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スキーをお金にする場所

一本目:スポーツとしてのスキーの限界

二本目:旅としてのスキーが持つポテンシャル

ときたスキービジネスシリーズ。

三本目からは、具体的にどうやって「旅」としてのスキー、スノーボードがお金を稼ぐのかを考えてみたい。

賛否両論いろんなご意見を頂けたら嬉しい。

観光業界の大きなトレンドから話をスタートしてみたい。

観光のマーケットは大きく分けて、
①飛行機や電車、クルマの移動、
②宿泊、
③そして目的地での滞在期間中のアクティビティ、
の3つがある。

①②はGoogleやExpedia、skyscanner、Airbnb、Uberから航空会社や車メーカー、各国の鉄道会社、レンタカー会社まで、大企業がこれまで長い時間をかけて誰でもスムーズに旅ができる世界を作るために努力してきた分野だ。

何千人ものエンジニアが長年磨き上げたアルゴリズムによって、座席やベッドの「在庫の整理」がほぼ終わって、いまは誰でもスマホで自分に最適な商品が探せる。

もちろん、移動や居住の概念自体がこれから変わっていくかもしれない、という大きな話はあるが、今あるものはほぼ検索できる。

一方、まだ商品そのものに開発の余地があり、誰も知らないコンテンツもたくさん眠っている③のところに、旅のコンテンツとしてのスキーのチャンスが眠っていると思う。

例えば「バックカントリースキー」なんて、すごい中毒性のある遊びなのに、世の中のほとんどの人は聞いたことも無いはずだ。

実際、いまExpediaやtripadvisor、Airbnbなど、①②を主戦場として成長してきたIT企業は③の領域に大きな投資をしている。

詳しくは掘り下げないが、海外では100億円以上調達しているスタートアップ企業もあり、国内でもJTBやHIS、楽天トラベルなど大手もこの領域に出資している。

メルカリも次の事業の柱として「旅」の領域を狙っているそうだ。


メルカリが狙う次のユニコーン、テーマは「旅」

この記事には詳しく書いていないが、かなり高い確率で、「アクティビティを簡単に売って買えるサービス」を作ってくると思う。

観光の話からスポーツの話に戻す。

③の旅行体験のマーケットを狙っていけるスポーツの中でスキー、スノーボードは、「天然雪の(まともな)スキー場がアジアで日本しかない」という、大企業や国が大金を積んでもどうにもできないアドバンテージが日本にある、とても面白いコンテンツだ。

国内市場は縮小しているし、インバウンドのスキーも旅行業界全部からすると今は小さな規模かもしれないが、2022年の北京冬季五輪を前に千載一遇のチャンスを迎えていると言って良いと思う。

ただし、スキー体験を売る場所として「旅のメルカリ」のようなサービスが適しているかは考える必要がある。

スタジアムにサッカーを見にいったり、美術館や高尾山に行く体験と違い、スキーは初心者のゲレンデスキーからバックカントリーまで、体験の強度の幅が広く、客の嗜好とサービスプロバイダー(スキー場やインストラクター、ガイドなど)のレベルのマッチングが難しい。

じゃあどうすれば良いのか。

それは次回以降。

フリーライドスキー/スノーボードの国際競技連盟、Freeride World Tour(FWT)日本支部で、マネージングディレクターおよびアジア事業統括をやっています。