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山際響
2022年6月22日 20:21
満月の光が、ビルの表面や谷間、そして控えめに生えている街路樹の根本など、理子が目にする全てに降り注いでいる。駅からだいぶ歩いた。人通りも建物のシルエットも無くなってくる。 そして、このあたりに、あの人の家があると考えると、急に喉が渇き、気管のあたりがざわつき、空咳がいくつか出た。あの人の家は記憶にしっかりと残っている。ここ一年は記憶があいまいだった。何処か遠いところをさまよっていて、気が付くと、