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【前例踏襲?】成長に欠かせないルーティンとは

企業の慣習・ルーティンと聞いてどんな印象を抱くでしょうか?

なんとなく悪いイメージがあったりしますよね。

「慣習=前例踏襲」のイメージから、日本の成長を阻害する原因のように感じる方も多いとは思います。

しかし、最新の経営学から見ると、「ルーティン」は企業が成長・変化していくためには欠かせないものなのです。

企業の成長に欠かせないルーティンとはどういったものなのか
日本のルーティンはどうして成長を阻害するのか

私たちのイメージとは違う「成長するための慣習・ルーティン」について、今日は考えていきたいと思います。

ルーティンのメリット

そもそもルーティンとは何なのでしょうか。

経営学者のシドニー・ウィンターさんはルーティンを以下のように定義しています。

pattern of behavior that is followed repeatedly , but is subject to change if conditions change.

日本語にすると「繰り返し行われ、しかし状況の変化によって変わることもある、行動パターン」と訳すことができます。

日本の場合、企業の慣習・ルーティンと聞くと、「前例踏襲で考えもせず繰り返されるもの」というイメージがありますが、実際どのようなメリットがあるのでしょうか。

■ 認知コストの削減

一番のメリットが、認知コストの削減。
つまり、新しいこと・ものを考える余裕を生み出す力をルーティンは持っているのです。

私たちは人間です。人間である以上、考えられる量には限界があります。

パソコンをイメージしてもらいたいのですが、パソコンってメモリ以上の仕事はできないですよね。

人間も同じように、自分のメモリ以上のことを考えることはできないです。

これは、人間の集合体である企業にとっても同じです。

企業が新しい何かを始めるためには、これまで使っていたメモリを空けて、新しい何かを考えるためのスペースが必要になるのです。

そのスペースを空けるために、「ルーティン」が役に立ちます。

ルーティンとは良くも悪くも「考えなくてもできる」状態です。

この「考えなくてもできる」状態は、認知コストを使わなくてもできる状態と言い換えることができます。

つまり、ルーティンとは、今まで自分のメモリを使っていた作業を、メモリを使わなくてもできる作業にしてしまうことなのです。

ルーティンによって空いたメモリを使って、新しいことに取り組む余裕を作ることができます。

ルーティンは、企業の成長に直接結びつく力を持っているのです。

変化の激しい時代では、新しいことを考え変化に対応する企業が生き残ります。

新しいことを考えるためのキャパシティを作るための慣習・ルーティンづくりに成功した企業が、この時代を生き残る企業

ルーティンは、今の時代に必要不可欠なのです。

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■ 幅広い情報共有

企業の慣習・ルーティンを作る手段としてよく用いられるのは、マニュアル化です。

マニュアルと聞くとまた悪いイメージをしてしまいそうですが、マニュアルにすることで個人の認知コストを軽減し、その分新しいことを考える余裕を作ることができます。

これにプラスして、マニュアルには企業が積み重ねてきた情報を幅広く共有できるといったメリットがあります。

特に組織が大きくなればなるほど情報が行き届かない可能性が高まりますので、社員全員に行き届くマニュアルは重要になります。

このように、企業の慣習やルーティンは一見悪いイメージを感じやすいですが、良い面に目を向けると、認知コストの削減や情報の共有といった、成長する企業には欠かせない面が隠されています。

では、日本にはどうして慣習・ルーティンに対する悪いイメージがあるのでしょうか。

日本型ルーティンの改善点

先ほど、ルーティンの定義を確認しましたが、改めて思い出してください。

ルーティンとは「繰り返し行われ、しかし状況の変化によって変わることもある、行動パターン」です。

これを読む限り、ルーティンとして重要な点は2つあります。

1つは先ほど述べたように、繰り返し行われることにより、認知コストを削減し、情報の共有を進めるというポイント。

そしてもう1つが、状況の変化によって変わることもあるという点です。

日本のルーティンに足りないのは、状況の変化によってルーティンを変えていくという姿勢なのです。

先ほど例に挙げたマニュアルなら、初めに作る際には、重要なポイントなどが考え抜かれた上で、多くの人が活用できるものが作成されると思います。

しかし、時の流れによってマニュアルの内容が合わなくなってきても、そのまま放置されるということが多いのが実情です。

また、変化の激しい時代では、細かな修正だけでなく抜本的に行動パターンを変える必要がある場合もありますが、マニュアルに縛られてしまうといったこともあります。

このように、マニュアルを作った時の熱意を継続できず、「変化すること」に対応できないことが日本型ルーティンの問題であり、成長を妨げる要因となります。

この問題点にうまく対応している企業が、無印良品を経営する良品計画です。

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良品計画では、2000ページにも渡る店舗マニュアル・MUJIGRAMと6,000ページにも及ぶ本部の業務をマニュアル化した業務基準書を作成しています。

ページ数だけでも恐ろしいですが、このマニュアルを作った目的としては、「個人の経験や勘に頼っていた業務を”仕組み化”し、ノウハウとして蓄積させるため」つまり情報の共有を狙ったものだそうです。

これだけページ数が多いと変化に対応できなさそうですが、良品計画ではマニュアルをアップデートする仕組みを整えています。

例えば店舗マニュアルでは、顧客視点シートというお客様の声を拾ったシートを用意しており、その内容をマニュアルに反映させる仕組みを作っているそうです。

この良品計画のように、ルーティンのメリットを活かしつつ、デメリットとなる硬直化に対応する方法を仕組化することで、本当の意味でルーティンを活用できるのです。

また、ルーティンを硬直化させる要因として、忙しすぎることが挙げられます。

忙しい時のことを想像して欲しいのですが、忙しい時ってできる限り考えず目の前の作業をこなしていきますよね。

忙しい時に考えなくともできるルーティンはとても役に立ちますが、一方ルーティンを見直すことなんて考えることができなくなります。

業務時間いっぱいを仕事に費やすのではなく、少し余白を与えることで、ルーティンを考え直す時間ができる。

そして、ルーティンを進化させることで更なる認知コストの余裕ができ、新しいことを考え成長できる企業になれる。

慣習・ルーティンを悪者だと決めつけず、上手に使うことでこの時代を乗り越えていきたいです。

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本日は、企業の慣習・ルーティンについて焦点を当ててきました。

企業の話でしたが、これは個人に置き換えても当てはまる話だと思います。

ルーティンのメリットを上手く使う、成長するためのヒントとして活用してもらえると嬉しいです!

本日も最後までありがとうございました。

もし良ければスキ&フォロワーになって、これからも繋がっていただけると嬉しいです!

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