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#現代短歌
短歌12: 「こんな世界で」30首
暗闇に見える光のようなもの希望も闇に逃げたっていい
どうしても生きたい理由は見つからず死にたい理由もまた見つからず
目の前の誰も救えず泣いている神様に差し出したハンカチ
大丈夫ナイフで刺せば血が出るし殴れば歯とか抜けるよあいつも
せめてもの抵抗無言で舌を出すマスクの中はいつも強気だ
「あこもこばりぐだめぐな」と祖母が言う分からないけど頷いておく
味のないガム、溶けたチョコ、結末に意味の
短歌08:自作テーマ6首
テーマ「恋」
真夜中に電話したくて会いたくて傷つくことも承知の上で
すれ違うほんの瞬間思い知るあの子は私ではないことを
テーマ「ひとり」
まだなにも成し遂げてないそれなのに夜中にポテチひとりで食べて
今までもひとりだったしこれからもひとりで平気いい子でいれる
テーマ「電」
電柱についてる蝉が3日目で死ぬのを選ぶそれも自由だ
リモコンの電池が切れて買わなきゃと思って今も動けない部屋
短歌:07 「生活」5首
未練、傷、ひとりの時間ワンルーム伸びてる爪を切ろうか悩む
目玉焼き綺麗に焼けた丁寧な暮らしを見せる相手はおらず
悲しみが消えないうちにとりあえず袋ラーメン鍋に投げ入れ
かまわないほこりまみれの鏡でもどうせ見るのは嫌いな自分
うつむいて歩く視線の先にある影すらぼくを嘲笑うのか
短歌:06 「友の命日」6首
「友の命日」6首
小説のようだと思った冷たい手友達がもう死んでいること
「ご冥福お祈りします」という声に親族席は俯いたまま
「久しぶり」そう言われても喜べず、級友達は頷き合うだけ
お焼香やり方調べ祖父以来参列してる友の葬式
葬儀場に響くお経と泣き声 遺影の写真だけが笑う
友達とスイカを食べたこの家に線香落ちる静かなお盆