これといった稼ぎもなく、それなりの腕はあれども、その使い道がなかった。ある者は縁日で芸を切り売りしていた。それは脚を頭上にスッと蹴り上げたり、武器を華麗に振りまわしたり、くるんくるんと宙返りをしたりするもので、それらを披露しがてら「大力だいりきがん」[強精剤の一種]を売りつけ、わずかばかりの銭を手に入れるのだった。ある者はぶらぶら遊んでいられなくなり、果物かごを担ぐとか、枝豆を天秤棒に下げるとかして、朝早く通りに出て、声を張って売り歩いた。当時は、米も肉も安く、多少の労力を惜しまねば、腹を膨らませることはできた。だが彼らはそれでは保たなかった。彼らは人より多く、なおかつ腹もちの好いものを食わねばならないのである。ぱさぱさに乾いた粉モノでは喉を通らない。ましてや彼らはしばしば縁日に出向き、五虎棍ぼうおどり開路つゆはらい太獅少獅おやこじしなどの武芸を奉納しているのだ。大したものではない――用心棒の仕事に較べれば――とはいえ人前に出て舞台に立つことに違いはない。そう、縁日のショーで喝采を浴びるのは晴れがましきことなのであり、彼らはそれなりの格好をしようとして、最低でもくろ縮緬ちりめんのズボンに真新しい天竺てんじく綿めんのシャツ、うろこもようの布靴を要した。(理想的なのは黒のどんのブーツである。)彼らは神槍しんそう沙子さしりゅうの弟子であり――沙子龍は認めていなかったが――どこであれ師の顔を潰さぬよう、このような見せ場では多少の身銭を切り、必要あらば喧嘩のひとつもした。銭がなくなれば、沙子龍のところに無心に行った。沙師匠はそれを追い払うこともなく、いくらかでも持たせてやり、彼らを手ぶらで帰したりはしなかった。しかし、喧嘩や奉納向けの技のため、あるいは「対練たいれん」――素手で刀を奪う方法やとう双鈎そうこうで槍に挑む方法など――のために教えを乞いに行ったりすると、彼は「なにを教えろって? お湯でもまいてろ![教える=jiao、まく=jiao]」などと冗談を言ってごまかしたり、有無を言わさず追い返したりした。弟子たちはなぜ彼がこんな態度をとるのか理解に苦しみ、いくぶんの不満を抱えていた。


〈原文〉

  在他手下创练起来的少年们还时常来找他。他们大多数是没落子的,都有点武艺,可是没地方去用。有的在庙会上去卖艺:踢两趟腿,练套家伙,翻几个跟头,附带着卖点大力丸,混个三吊两吊的。有的实在闲不起了,去弄筐果子,或挑些毛豆角,赶早儿在街上论斤吆喝出去。那时候,米贱肉贱,肯卖膀子力气本来可以混个肚儿圆;他们可是不成:肚量既大,而且得吃口管事儿的;干饽饽辣饼子咽不下去。况且他们还时常去走会:五虎棍,开路,太狮少狮……虽然算不了什么——比起走镳来——可是到底有个机会活动活动,露露脸。是的,走会捧场是买脸的事,他们打扮的得象个样儿,至少得有条青洋绉裤子,新漂白细市布的小褂,和一双鱼鳞洒鞋——顶好是青缎子抓地虎靴子。他们是神枪沙子龙的徒弟——虽然沙子龙并不承认——得到处露脸,走会得赔上俩钱,说不定还得打场架。没钱,上沙老师那里去求。沙老师不含糊,多少不拘,不让他们空着手儿走。可是,为打架或献技去讨教一个招数,或是请给说个“对子”——什么空手夺刀,或虎头钩进枪——沙老师有时说句笑话,马虎过去:“教什么?拿开水浇吧!”有时直接把他们赶出去。他们不大明白沙老师是怎么了,心中也有点不乐意。

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