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唯一無二のブックレビューの書き方⑤

続・「場面」とは?面白かったシーンを美味しそうに取り出す!

 前回は「場面」の工程のひとつめ、

①面白いと思った「場面」を見つけること 

 をやってみました。

 ちなみに、このページの何行目から何行目まで! ぐらい「場面」がはっきりしていると、さらにその後の作業がスムーズになるため、もっともっとレビューを書くのが楽しくなります。

 では続いて、ふたつめの工程にトライしてみましょう。

【場面】②見つけた「場面」を美味しそうに取り出すこと

 この本のこの場面が好き、なぜならこの本の面白さである○○が表れてる箇所だから!

 ここまで言えるようになっていたら、「場面」は見つかっています。

 では、その場面をどのように取り出すのがいいのか?

 どうしたら「読書欲」をそそる「美味しそうな」取り出し方ができるのか? 

 そのためには、絶対に守らなくてはいけない厳格なルールが存在します。

固有名詞」(人、国、物、ルールなど、特定のものの名前)は2つまで
超おまけして、3つまで。

 これは、私がラジオパーソナリティの経験から学んだことです。

 固有名詞が3つを超えると、人は頭が混乱するのです。

 文章が「読み返せる」のに対して、ラジオは「聞き返す」ことが出来ません。だから、一度耳にしただけで、とっさにイメージできるぐらいシンプルじゃないと、聞く人には辛いのです。ストレスなのです。

 では文章でレビューする場合なら、固有名詞はもっと出してもいいのでしょうか? 多少複雑でも、読み返して理解して貰えばいいのでしょうか?

 確かに、文章であれば耳で聞くよりも難しい内容を理解してもらえます。でも「読み返さないと意味が分からない」文章にしなくてはいけない理由は何でしょうか?

 「もう一度読んで、味わいたい」と思って読み返すならいいのです。

 「え? これ何の話なんだっけ?」と読者に思わせ混乱させるのは、書き手の怠慢だと、私は思います。 

 それでは、具体的に「固有名詞を2個(超おまけして3個)までに絞る」方法をお伝えしていきましょう。

 ポイントは、

①「最も伝えたいところ」だけに固有名詞を使う

②それ以外は「固有名詞(最も伝えたいところ)との関係性」で説明する

 この2点です。

 次回は、これを実際の文章を使ってやってみましょう。

【結論】

Q.固有名詞(人、国、物、ルールなど、特定のものの名前)を2〜3個に絞る理由は?

A.3つ以上の名前が出てくると、人の頭は混乱するから!

⑥続続・「場面」とは?面白かったシーンを美味しそうに取り出す!

《おまけ:わかりやすさの哲学》

 今回は、「場面」の工程における「わかりやすさ」の重要性をお伝えしましたが、これはレビュー全体に言えることでもあります。書くにせよ、話すにせよ、最大の努力で「わかりやすさ」を追求しましょう。

 そのための方法の1つが「固有名詞」を減らしていこう、ということです。これは厳密には、1つの文章の中で「固有名詞が与えられるもの」「与えられないもの」を区別するということです。固有名詞が与えられるものは重要度が高く、与えられないものの重要度はそれよりも下がります。話の受け手は、その優先順位の優劣を無意識のうちに受け取るのです。

 単語の使い方も「わかりやすさ」を意識しましょう。これは、難しい言葉を使ってはいけない、という意味ではありません。ただ、あえて難解な言葉を選ぶのであれば、そこには明確な狙いがなくてはいけないということです。「この難しい言葉を使わなければ、どうしても伝わらないのだ!」と思うのであれば、その理由を自分の中で明確にした上で、必要最低限で使ってください。

 「指示語が多いと頭良さそうに見える現象」というものがあります。(『指示語現象』と呼んでいます)哲学書などによく見られるのですが、個人的には「複雑な内容を伝えたいのに、言い方まで複雑にする理由はあるのか?」と思ってしまいます。指示語(それ、この、ああいった、などなど)を使う際には「直前の言葉を指す時」のみにするのがお勧めです。指示語の指す内容が、指示語そのものと離れていれば離れているほど、読み手にとってはストレスになるのです。

 私がアナウンサーになったばかりの頃、当時、NHK名古屋でディレクターをしていた上司に「どんなに難しい内容も、小学生の男の子でもわかるように説明しなさい」と言われました。これはNHKのメソッドなのですが、「伝える」ことを限界まで突き詰めたプロは「わかりやすさ」を哲学的なレベルで考え始めるのです。

 「わかりやすい文章にする」というのは、書き手としての最低限のマナーです。あえてそれを破り、難解さを持ち込むのであれば、それ相応の「狙い」「計算」「覚悟」が必要だと思います。

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