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鉄壁の守りも・・・?!マカオ全員検疫

 連日、熱い戦いが繰り広げられているオリンピックの陰で、日本国内では日増しに確認される感染者数が増えていますね・・・。

オリンピック開催国として、国のゲートを閉ざす事はできませんから、いくら観客ナシといっても外からやれ、関係者だ、競技用具の運び込みだ、と人が入って来るだけリスクは高まる一方です。

ワクチン接種も少しずつ進んではいるものの、対応自体の遅れが目立つ日本は、「打とう」と思っていても順番がなかなか回ってこないという状況もあるようです。

もちろん一方で、ワクチンは打たない派も慎重な日本人なら他の国よりも多いかもしれませんね。(正直61.2%という数字は思ったより多くて驚きました)

ま、本来なら「現段階ではもう少しワクチンの精度があがるのを待ちたい」という感覚は、しごく普通な、まともな反応だと思います。心情的にとても理解できます。


打ったけど。(しかも勢いで・・・)





私の場合は、旦那も周りの友達も、かかりつけの医者も「さっさとワクチン打とう」派が圧倒的に多かった為と、自分がいつか日本に帰国したいという気持ちがあったからです(←簡単に流された人)

でも、ワクチンを打ったら打ったで感染も出てるし・・・。

そういう感染例が出る度に「軽く済んでいるのだ」と報道されてはいますが、それがじゃあ、打ってなかったら本当にすんごい重症化してたのか、はたまた打ってなくても症状としては実はそんなに変わらないのかは、打った人か打ってない人のどちらかしかいないので、比較対象しようがないわけです。

ここ香港は、最近は市内感染がゼロという状況が多かった(*つまり外から飛行機で入って来る人達の感染者は毎日のように確認されておりました)のですが、昨日から市内感染の可能性がある感染者が出たとニュースになっておりました。

香港は感染者確認数1万1994人中、11714人恢復、212人の死者なので、実質70人ほどのアクティブ感染者が入院中の計算となります。

(数字に弱いので、大体の目安的に緩くとらえてください。)

香港では現在も入国してきた人に対し、21日間の隔離生活(現在はワクチンを二回打っていれば7日間に短縮)を義務付けています。

香港の「隔離」は本当に厳しく、ホテルに入ると21日経つまで、部屋から一歩も出られません。ホテルの隔離用メニューからオーダーしたり、家族がいる人は差し入れしてもらったりして過ごします。

強制隔離の様子が気になる方は、香港在住AsianViewさんのこの記事や↓

こちらのYoutube動画をご確認ください↓

香港に到着してから、荷物まで掃除機(?)で隅々吸い取られ、ホテルに送られ、入ったら最後、21日間缶詰で過ごし、更に陰性が確認されないと部屋から出られないのです。

めっちゃ徹底しています。って言うか、早期は日本と同じように自宅隔離でも良かったのですが、どんどんと厳しくなりました。

もちろん、新たに感染が広がる時というのは、どこかから感染が広がるからであり、その大半は外から入ってきた人が感染源です。


 出来る限りゲートを閉ざして外部の人の行き来を閉ざす

こういう、なかなかできない強硬な方法を採って、これまで鉄壁の守りを誇ってきたマカオ。

カジノと観光で生計を立てている街だから、外から人を入れないということは、正に死活問題なのに、どこよりも徹底した封鎖政策で、感染を最小限に抑えてきたマカオ。

それがここに来て、ある家族から変種株の感染が確認されました。

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これを受け、マカオはその確認がなされた瞬間に、陸続きの珠海とのゲートを閉ざし、今移動中だった人達もいきなり分断され立ち往生する羽目になり、腹を立てる市民の様子が報道されました。

が、12時間以内に取得した陰性証明がないとマカオには入れないと、マカオではなくて中国珠海側が発表し、その場で検疫を予約する人達でゲート付近は溢れかえりました。

マカオはカジノで財政が潤い、それを毎年市民に還元している人情派都市ではありますが、それでも大手カジノがバンバン進出してくる中で、家賃が跳ね上がり、経済的に困窮している市民たちはマカオに住めなくなって、珠海がベッドタウン化している暗い闇(?)の一面もあります。

 これを日本人的感覚で「闇」と捉えていいのかはちょっと謎。こちらの人たちは元々日本人の想像を絶するほどの合理主義なので、たとえホントに困窮していなくても、「陸続きなのに家賃が格段に安い珠海」に住もう、という決断は、何の悲壮感も郷愁も持たずに出来てしまうと思います。但し、それは結果論であって、元々居住しているマカオに普通に住めたら一番いい、それは勿論当たり前の根底としてあるでしょう。それができない現実があるのです。

その翌日に当たる4日は、マカオで全住民対象の検疫を実施。


変異種のクラスターを食い止めるべく、長蛇の列をつく市民の様子が報道されておりました。

珠海で居住し、マカオに出勤する市民たちは怒り心頭です。感染を最小限に食い止めたいと思う気持ち、普通の日常生活に支障があるというやるせなさ。感情的に怒りをぶつける市民の気持ちも本当によくわかります。

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現在の数字は相変わらず堅い守りに見えますが、この変異種が確認された家族は、詳細が確認されてみると感染源はどうやら12歳の娘。

 これだけ出入りを厳しく制限してきたマカオだったのに、この娘の通う舞踊学校が、この時期に内陸の西安との舞踊交流を計画。

西安で舞踏交流をし、さらに兵馬俑に観光に行き、そこで感染したらしいとの事。そして娘が戻って来た後、その両親も日常的に珠海とマカオを行ったり来たりしていた為に、ここへ来て一気にクラスター発生の可能性が高まりました。

4日夜、マカオの行政長官;何一誠氏が記者会見をして、上記の経緯を説明する中で「各団体に置かれましては、この時期に本当にその出発が必要かどうか、しっかり見極めていただきたい。何故なら、同行した他の10数名の他のメンバーには現時点で感染は確認されておらず、それはもしかしたら我々の清掃上の問題であるかもしれないのです。その問題があるとすればそれは(多くの人が絶えず行き来する)空港です」と怒気のこもった静かな口調で語り市民に謝罪し「全員検疫は、日を置いてもう一度行う事になるだろうから、申し訳ないけれども心の準備をして欲しい。」と毅然と言い放ちました。

ここまで厳しくマカオを守ってきただけに、内心穏やかではないだろうに、あくまでも紳士的に苦言を呈し、自らの落ち度として認め謝罪する姿。

そして「感染を最小限で食い止める」という執念が見えるかのようなゲート制限に全員検疫という電光石火の対応。

私はマカオとは無関係だけれども、毎回、このマカオの行政長官何一誠氏の発言に、人間らしい心を感じます。

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