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言葉の宝箱 0296【本当に美しいものって、とても無防備で無軌道なんですよ。だから、誰をも感動させる力があるのね】

『樹下の想い』藤田宜永(講談社文庫2000/7/15)


華道家元の娘・絹子を秘かに愛する花材職人の平賀誠吉。想いは通じても、家元令嬢と出入りの職人という境遇の違いに阻まれ、結ばれぬまま別々の人生を歩むことに。躊躇い、思いやり、じっと泡立つ激情を永く胸に閉じ込めてきた男と女。心に刻みつけるような忍ぶ恋。大人の恋愛小説。

・浮気のひとつやふたつ、笑ってすませられないほどの堅物ではないし、
男と女にはやはり、
一般的なモラルでは計り知れないものが潜んでいる P24

・宿命に逆らえば皆が不幸になる P80

・一夜の激しさがふたりを襲っても、
将来のことを語り合うような間柄に辿りつくはずのないことを、
お互い暗黙のうちに承知していた P156

・女ってそういうところがあるんじゃないかしら。
終わったことは終わったことだもの。
でも、男はそうはいかないみたいね。
初恋の人を今も思ってたりするってよくあるじゃない P215

・いい歳をした大人が、
手ひとつ握らず、他の女をずっと思い続けてるなんて不健康でしょう P217

・本当に美しいものって、とても無防備で無軌道なんですよ。
だから、誰をも感動させる力があるのね P332

・死ぬとは、季節から見放されることか P344

・物の値段なんていうものは、
買いたい人間と売りたい人間の欲望の強さで決まる P379

・ひとつひとつ気がかりなことが解消されてゆく(略)
それが嬉しくもあり、また悲しくもあった P393

・生け花が美しいのは、
咲き誇る花のうちに死滅の予感が秘められているからだ P402

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