『火花』編集者 浅井茉利子さん

東京国際ブックフェアで聞いたお話。
(東京国際ブックフェアのレポはこちら)


「小説」がうまれるまで編集者が本作りにどうかかわるのか
又吉直樹『火花』の担当編集者 浅井 茉利子さん


浅井さんは早稲田大学出身(関連記事)
現在は文藝春秋の『文學界』を担当されている。

◇編集者は最初の読者
作家と作品は別のものであり、作家がその作品の良さを一番よく分かっているとは限らない。
作品を理解し、その作品の良さ、価値を見出すのが編集者。
作家が原稿を編集者に渡すとき、初めて作品に他人が目を通す瞬間になる。
だから、一番の読者でありたいと思っている。
良い原稿、面白い原稿を受け取った時に、編集者として喜びを感じる。

◇『火花』の話
きっかけ:文学フリマで又吉さんと偶然会う!(どちらも一参加者として来ていただけ)
ー出会った当初の又吉さんー
「こんな自分が小説なんて書くべきではないんじゃないでしょうか...」

ー芸人の物語を書くことにした又吉さんー
「主人公と作家が重ねられてしまうのが心配」
(浅井さんコメント:たとえ私小説というジャンルであっても、作家本人の話ではないのに、主人公と作家は重ねられてしまいがち。)

ー芥川賞にノミネートされた時の又吉さんー
「とらないと思います」

◇本について
編集者になったことで、小説を書くのはものすごく大変なことだと分かった。
言葉だけで物語を書くすごさ。

この世の中では不条理なことも解きほぐせない感情もたくさんある。
だけど、本格ミステリの本を読んでみると理路整然としている。
そういった自分の好きなものを、それを好きで書いている人がいるという救いもある。

◇聞き手の『BRURUS』編集長 西田善太さんのコメント:
ある作家さんが、「本を読むことで死んだ人と話ができる、友達になれる」「本を通してたくさんの知己を得た」というような表現をされていた。
(どの作家さんだろう)

西田さんのおすすめの本は、リチャード・バック『イリュージョン』だそう。

◇「電車で本を読む光景も見られない活字離れの現状をどう思う?」という聴衆側から出た質問に対して、お二人の見解
「本を読むのは文化だ」という価値観で、本を読まなくなった事実を嘆くのはおかしい。
本を読むことだけが文学に触れる方法だとは思わない。
本を読むのは、暇つぶしであって、あくまで趣味の一つに過ぎない。
たくさんのコンテンツが溢れる現代では、その時間の取り合いになっていて、楽な媒体に流れてしまうのは仕方のないこと。

面白いものをもっている人はたくさんいる。
その面白さを引き出すのが編集者の仕事。


編集者ってすごいな

AY

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