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【エッセイ】野菜を食べる。

ずっと前から憧れていたことがある。
自給自足。
テレビで自給自足しながら暮らしている大家族を見て、なんとなくいつかはやりたいなと思っていた。
何から始めればいいか分からなかったので、今一歩踏み出せずにいたところ、運よく、庭を畑にしてもいいシェアハウスを見つけた。
よし、とりあえず土を掘り起こして野菜の苗を植えてみよう!

とりあえずはやってみることをモットーに生きているので、勢いで苗を買ってきた。
その店の方が非常に親切な人で、支柱の立て方、苗の植え付けは気温が二桁を超えてからでないとダメということ、などなど丁寧に教えてくれた。
最近はyoutubeで土作りの方法を解説してくれる動画がたくさんあるけど、とりあえずイメージだけを頼りに、堀を作ってみた。
そこに買ってきた苗を植える。

ふむ、見た目は悪くない。
長い間放置していた庭を掘り起こしただけの肥料もろくに与えていない土で育つのか不安しかなかった笑。

不安も束の間。
野菜はぐんぐん伸びていく。
植物ってすげーな。生命力すごい。
都会に住んでるとこんな事実にも気付かないのか。
少し悲しくなった。

1ヶ月でこんなに育ってくれたトマト。

今では、毎朝トマト、インゲン、きゅうり、ピーマン、バジルが採れるようになった。
夕食には、家の朝採れ野菜を添えて食べている。
今までスーパーで買っていた野菜とは違って大地の力強さを感じる。
もちろん自分で育てた野菜は美味しく感じるのだけど、この違いは本当にそれだけなのか?


最近はスーパーで買う野菜にも違いを感じるようになってきた。
きゅうりのトゲトゲが残っているのか?
どのタイミングで収穫したのだろうか?
トマトは一房でいくつ間引いたのだろうか?
目の前にあるのは一つの野菜なのだけど、育ってきた過程を想像する。
一つ一つの野菜の人生を思い浮かべて野菜を食べる。
生産者に感謝して野菜を食べる。
育ってくれた野菜に感謝して野菜を食べる。
地球に感謝して野菜を食べる。
地球をこんな絶妙な条件にしてくれた宇宙に感謝して野菜を食べる。

野菜を食べる。

そんな日常の当たり前のように思えることだけど、
少し人生が楽しくなった気がする。


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