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戦略を練り切れない"にわかマーケター"はマーケティングでどう生き残るのか?

名だたる経営者が多い中、ぼくはマーケターで言うとまだまだ頭が堅い方だなぁと日々感じます。

それと同時に、個人で生きる時代だ!と色んなところから聞こえ、
個人のブランディングはもはや必須という時代、文化が醸成されつつあるとも感じています。

とはいえ、具体的にどうすれば良いのか?発信に適した見せ方は?など、集客アドバイザーが増えてきているのを見ると"個人ブランディング"の需要が確かにあることが分かります。

序章.現場は、そこまで意識を回したくない

なかなか日常に忙殺されていると、日々の生活で精一杯です。

個人ブランディングするくらいなら、定時で会社を出て合コンに行き、かわいい女の子とお酒を飲み、帰ってから話題になっているドラマの録画を見て、仕事のストレスを発散する。
ブランディングの優先順位は圧倒的に低い。

SNSを見ると、世の中に成功者ばかりいるように錯覚してしまうからこそ、モチベーションが上がらないこともあるかと思います。
・「費用対効果」を求める
・「コツコツと行う地味な作業」に魅力を感じない

そもそも、個人ブランディングなんかできなくても会社が生かしてくれる、という社会全体の空気感はありますし、その安心感があるからこそいまの日常が守られる。
1日の決定の遅さがその先何か月の売上に左右されるといわれる経営者とは立場がそもそも違い、交わることの無いねじれの位置にあると考えています。

とはいえ、同年代の人たちが社内マーケターや経営者として活躍しているのを見て焦るばかり。
ぼく自身もかつて、いまの自分から強みを見つけるには?といった答えがありそうでなさそうな悩みをかかえ、悶々と日曜の夜を過ごすこともありました。

序章2.日々の時間の中で、何を意識している?


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出典:https://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/1204/19/news008.html

ぼくがディレクターとして働いている中で過ごす時間の多くは、
・「たくさんの仕事で、方向性や優先度の判断」を決める「作戦」を迫られる
・「ある仕事に対して、どのようにリスクを減らし、何をすることで最大の価値を提供するのか」といった「戦術」を練る
などの場面が次から次へと舞い込んできます。

「戦略」「作戦」「戦術」の捉え方について体系的に理解して自分の強みが見えてくると、今後のマーケティング業界での現実的な生き残り方がわかるかもしれません。

ぼくの取り組み方がすべてのひとや会社に合うわけではありませんが、
環境は違えど一定共通しているかなーと考えています。

1.自分はどういった立ち位置でいまの仕事に取り組んでいるのか?

nanocolorの仕事の進め方は、まず代表とぼくが打ち合わせに行き、クライアントと話をする。
その中で、①相談内容の中から本来の課題を見つけ、②そのロードマップをひくことからはじまります。

①本来の課題
クライアントが思っている「悩みとその解決手段」がクライアントの事業にとって本当にそうなのか、などを深堀りします。これは代表が得意な「戦略」の領域です。

②ロードマップをひく
話の中から、具体的に進めるとなった場合は何から着手すべきか?スケジュールはどうあるべきか?を決めること。これはぼくが得意な「戦術」の部分。

前職の広告代理店でやっていた仕事であれば、
「戦略」はそこそこに、広告運用やアフィリエイトとしての手法である「戦術」にぼくはステータスを全振りしていました。

いまもこういう話を考えるのがストレスにならないのは、このときの経験が生きているんだなぁと思います。

2.「戦略」ありきの「戦術」

こうしていろいろなお取組みがスタートしますが、
「サイト構成設計」「広告運用」はいずれも「戦術」でしかなく、根っこである「戦略」が無ければなにもはじまりません。

ここで考えるのは、「戦略なくして戦術なし」ということです。
例えばぼくは、前職では運用(戦術)に関しては長けていたけれど、そこから生まれるクライアントのメリットは微々たるもの。
(改善して、CPAがいくら下がったというだけの話。。。)

自分にはこの役割を任されているから、それを全うしていれば良いんでしょ?といえばそれまでなんですが、
手法(戦術)は「ハウツー」であって、調べれば誰でも扱えるものばかり。

そこに希少性はほぼありません。
売っているのは「作業」や「時間」であり、作業単価・時間単価の計算からは抜けられず、「効率性」が最優先事項になります。
言われた通りのキーワードを入稿したり、流行のサイト構成を模倣したりなどをすることで、数をこなすことができます。

例えばデザインでも、Photoshopの操作方法は学校や独学で学べますが、
市場価値の高い商業デザイナーやクリエイターが生み出す考え方は、なかなかマネできません。

活躍している人たちの話と聞いている限り、ある分野に特化しているひとは、非常に重宝され、その結果なんらかの実績があるのだなぁとおもいます。
特に、他の人が持っていないものであれば、希少性が高くなり、その人自身の市場価値は上がります。

何かに特化するのはすぐに難しい。そもそも何に特化すべきか分からない。

となると、ぼくらが目指すべきステータスは、上流過程である「戦略」なのか?

3.「この人に相談しておけば大丈夫」「クライアントの希望通りにデザインをするひと」というブランディングも短期的には有効

企業や個人のフェーズによって、「作業単価」「時間単価」で売ることで個人のブランドや、アイデンティティを確立することもあります。

例えば、ぼくがやっている領域では、クライアントの希望通りに要素を盛り込めば「山下に進めてもらえればなんでも言うことを聞いてくれて、納品までスケジュール通りにできる」とクライアントに思ってもらえます。

これは、ほかのプロジェクトとの優先順位の取り方や、方向性が間違っていなかったともいえ、時には「作戦家」としての成功であり、また広告設計で運用がうまく回りCPAが下がれば「戦術家」としての成功になります。

デザイナーも同じ。いかに早く納品するかを考えると、クライアントの希望通りにデザインを行い、提出する。
Photoshopの操作が早ければ、「戦術家」として成功です。

リスクを避け短期的に実績を作るフェーズだと、こういった小回りが利くひとは「作戦家」「戦術家」としてブランディングができているかと思います。
成果物を納品すればゴールであれば「戦術家」としてガンガン活躍ができるます。

ところがそれは短期的な実績作りのみに有効で、同じ「手段」を持つ競争相手が多い分、希少性が下がります。
次にクライアントから求められる条件は、きつい納期に耐え、低い単価で行ってくれるひとです。

いわゆる、御用聞きの何でも屋ですが、個人的にはこの経験もぼくにとっては大事だなぁと。いばらの道なのでオススメはできませんが。。。

4.狙うべきは、「戦略」を「作戦」に落とし込める「戦術家」

ぼくは現場の人間なので、根っからの「戦術家/作戦家」です。
「戦略」は熱量と経験が提案・実績に伴わないと難しいとは肌感覚で感じていました。

だからこそ、「代表の戦略」から「各作戦の優先順位へ→現場での戦略」というルートへと変換を担うことにより、
「販売戦略」を練られる人がそれにステータスを全振りする時間を作れるようにできればと考えていました。

徐々に、自分にとって実践できる「戦略思考」はどこから養っていくのか?これはオープンなハウツーではなく、お取組みの中でのノウハウがほとんどでした。

ちなみに、この「戦略」と「戦術」の両軸をやると、結構な数の壁にぶつかります。
・前回はこの進め方で良かったはずなのに、今回は違う
・戦略のフレームワークが存在しないため案件ごとにアレンジが必要
・トレースして使える理論がどうかは案件のゴールによって全然変わる
・進行が目的ではなく、戦略とずれていないか都度立ち止まって現在地を確認
・だめなら一コマ前に戻り、もう一度戦略を練り直すところからやる

齟齬をねじ伏せずに、お互い納得して進行していく。
これらを意識するだけで取り組みの中で未然に防げることがたくさんありました。

・戦術の着手前→戦略に戻る→戦術
納品スケジュールを伝えて進行着手するも、実はクライアントのターゲット設定がグラグラだったため、ターゲット設定をやり直しより母数の多いターゲットに再定義の提案を行う

・戦術の着手前→作戦に戻る→戦略に戻る→どの作戦をとるのか決める
代理店ディレクターがクライアントの指示だからとデザインの指定があるお取組みは、戦略も任せてもらえるものなのか、あるいは作業として求められている領域なのかを見極める

・戦術の着手前→戦略に戻る→作戦の枠組みを作る
デザインに対し主観的な意見が抜けないクライアントに対しては、「メリハリをつけて欲しい」「もっと目立たせて欲しい」などをフィードバックをもらわないように、着手前にデザインの細分化を先に行い、枠組みを作る

隠していてもしょうがないので、nanocolorではスキーム的な考え方や取り組み方については、もっと具体的にすべて公開していく予定です。

5.戦術家としての責任

どれだけ戦略を固めても、戦術の段階でクライアントは無意識に戦略を覆してしまうこともありますし、それに悪気を求めるのは筋違いかと考えています。

そもそもそんな事態が起こるのは、任されたひとが戦略を立てる際にターゲットの定義やデザインの細分化ができていないから発生することがほとんどです。いずれも戦略~作成の落とし込みができていれば、未然に防げるはずなので。

、こんなことを言いながら、ぼくはよくこれができていなかったので、代表に意見をもらいながらなんとかできていました。

なので、
戦術家が戦略思考に近づける一番確実な方法は、戦略家と出会い、その人に一番近い場所で、自分の足りない目線を養い、良くも悪くも実績を目の当たりにすることだと考えています。

ぼくらがここまで徹底する理由は、「戦略」も含めてクライアントにお任せいただき、お金をお預かりし、責任をもってお取組みをしているからです。
「手段」の話は枝葉であり、ゴールをきちんと決められれば、成功のための手段がWebでもCMでも、アナログでもデジタルでもなんでも良いのです。
(※これを費用対効果を最重視すると、アングラな集客・広告は短期的施策しか残らなくなってしまいますが。。。)

6.まとめ:「戦術家」は「戦略家」と良い緊張感と、バランスを。

ステータスを「戦略」に全振りしている戦略家は、自分が立てた戦略を具体的にどう落とし込むのかイメージはできていますし、作戦や戦術の実行者としての経験を踏んだ上で話をしています。

しかし、ゴールは明確だけれど領域が広くなればなるほどロードマップは抽象的になりがちなので、具体的に何するの?という戦略に落とし込むディレクターやプロデューサーが必要になります。

戦略なくして作戦なし、作戦なくして施策なしなので、戦術が無ければ良い結果にも悪い結果にも到達しません。
この絶妙なバランスでモノゴトは回っています。

よく「言語化」などと言われる力は、こういった戦略と戦術を言ったりきたりする機会を多く持てば持つほど、求められます。関わる人が増え、それぞれの前提理解がバラバラだからです。
そこには「頭でっかちの手法の話」をメインに立たせることは不要かもしれません。

どのように伝えれば、最高の成果を現実にできるのか、これを実現できる考え方や伝え方を知っている人が本来の意味での「ロジカルだ」と言われているのではないでしょうか。

"個人ブランディング"という考え方だけが先行し、今任されている仕事の範囲と全く別のことを挑戦するのはリスキー。

今いるところから少し領域を拡張するだけで、自分が生きる時間をもう少し自分の思い通りに動かすことができるんじゃないのかなーと思ったりしています。


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