幹を束ね心を結ぶ白山神社の大かつら

さまざまな伝説を持つ御神木も多い。
福井県大野市下打波(しもうちなみ)の白山神社の大かつらもそんな一本。県内で最大の幹囲を有する天然記念物の巨樹で、新日本名木100選にも選ばれ、かつらとしては、その名を全国にも知られた名木中の名木。周囲に威厳を放ちながらそびえ立ち、ご神木として信仰をあつめる。

福井・白山神社 大かつら

霊峰・白山(はくさん)は、奈良時代、越前国(福井県)の僧・泰澄(たいちょう)が、天空に現れた白山姫のお告げを受け、養老元年(717)に白山の登頂を果たし、修行し、白山の神々の姿を感じ見て「霊峰白山には神仏が坐す」との白山信仰を開いたといわれ、大野市にも多くの白山神社が鎮座している。

この御神木は、白山に向かう途中、泰澄大師が食事に使った箸を、この地に刺したところ、それが根づき、大きく育ったと伝えられている。

白山神社の入口の鳥居左手奥に育つこのご神木、樹勢は旺盛でぎっしり密生し、一見すると一本の木だが、よく見ると何本かの幹の集合体で、大枝は5本。地上約3メートルの所で18本の支幹に分れている。

大かつらの傍からは、人々の命を繋ぐ清水がコンコンと湧き出しており、幹を束ねるこのかつらは、下打波集落を中心に、水神様としても信仰され、人々の心を結んできたのかもしれない。

 

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