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心のノート #1

1. 宇宙兄弟 ”心のノート”

マンガ「宇宙兄弟」に「心のノート メモしたくなる言葉たち」というものがあります。(著:小山宙哉、編集:モーニング編集部)

個人的には、宇宙兄弟のストーリーは、かなり現実離れしており、「ファンタジーさ」であふれているように思えます。

例えば、

  • ムッタの弟ヒビトの指示のもと、ムッタのお母さんが、ムッタの履歴書を勝手に作成し、JAXA宇宙飛行士選抜窓口に送り付ける→書類選考通過してしまう

  • ムッタとともに宇宙飛行士選抜試験を受け、宇宙飛行士に選ばれた、伊東せりか。持久走試験で、3min/kmペースで走っており、五輪選手並みの速さで正直驚いた。プロの陸上競技選手でない一般人であれば、1000m走を3分で走り切るのも難しいはず。

  • アレス-1というロケットでヒビトは月に向かう設定だが、現実世界では、アレス-1は実運用に供されなかった。(NASAのコンステレーション計画なるものがあったが、頓挫)

  • アレス-1は第一段が固体燃料ロケット。固体推進薬を燃焼させて飛翔する仕組み。しかも、これがメインエンジンなので、有人飛行にとっては危険極まりない。(スペースシャトルのように、補助ロケットの用途であればまだマシ)

  • 固体推進薬は一度燃え出すと燃え尽きるまで燃焼し続けるし、途中で細かな推力調整ができない。緊急のトラブルがあっても、おかまいなしに燃え続ける。スタートしたら、コントロールが効かないので、特に”有人飛行”では危険。

  • SpaceXに代表される世界のロケットメーカー各社は、液体燃料ロケットかつ再使用型を開発している。液体燃料ロケットは、ターボポンプという機械で、液体酸化剤(主に液体酸素)と液体燃料(液体水素や液体メタンなど)を昇圧して燃焼室に送り込み、燃焼させることで推進力を得る。液体酸化剤と液体燃料はバルブで流量を調節できるため、細かな推力調整や停止・再着火も可能なので、コントロールが効く。そのため、有人飛行であれば、液体燃料ロケットが一般的。

宇宙兄弟の世界では、再使用型ロケットは出てこないです。(私が読んだ限りでは)頓挫したコンステレーション計画は、コンベンショナルで保守的なプロジェクトとなっていて、宇宙兄弟の世界はそれが前提になっていると思います。

SpaceXの登場による、宇宙開発のブレークスルーを著者は予測できなかったのではないか?と思われます。

ですが、宇宙兄弟のストーリーが現実離れしていると言っても、登場人物の個性、彼らから発せられる言葉は、心を動かすものがあります。

私が好きな言葉は以下です。8個選びました。


ムッタ:「俺の敵はだいたい俺です」

自分と向き合う。過去を振り返り、弱い自分を認める。自分と対峙する。この強さ、恥ずかしさ、面倒くささを肌で実感したことがあるから。

ムッタ:「本気の失敗には価値がある」

生半可な気持ちでやったら、「もっと〇〇しておけばよかったかな」と後悔することもある。本気でぶつかれば、今持っている力の+α分の不足が明確になる。PDCAが回る。

金子シャロン:「悩むならなってから悩みなさい」

即断即決即実行の精神を感じる。すべての悩みは、過去の呪縛だと感じる。

過去と対峙し、過去と決別したとき、未来への不安も消え去り、今に集中できる。根拠がないときは、直感を研ぎすまし、自分を信じて前に進む。

金子シャロン:「迷ったときは、どっちが楽しいかで決めなさい」

”好きこそ物の上手なれ”。楽しければ、長続きする。

他人が私を見て、「こんなしんどいことよくできるよな」と思っても、自分が心の底から楽しめているのであれば、自然体で楽しめているのであれば、それは誰にも負けない大きな強みになる。

ビンセント・ボールド:「危機感のない者には、成長もない」

正しい危機感こそが、成長の原動力。言語化できない不安とは異なる。現状に満足していても、問題を自ら作り出す。

問題とは、現状とあるべき姿のギャップ。常に問題を設定し、ギャップを埋めていけば、大きな力になる。日本経団連の元会長、土光敏夫さんの言葉「問題がなくなったとき、組織は死滅する」に通じる。

ピコ・ノートン:「自分の隣にいる宇宙飛行士をこいつに乗せて打ち上げるつもりで全部の作業をやってたか?」

自分の作業が、お客様の死につながったら、どう責任を取るのか?責任とは何なのか?社長視点に立ったとき、経営者の視点に立ったとき、国家のトップの視点に立ったとき、自分ならどう行動するか?考えさせられる。

デニール・ヤング:「”空”は誰のもんでもない。”人生”は自分のもんだ。人生はコントロールが効く」

7つの習慣”にも出てくる、「影響の輪を広げる」に通じる。「関心の輪」はコントロールが効かない。どうせやるなら、コントロールが効く物事に全力を尽くし、成果を挙げたい。

そして、他者の領域に安易に踏み込まない。たとえ、親子であっても、親は、子への領域干渉はしない方が良い。自分は自分。子供は子供。それぞれの人生があり、考え方がある。

自分の人生を他人に委ねない。TOKIO「宙船」の一節を思い出す。

その船を漕いでゆけ お前の手で漕いでゆけ
おまえが消えて喜ぶ者に おまえのオールをまかせるな

宙船 歌詞より

デニール・ヤング:「どーせやるなら その道の一流を目指そうぜ」

一流とはプロフェッショナルのことだと思う。エキスパートとは違う。思いがけず担当することになった職業、役職、役割。自分の意志と異なっても、まずは全力で当たってみる。プロを目指してみる。それでも違うと思ったら、次の場所に移ればいい。

五 組織不祥事をなくすには
決めては一人ひとりのプロ化
プロは専門能力を用いてある程度まとまった仕事をこなすのが普通であり、その点が単にかぎられた領域の仕事をこなすだけの「スペシャリスト」と違う点である。

承認欲求の呪縛 P218

#2に続きます。


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