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隆昌出世運が授かる龍樟樹 香川県高松市 冠纓神社

 香川県高松市の冠纓(かんえい)神社には、「かむたま龍樟樹(りゅうしょうじゅ)」と呼ばれるクスノキがそびえている。  神気が寄り固まって、一本の木となって育ち、三つの股に分かれてうねり、くねりながら、天に伸びる樹姿は、まさに天に昇ろうとする龍に見えることから「龍樟樹」と呼ばれてきた。  そして昔より、この神木を拝する者は、「皆、立身出世し、勝利し運を開く」といわれる。  冠纓神社は、室町時代、四国で戦った細川頼之が崇敬し、京都石清水八幡宮の冠纓を奉納したことから、冠尾(かむ

    • しっかり結ばれ美しく寄り添う    岩槻久伊豆神社・夫婦木斛(もっこく)

       埼玉県さいたま市岩槻区にある久伊豆神社は、約1400年前に出雲国からご祭神の大国主命(おおくにぬしのみこと)を迎え祀ったのが始まりといわれ、岩槻城の総鎮守、江戸の鬼門除けとしても名高い由緒ある神社だ。久伊豆の音読みから「クイズ神社」勝負運に強い神社としても親しまれている。  この神社の境内、拝殿に向かう石段の右側には、二株の根元が一つに固く結ばれた珍しい「夫婦(メオト)モッコク」があり、寄り添って並ぶ美しい樹形に「縁結びのご神木」としての信仰と人気を集めている。  冬で

      • 大国様が良縁を引き寄せて下さる御神木

        静岡県森町一宮の小國神社には「ひょうの木」と呼ばれる御神木がある。正式名称は檮 (イスノキ)。イスノキは、神聖の木の意味をもつ湯津(ユツ)の木が、ユスノキ、そしてイスノキに転化したといわれる。『古事記』にも、清浄な櫛「湯津津間櫛」が記され、湯津の木は、古く宮中(皇室)で使われる櫛の材にされたとも。その葉には小さな穴が開き、 笛のように吹くと「ひょう」という音が出るので、湯津の木は、別名「ひょうの木」「ひょんの木」といわれた。  小國神社の御祭神は「大国様」と親しまれる「

        • 雛鶴姫の大塔宮への愛籠る      良縁を結ぶ桂のご神木

          山梨県富士吉田市の富士山下宮小室浅間神社(ふじさんしもみやおむろせんげんじんじゃ)には、「お桂さん」として親しまれる桂のご神木がある。  この桂の幹に抱かれるように鎮座するのが大塔宮社。この社には、第96代後醍醐天皇の皇子で、大塔(だいとう・おおとう)の宮と尊称された護良親王(もりよししんのう)がお祀りされている。 護良親王は、南北朝時代の騒乱で討たれた悲運の皇子。親王が討たれたことを知った親王の寵姫・雛鶴姫(ひなづるひめ)は、数人の従者とともにその首級を探し出し、鎌倉

        隆昌出世運が授かる龍樟樹 香川県高松市 冠纓神社

        • しっかり結ばれ美しく寄り添う    岩槻久伊豆神社・夫婦木斛(もっこく)

        • 大国様が良縁を引き寄せて下さる御神木

        • 雛鶴姫の大塔宮への愛籠る      良縁を結ぶ桂のご神木

          神々が結束して御守護くださる五本杉

           青森県弘前市の岩木山神社は、「津軽富士」と親しまれる岩木山の麓に鎮まる。日本の北門鎮護の名社として、歴代の津軽藩主の崇敬を受け、今も開運福の神の神徳を求め、多くの参詣者が訪れている。  岩木山神社の正面参道脇には、1本の根から5本の幹が分かれて伸びる御神木・五本杉が聳え、弘前市の天然記念物になっている。  岩木山神社には、顕國魂神(うつしくにたまのかみ)、多都比姫神(たつひひめのかみ)、宇賀能賣神(うがのめのかみ)、大山祇神(おやまづみのかみ)、坂上刈田麿命(さかのうえの

          神々が結束して御守護くださる五本杉

          宝来鈴で縁結び 武雄神社夫婦欅

          仲哀(ちゅうあい)天皇・神功(じんぐう)皇后の夫婦神をお祀りする 佐賀県武雄市の武雄神社には、御祭神の御神威によって、2本の檜が根元で結ばれ、樹の中ほどで再び枝が合わさったといわれる夫婦檜がある。 仲睦まじく聳えるその姿から、縁結びの御神木といわれ、根元は夫婦和合、繋がった枝は男女の縁はもとより、人との縁、仕事との縁、お金との縁など、様々な縁を繋ぐ縁結びの象徴として信仰されている。 また、雌木の中ほどに見られる宿木は、応神天皇を懐胎しながらも、三韓征伐で勇ましく戦われた

          宝来鈴で縁結び 武雄神社夫婦欅

          色と香りで幸せを導く        素盞嗚神社の黒木大藤

          御神木には、樹齢を重ね毅然と天に聳える常緑樹の巨木が多い。しかし中には、鮮やかな花が咲き、人々の心を和めてくれる御神木もある。福岡県八女郡黒木町の素盞嗚神社の黒木大藤は、御神木の中でも、絶品といえる花咲く御神木。 神社には、約3,000平方メートルもの広大な藤棚が広がり、毎年4月中旬頃、室町時代応永2年(1395)に後村上天皇の第六皇子・後征西将軍良成親王がお手植えになったと伝えられる藤が花開き、1メートルを超える紫色の花房を垂下させ、境内を訪れると甘い香りに包まれる。

          色と香りで幸せを導く        素盞嗚神社の黒木大藤

          さまざまな才能が目覚める 御座石神社 七色木(なないろぎ)

           秋田県仙北市の田沢湖、その湖畔には御座石神社(ござのいしじんじゃ)が鎮座する。江戸時代、秋田藩主が田沢湖を遊覧した折、湖畔にゴザを敷いたような平らな岩に腰をかけて休んだことから、この神社の名があるといわれる。  湖畔の赤鳥居のそばの柵に囲まれた中にあるのが、雨乞石と七色木(なないろぎ)。湖の神を祀るための石ともいわれる雨乞石は、この石を動かすと湖が荒れ、雷雨となるとの言い伝えを持ち、その石を支えるように七色木が育つ。今では枯れて幹だけが残る松とともに、杉、桜、槐(えんじゅ

          さまざまな才能が目覚める 御座石神社 七色木(なないろぎ)

          小祠・狛犬通して難病奇病除け    鎮西大社諏訪神社の病魔退散の大楠

          長崎市に鎮座する鎮西大社(ちんぜいたいしゃ)諏訪神社、その参道・長坂の階段脇には、病魔退散の大楠が聳える。古くからこの大楠には、薬の神である少彦名命(すくなひこなのみこと)がお祀りされ、赤鱏(あかえい)の絵馬を掛け、難病奇病除けを祈念する人々が多くいたと伝えられる。 またこの神社の境内には、逆立ちをした狛犬や、二足歩行の狛犬など、各所に特徴ある狛犬が鎮まり、さまざまな願いを聞き届けて下さるといわれる。病魔退散の大楠の前にも、難病除けの霊験あらたかな狛犬も鎮座しており、狛犬の

          小祠・狛犬通して難病奇病除け    鎮西大社諏訪神社の病魔退散の大楠

          宝の船を招く 糸崎神社の大楠

          さまざまな伝説を持つ御神木もある。広島県の糸崎神社境内にそびえ、楠としては県内で1番、中国・四国地方でも3番目の大きさを誇り、樹高30メートル、胸高幹囲13メートル、樹齢推定500年の大楠にも、不思議な言い伝えが残る。  瀬戸内海の海岸沿いに鎮座する糸崎神社の前には昔、船着き場があり、この御神木の周りを左回りに8度回ると宝船がやって来るといわれた。   しかし日没後にこの大楠を右回りに8度回り、神社から出ようとすると、夜の海から「おらび船」と呼ばれる船が、神社のすぐ前の船

          宝の船を招く 糸崎神社の大楠

          神縁を結び願いをかなえる      行田八幡神社 結びのいちょう

          御神木の木漏れ日を拝するたび、その光を放つ樹木に、神々しさを感じる。埼玉県行田市の行田八幡神社のいちょうに出会った時も、燦燦(サンサン)と陽光を浴び、やわらかな木漏れ日が降り注ぐ姿に、多くの参拝者に幸せを降り注いできたこの御神木の歴史を思った。 行田八幡神社は「封じの宮」。子供の夜泣きや、かんの虫を封じる虫封じをはじめ、癌の病、諸病、難病や悪癖の封じ、お年寄りのぼけ封じ等の封じ祈願が秘法として継承されるといわれる。末社・愛宕神社のそばに聳える御神木のいちょうも、「虫封じのい

          神縁を結び願いをかなえる      行田八幡神社 結びのいちょう

          幹を束ね心を結ぶ白山神社の大かつら

          さまざまな伝説を持つ御神木も多い。 福井県大野市下打波(しもうちなみ)の白山神社の大かつらもそんな一本。県内で最大の幹囲を有する天然記念物の巨樹で、新日本名木100選にも選ばれ、かつらとしては、その名を全国にも知られた名木中の名木。周囲に威厳を放ちながらそびえ立ち、ご神木として信仰をあつめる。 霊峰・白山(はくさん)は、奈良時代、越前国(福井県)の僧・泰澄(たいちょう)が、天空に現れた白山姫のお告げを受け、養老元年(717)に白山の登頂を果たし、修行し、白山の神々の姿を感じ

          幹を束ね心を結ぶ白山神社の大かつら

          魂・根幹が結びつく縁をあたえて下さる       若狭彦(わかさひこ)神社夫婦杉

          神社には必ず御神木がある。御神木はまさに神々の降臨される目印。御神木に惹かれ、神々に呼び招かれるように、全国各地のさまざまな神社を巡っている。 夫婦神をお祀りするといわれる福井県小浜市の「若狭彦神社(わかさひこじんじゃ)」(上社)と「若狭姫神社(わかさひめじんじゃ)」(下社)を訪れた折には、若狭彦神社参道の「夫婦杉」と出会えた。 約35メートルの杉が夫、その木より5メートルほど低いのが妻と呼ばれる。この夫婦杉を見上げた時、父母の限りない愛を受けてきた感謝の念が湧きあがって

          魂・根幹が結びつく縁をあたえて下さる       若狭彦(わかさひこ)神社夫婦杉

          人生に彩を添えてくれるしだれ桜

          神社の境内の草木は、すべて神々の御神徳を得て育ち、しめ縄が巻かれたご神木はもとより、独特の霊気を放っている。 ご神木というと、常緑樹が多いのだが、中には落葉樹もある。桜など、鮮やかな花が咲き誇るご神木に出会うと、心躍らされる。 神々がこの世を治めたという神話の時代、天上界より望む“霧に煙る海に浮かぶ島”「霧島」が、その名の由来と言われている霧島神宮。同地は3月下旬から4月上旬、約200本あるソメイヨシノ、八重桜、しだれ桜が咲く桜の名所になっている。中でも回廊脇の枝垂れ桜が

          人生に彩を添えてくれるしだれ桜

          ハッタツ・発達 繁盛繁盛ますます繁盛住吉大社・楠珺社(なんくんしゃ)の大楠

          大阪市住吉区の住吉大社には、国宝の四つの本殿があり、第一本宮の背後には、樹齢1000年以上におよぶ楠が聳える。人々はこの大樹に神秘的な霊力を感じ、祈りを捧げ、楠の根元には祠が設けられ、楠珺社(なんくんしゃ)と呼ばれる神社へと発展していった。 青々と繁る楠の木漏れ日を浴びると、降り注ぐ神々の恵みで満たされる幸せを感じる。「儲かりまっか?」「ぼちぼちでんな」、どこからかそんな会話が聞こえてきそうな商人の街・大阪。この街の御神木には、お稲荷さん・宇迦魂命(うがのみたまのみこと)が

          ハッタツ・発達 繁盛繁盛ますます繁盛住吉大社・楠珺社(なんくんしゃ)の大楠

          天にのび宇宙に霊光放つ 御岩神社の三本杉

          宇宙飛行士が、地球から発せられる「光の柱」を見たとの話を聞いた。その発信元は、茨城県日立市の御岩山あたり。御岩山は古代の祭祀遺跡も見つかっている信仰の山。山の東側には「御岩神社(おいわじんじゃ)」が鎮まり、神社には国之常立神(くにのとこたちのかみ)をはじめ大山祗神(おおやまづみのかみ)など20神が、そして山のさまざまな場所には、188もの神々が祀られているという。 ひんやり、しっとりとした独特の霊気に包まれる御岩神社にそびえ立つご神木が「三本杉」。幹周り9メートル、高さ50

          天にのび宇宙に霊光放つ 御岩神社の三本杉