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「インスリンの働き」初級講座⑥ 語る前にセリフを覚えましょう

「インスリンの働き」初級講座
イントロ+まさかの修了書授与
②血糖値を下げる
③ブドウ糖の取り込み
④タンパク質の合成を促す 
⑤体脂肪の合成を促す
⑥語る前にセリフを覚えましょう   ←今回
⑦インスリンが多すぎると困るわけ

この初級講座(別名「インスリンとは……を語れる人になる講座」)にいつもお付き合いいただきまして、ありがとうございます!

基礎的な地味な解説で、淡々と回を重ねてまいりました。

そろそろ機も熟してきた頃合いでしょう。
今回から具体的な語り方について語りたいと思います。

どうしたら、インスリンについて分かりやすく、誰かの役にたつお話ができるのか?

まず、絶対やった方がいいのは……

カギになるフレーズを
頭に入れておくことです。


こんな質問をされたら、このフレーズを答えれば良いとか。

まずフレーズ1を話し、続けてフレーズ2フレーズ3と展開すれば話の流れを理解してもらいやすいとか。

こうした準備が整っていた方が
話す時に楽ですよね?

ちなみに、小説家だった父が最初に書いた栄養関係の本(『システム料理学』)の第一章のタイトルは、「丸腰で立ち向かうな」でした。

何かを説明したい時も、丸腰でノコノコ出ていってはいけません
「決めセリフ」的なフレーズが用意できているかどうかで、勝敗は決まってしまいます。

ということで今回からは、皆さんが誰かとお話ししている場面を想定して、インスリンの語り方について解説していきます。

インスリンは、食事をした時に分泌される

「インスリンって、血糖値が上がった時に出るんでしょ?」
「血糖値を上げるのは糖質だから、インスリンを分泌させるのは糖質だけでしょ?」

「インスリンが出るのは、糖質を食べた時だけではありません」
「インスリンは、食事をした時に分泌されます」
「食事をすると、いろいろなメカニズムが働いてインスリンが分泌されます」

「確かに、血糖値が上がった時にはインスリンが出やすいです。でも、インスリン分泌に影響するのは、血糖値だけではないんです」
「ですから、血糖値を上げる食べ物は、ご飯だけではありません。お肉でもお魚でもインスリンの分泌を促します」

薄字の文章が、お相手の方が話したこと。
太字が、ぜひ皆さんの頭の中にストックしていただきたいフレーズです。

太字フレーズは、いつでも最初から最後まで丸ごと話す必要はありません。
状況に合わせて、マッチしたものを選んでください。

なぜ、こうしたフレーズを
使った方が良いのか?

1つ1つのことを、ハッキリさせたいからです。

ハッキリ分かっていることは
ハッキリと伝えて
ハッキリ理解してもらう。

それによって、「問題の原因がどこにあるか」も、「どんな対策をとれば良いか」もハッキリと見えてきます。

「シッカリ」を連呼するサッカー解説者の松木安太郎さんみたいになってしまいましたが……(笑)

要するに、1つ1つハッキリさせていくと、意味のあるお話ができるということです。

今回のフレーズの中で、話す時に思いっきり太文字にして、フォントの級数を上げてほしい決めゼリフは、コチラです。

インスリンは
食事をした時に
分泌されるんです


糖質を食べた時だけ、分泌されるわけではありません。
食事をすること自体が、インスリンの分泌を促します。


ここをハッキリさせておくことが、その先に「血糖値を安定させる食事の仕方」を説明する時の重要な布石になります。

ですから、初めにガツンとクサビを打ち込んでおいてください

クサビがピンとこなければ、本丸を落とすために、あらかじめ外堀を埋めておいてください

あるいは、ストレートを一発かませるように、まずジャブを当てておいてください

分かりやすく言うと、そんな感じです(笑)。

本題に戻りましょう。

インスリンは、食事をした後に分泌されるホルモンです。

実際には、食事に関係なくいつでもわずかな量は分泌されています(基礎分泌)。

それに加えて、食事をした後にはドサッと大量に分泌される、ということです(これは追加分泌と呼ばれています)。

食後は、インスリンの追加分泌がスタート

おおざっぱに言うと……
インスリンの分泌を一番促しやすい栄養素はやっぱり糖質。
その次がタンパク質、その次が脂質
という順番です。

食事をした時、なぜインスリンが分泌されるのか?
その理屈も知っておいた方がいいですね。

インスリンの分泌を促すメカニズムは3種類あります。

メカニズム 1
血糖値の上昇

血糖値の動きはいつでもモニタリングされていて、脳(の視床下部)やすい臓が「血糖値が上がった!」と気づくと、インスリンの分泌が促されます。

血糖値の上昇に直接かかわっているのは糖質なので、このルートでのインスリン分泌では、糖質の影響が圧倒的に大きいです。

血糖値は、血液中のブドウ糖濃度ですね。

メカニズム 2
副交感神経による刺激

食事をしている時は、五感を通して「おいしい刺激」が、脳に続々と届けられます。

それによって脳は、「あっ!今、食事をしているんだな」と気づきます。

気づいた脳は何をするかというと……

副交感神経を通して、「食後にマッチしたアクションを起こしなさい」といろいろな臓器に指示を送ります。

その副交感神経の作用の一環として、インスリンの分泌も促されているのです。

このメカニズムでは、糖質もタンパク質も脂質も関係ありません
食事をすること自体がインスリンの分泌を促すことになります。

副交感神経は、消化酵素の分泌も促します


メカニズム 3
インスリンの分泌を促すホルモン

食事をした時には、胃や腸からインクレチンというホルモンが分泌されます。このホルモンにも、インスリンの分泌を促す作用があります。

インクレチンの分泌を促す分子はたくさんあり、その中にはアミン酸脂肪酸も含まれます。そのため、タンパク質や脂質も、インスリン分泌量を増やすことにつながるのです。

GLP-1は、糖尿病治療薬やダイエット薬として話題沸騰中


実際にお話ししている場面を
シミュレートしてみましょう。

基本的な流れは、こんな感じ。

決めゼリフは、大文字かつ太文字で

実際には、メカニズムを詳しく説明する必要がないケースも多いでしょう。

「とにかく早く薬をだしてくれ」みたいな態度ですが……(笑)

決めゼリフを言い忘れると、グダグダになります。

いろいろ知っていると、つい語りたくなるのは分かりますが……

自分ではうまく話せているつもりでも、メリハリがついていないと、上のケースと一緒になってしまいます。

決めぜリフは必ず大文字+太文字で!

ジャブがちゃんと当たっているか、様子を確認してくださいね。
効いてないようなら、仕切り直しをしましょう。

大事なことなので
もう一度確認しておきますが
インスリンは食事をした時に
分泌されるんですよ

今度こそ、念入に、大文字+太文字でお願いします

初級期講座⑦に続く……


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