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道楽夜怪
2024年7月8日 22:09
ある秋の日の事です。あなたはいつもの様に疲れて帰って来ました。誰も居ない部屋でゆっくり休んでいると、玄関の方から「コンコンコンコン」と、ノックの音が聞こえたのです。何も気にせず、いつものように「はーい」といって玄関まで行き、ドアノブに手を掛けた所で、「何か」がおかしい気がしました。まず、何故この部屋にはインターホンが着いてるのに鳴らさないのか。さらに、何故ドアの向こうにいるこいつは、
2024年7月29日 23:08
これは、あるおじさんが子供の頃体験したお話です。ある日、少年が濁りきった川の近くを通ると、水面に何かが浮かんでいました。それは虎の爪のようなもの。黒く光り、先端は鋭く、まるで何かを待ち伏せしているかのようでした。少年は不思議に思い、石を一つ投げてみました。するとコツンと跳ね返り、爪のようなものは沈みません。どこまで耐えられるのか気になった少年は、次々と石を投げました。ですが、その爪
2024年8月5日 18:04
今作は、元友人のSちゃんの為に創った恐ろしい怪異のお話です。最初に忠告しておく事があります。この話を読んでから3日間は、できるだけ怪我をしないよう心がけてください。もし、不幸にも怪我をしてしまった場合は、なるべく血を見ないようにして急遽止血しましょう。そうすれば、赤ピエロも出ることはないでしょう。さて、このお話はそんな忠告を無視したがために、この怪異に出逢ってしまった不幸な少女のお話で
2024年7月22日 11:19
これは、牛舎で働くある男のお話。ある日、一度も交尾した事の無い食用牛が突然子を孕んだかのように腹が出ていたのです。驚いた男はすぐに医者に見せると、この牛は本当に子を孕んでいると。そして、レントゲンの結果、子牛の影が妙だといいます。妙、という理由はその子牛の顔の骨格がまるで人間の頭蓋骨のようだと言うのです。そして続けて医師はこう言いました。「これはひょっとしたら『件』かもしれない」と
2024年7月15日 22:50
ある日、私が寝ようとすると、不思議な現象が起こりました。ベッドに入り、目を閉じると、すーー、と落ちるような感覚がして突然「とぷん」という音がしたかと思うと、ベッドや掛け布団の感触は無く、いつの間にか水中に居たのです。ゆっくりと目を開けると、体は海の上に浮かんでおり、満天の星空が目に映りました。そして、潮の匂いと水の感触だけしかない状態で体は抵抗する事無く「ゆら~り、ゆら~り」と流され
2024年7月1日 17:48
これは、じっとりとした熱帯夜のお話です。あなたは二階の寝室で、身体を汗が這う不快感と共に、なかなか眠りにつけずにいました。心の隅には、日中の疲れや、明日への不安が重くのしかかり、それがあなたを眠れなくさせていたのです。そんな静寂を破るように、窓の方から「コツン」という軽い音が響き渡ります。一度ならず、二度、三度とその音は繰り返され、やがてその間隔は不規則に、音の大きさも次第に変わり始めま