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言葉の宝箱 0137【自信がないなどと泣いていられない。ないものは、作るしかない。作るには、とりあえず努力しかない。結果がどう出るかなど知ったこっちゃない。出来る努力を地道にやる】

『しゃべれどもしゃべれども』佐藤多佳子(新潮文庫2000/6/1)

噺家のお仕事小説。
内容も良く面白いが文体が流れるようにすらすら読める。
キーワードは「自信」。主人公は26歳の噺家。
うぶな恋愛小説としても愉しめる。

・自信がないなどと泣いていられない。ないものは、作るしかない。
作るには、とりあえず努力しかない。
結果がどう出るかなど知ったこっちゃない(略)
出来る努力を地道にやる P183

・自信って、一体何なんだろうな。
自分の人柄が愛される、自分の立場が誇れる――そういうことだが、
それより、何より、肝心なのは、
自分で自分を“良し”と納得することかもしれない。
“良し”の度が過ぎると、
ナルシシズムに陥り“良し”が足りないとコンプレックスにさいなまれる。
だが、そんなに適量に配合された人間がいるわけがない、
たいていはうぬぼれたり、いじけたり、ぎくしゃくと
みっともなく日々を生きている P220

・自信というのは本当に不思議なもので(略)
よし、とうなずいてもらってから、
急に何でもこいという気持ちになった(略)
自意識過剰というのはなかなか打つ手のないやっかいな病で、
力を抜けと言って簡単に抜けるものではなかった。
長い時間をかけた地道な努力が必要だ P291

・一期一会というんだよ(略)
お茶の心だよ。同じお茶会というのは決してない、
どの会も生涯にただ一度限りだという心得さ(略)
だからこそ、
毎度毎度面倒な手順を踏んで同じことを繰り返し稽古するんだよ。
ただ一度きりの、その場に臨むためにね P305

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