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Column 3

体の共鳴で相手を知る

人のコミュニケーションには、言葉とボディランゲージという大きな二つの方法があります。私がトレーニングやヨガを指導する際には、相手の呼吸やリズムに合わせてコーチングをしています。

それが合わないとペースが乱れることに繋がりますが、逆に言うと相手の呼吸や意識に合わせた声掛けをして、上手く共鳴できればポテンシャルを引き出すきっかけにもなるのです。

また、相手のタイミングや呼吸に連動することは、相手を知るための大事な要素でもあります。例えば指導したことをしっかり理解できているかということや、楽しんでいるのかということは相手の表情や、息遣い、体の使い方で知ることができます。

実際に私がトレーニングを指導する時には、トレーニーを見ていて自分で感じたことや相手の体感値を、トレーニングの合間や終了後にフィードバックし合うことを大切にしています。

そもそものズレが大きいと同じゴールに向かうことができないですし、感じた違和感(の輪郭)がその場ではっきりと分からなくても、後に腹に落ちることに繋がることもあるからです。

だからこそ感じた違和感というものを大切にしながら相手のことを知ることや、相手と共鳴することが重要なのです。

体育を体と向き合うきっかけに

以前私の姪と公園に行った際、こんな会話をしました。

姪「逆上がりできひんねん…」
私「いやいやいや、絶対できるで」

姪「(一番低い鉄棒で失敗する)ほら…」
私「笑。身長に合ってない高さでするから逆に難しいわ! こっちの高いの鉄棒でやったらスグやで」

姪「・・・。(自信なさげにやってみようと不安顔)」
私「よし、見てて。見本見せるわ、コレ!」

どうにかして彼女の不安を払しょくしたくて十数年ぶりに逆上がりをやってみました。すると、自転車の乗り方と同じで体がしっかりとやり方を覚えていたのです。それから脚の使い方をアドバイスすると彼女は逆上がりを成功させ、「おお!できた!」と驚いた表情を見せました。

「いやいや、本来あなたはできる子よ。高い方でも普通にできるからやってみたら」と話すと、そこから彼女はクルクルクルクル何度も、何度も体に感覚を染み込ませるように逆上がりをしてました。

日が暮れてきたので、そろそろ帰ろうと言うと、姪は「もうちょっとする」と真剣な眼差しと横顔でこれまでの不安を払拭するかのように逆上がりをし続けてました。この姿を見て、

・本来ポテンシャルがあるのに生かせてないのでは?
・体育の授業では逆上がりができなかったのはナゼ?
・逆上がりができないのは恥ずかしいことじゃないよー

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といったことが私の中に込み上げてきました。
そこから私が感じたことは、体育の時間では自分の体や心と向き合うことや、正しい体の使い方にはあまり時間が割かれていないということです。

欧米を見てみると、幼少期から複数の競技に触れながら体を育み、体の使い方を覚えるように、自分の体と向き合う機会があります。

その時にできた習慣は大人になっても継続され、例えば出勤前にジムに通ってトレーニングをするなど、それぞれが自分の体や心と向き合い、レベルに合わせてスポーツやエクササイズを楽しんでいます。

日本は幼少より地域でスポーツに関われる機会に恵まれている一方で、体の成長よりオーバーユースがきっかけで怪我をしてしまうことが多いのが現実です。こうした課題を解消させるためにも、選手や子ども自身が自ら気づくことが大切です。

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実際に昨年の緊急事態宣言下で行動に制限がかけられてしまいましたが、その期間家族は私と一緒にストレッチやヨガをしたり、自主的に運動をする機会が増えました。

その結果、家族同士でもこれまでにはなかった、体や心と向き合う時間ができたと思っています。そんな時間が体育の授業を含め、増えることを強く願っています。


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