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1度住むと生きては出られないニューヨーク高級アパートメント「バルトメオロ」 予測不能の6日間

ルール1,来客禁止。ルール2,外泊禁止。ルール3,住人との接触禁止。

ジュールズの新しい仕事には奇妙なルールがあります。マンハッタンで最もゴージャスで、その存在が謎に満ちている高級アパートメント「バルトメオロ」でアパートメントシッター(住人の長期留守中に、アパートメントの部屋に住み込みで管理する仕事)の求人を見つけたジュールズ。直近で同棲していたボーイフレンドと別れ、行き場を失っていたジュールズはアパートメントの華麗さにすっかり魅了され、仕事を引き受け、最悪な過去の人生に別れを告げました。ところが、アパートメントシッターの同僚がある日突然姿を消したのをきっかけに、ジュールズは「バルトメオロ」の浅ましい歴史と壁の中に隠され続けていたミステリーに深入りしてしまいます。彼女はバルトメオロの秘密の歴史を発見します。1人で殺人者に立ち向かい、バルトメオロが隠し続けた秘密を暴き、悪夢と化した夢のアパートメントから逃げ出そうとしますが…

Review

毎年7月になると新作を発表しているRiley Sagerの3作目、今年の最新作。夏休みを狙ってビーチリードとして出版しているに違いないな、と思いながらも私も空港で手にしてしまい、毎回まんまとSagerの誘惑に負けてしまいます。

新作はニューヨークご自慢の景色の光と闇を見事に描ききっていて、前作を上回る面白さでした!

ニューヨークの中でも特に不動産が高いマンハッタン。その中の最高ランク、セントラルパークを見下ろせる高級アパートメント「バルトメオロ」で、ただそこに住めばいいだけという夢の仕事が目の前に転がり込んできたジュールズ。アパートメントの住人は全員大金持ちか、著名人、もしくはその両方。しかも、いつくかのルールにさえ従えば週ごとに1000ドルが支払われるといいます。

同棲していた彼氏と別れ、失業中のジュールズは親友クロエのアパートメントに転がり込んでいました。「これは人生のリセットボタンに違いない!」とクロエが引き止めるのに耳も貸さず、”怪しい”アパートメントシッターの仕事を引き受けてしまいます。

しかし、ジュールズはクロエの忠告に耳を貸すべきでした。「バルトメオロ」のアパートメントシッター達は誰一人として、生きて「バルトメオロ」を出た者はいなかったのです。

そんな事も知らず、アパートメントシッターの仕事を引き受けたジュールズは、誰もいないアパートメントの部屋に人の気配を感じますが、気のせいかな?と深く気に止めません。

初任給が支払われる1週間後まで、僅かな貯金でしのぐしかないジュールズは、スーパーオリジナルブランドの安い冷凍食材やパスタなどの乾燥食材を買い込みながらも、栄養面を気にしてパスタより高いフレッシュなオレンジを買い、両手いっぱいに荷物を抱えて帰路につきました。

アパートメントの入り口で携帯を見ながら外出しようとしいたジュールズの下の部屋でアパートメントシッターをしているイングリッドと、正面から派手に衝突し、買い込んできた大量の食材は全て床に落ち、とても食べられる物では無くなってしまいます。そして、ジュールズは腕から大量に出血していました。

あまりの騒ぎに、住人達がアパートメントの部屋から出てます。ジュールズの怪我を見て驚いた住人達が、口を揃えアパートメントの住人で医者をしているニックの所に行くようにいいます。

ハンサムで大金持ちなニックにジュールズは魅了されながら、傷の手当てをしてもらい、自分の部屋に戻りました。そして、その夜「キャー!!」という、アパートメント全体に響き渡るような叫び声がイングリッドの部屋から聞こえます。ジュールズは心配になり、イングリッドの部屋まで行き安否確認しましたが、イングリッド以外誰もいないはずの部屋に人の気配を感じ、違和感を覚えます。

翌朝、イングリッドは姿を消しました。

そしてジュールズはイングリッドを探し出そうと、ニックに協力を求めます。

「ハンサムな大金持ち」が怪しいというのは、最近使われすぎているほど本当によく使われるミステリーの手法なのですが、この物語はアパートメントの住人全員が怪しいのです。なので、読書は誰を疑い、誰を信じたらいいのか分からなくなります。

ジュールズだけでなく、アパートメントメントシッター達全員が、誰もいない部屋に人の気配を感じていて、オカルト的な雰囲気がたっぷりです。中毒的に読み進めてしまう!と、アメリカの読書の評価は非常に高い1冊です。

また、セントラルパークなどニューヨークご自慢の景色を小説の舞台にしているのですが、ニューヨークが抱えるホームレス事情にも焦点を当てていてホームレスレス達が「前にフレッシュなオレンジを買ったのはオバマ政権の時だ」と冗談まじりにニューヨークの景気の悪さを愚痴ったり、アメリカが抱える医療保険問題、貧富の差の拡大などの社会問題も盛り込んでいます。ミステリー小説なのにこれ1冊で今のニューヨーク事情が分かるほど上手くまとめてあるなぁ、とフィクションであることを一瞬忘れてしまいそうになる、この側面も私は楽しめました。

そして最後の最後に「驚きの大展開」があり、さすがSager!!毎回、前作を超えてきます。ニューヨークの光と闇を描き切った、まさにページターナーな1冊。

大満足!!Sargeが新作を連れてやってくる来年の7月が待ち通しいです。




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