マガジンのカバー画像

往復書簡

47
画家 小河泰帆とタシロサトミの往復書簡。制作について、日々思うことについてやりとりしていきます。
運営しているクリエイター

#美術

自分の機嫌のとりかた 往復書簡#30

自分の機嫌のとりかた 往復書簡#30

画家・小河泰帆さんとの往復書簡30回目です。
前回は在廊中のお話でした。

小河さんの学生時代のデッサン、空間きれいですね。私が在学時、武蔵美の授業で石膏は描かなかったです。
私も写真フォルダ漁ってみたら、通信課題や対面授業、デッサン会などで描いたものがでてきました。まあ普通のデッサンとクロッキーなんですけど、この写真が何かの助けになる状況もあるのならば、一応携帯に保存しとこうと思いましたよ。

もっとみる
作品タイトルの件、タシロの場合 往復書簡#28

作品タイトルの件、タシロの場合 往復書簡#28

画家・小河泰帆さんとの往復書簡28回目ですよ。
前回はこちら、作品タイトルのつけ方のお話でした。

タイトルは完成作品からイメージした言葉をつけているとのこと、後付けが多いのですね。最初にあった元になったもの(例えばりんご)から離れていくことを恐れない感じ、「そのほうが何倍もイメージが膨らんで面白い」って書かれてましたけど、「膨らむ」って動詞は内側からものが湧き上がってくる様子の描写で小河さんの作

もっとみる
絵に求めるもの、活字の限界 往復書簡#26

絵に求めるもの、活字の限界 往復書簡#26

画家・小河泰帆さんとの往復書簡26回目です。
前回はこちらです。

教育実習での「一般教養としての美術」、なかなか難しいですね。作家にとっての美術はそういうものではないから、けっこう頑張って想像力を働かせないと掴みづらい感じがあります。

ひところビジネス書の出版社が美術関連書籍をつづけて発行していたので、何冊か読んでみたことがありますよ。ビジネス書がターゲットにしているような層は、どんな鑑賞体験

もっとみる
最近みた展覧会、リヒターとか 往復書簡#24

最近みた展覧会、リヒターとか 往復書簡#24

画家・小河泰帆さんとの往復書簡24回目ですよ。
前回はこちら。

友人たちとミニシアターでオールナイト興行、とても楽しそうです。映画館の椅子の感触と眠気もセットで、良い思い出ですね。
私、オールナイト興行は15年くらい前に、タランティーノとロドリゲスの映画数本立てを見に行ったことあります。両監督による「グラインドハウス」という、60-70年代アメリカB級低予算映画へのオマージュ作品の、日本公開にあ

もっとみる
⑨私の好きな画集ベスト3

⑨私の好きな画集ベスト3

画家・タシロサトミさんとの往復書簡9回目です。
第8回ではタシロさんが通信制美大に入ったわけを伺ったのですが、私とは違った道筋でしっかりと美術に向かって心を決めて歩んでいく様子に感心しました。その意志とブレない感じ、タシロさんの性格もあるのでしょう、とても粘り強い。
私の場合は実家を出たいという不純な動機で美大に進学したというのもあり(この話は書くと長くなるので割愛)、タシロさんはやっぱりすごい!

もっとみる
⑧通信制美大にはいったわけ

⑧通信制美大にはいったわけ

画家・小河泰帆さんとの往復書簡8回目です。
このやりとり、思った以上に文通っぽくて楽しいですね。コロナ禍で、対話に飢えてるせいもあるのかな。

小河さんからは、身体表現のお話を伺いました。
身体全体で受信して、全身で飛び跳ねてるのですね。
まずは行動ありきのスピード感、これは自分に欠けてる要素なので、心からすごいなと思います。
私は良くも悪くも、もっと全般的にのんびりしてるし、臆病なので時間がかか

もっとみる
自己紹介

自己紹介

抽象画を描いているタシロサトミです。noteはじめました。
主に東京にて、こんな感じの展覧会をしています。
よろしくお願い致します!

作品の特徴は、ゆがんだ形の支持体(キャンバスやパネル、紙などのこと)と、厚塗りの絵の具(アクリル絵の具にメディウムを混ぜている)、微妙な色味(やたら混色している)、破線(点々の線)などです。

私の興味は、自分と世界がどのように関わったのかにあります。
最初に意識

もっとみる
⑥抽象画にはまった理由、誤読の自由

⑥抽象画にはまった理由、誤読の自由

画家・小河泰帆さんとの往復書簡6回目です。

前回小河さんからは、「原風景・よく行ってた美術館」へのコメントと、抽象画を描くようになったきっかけを伺いました。

国立西洋美術館のドニ《雌鶏と少女》、とても可愛らしい絵ですよね。
絵の平面性や色調、筆遣いと相まって、おとぎ話のいち場面みたいにも見えます。
この少女の顔、小河さんに似てませんか?輪郭そっくりだし、たくらんでる表情も私のなかの小河さんのイ

もっとみる
⑤抽象絵画を描くようになったきっかけについて

⑤抽象絵画を描くようになったきっかけについて

画家・タシロサトミさんとの往復書簡5回目です。

タシロさんからは「原風景・よく行ってた美術館」について教えていただきました。
国立西洋美術館いいですね。ロダンの彫刻が多数所蔵され、「考える人」も「地獄の門」もある! 常設展だけでも見応えがあって、東京はいいな〜と上京してからしみじみと思ったものです。

「ダフニスとクロエ」はいい絵ですよね。
甘酸っぱくて、ちょっとドキドキして照れちゃう感じもあり

もっとみる
③「逃げ出した一枚」と美術館と

③「逃げ出した一枚」と美術館と

画家 タシロサトミさんとの往復書簡3回目です。
往復書簡としてお互いに質問をしあうのは、自分1人で物事を考えるのとは違い、思ってもみなかった考えに至るので面白いなと思います。
タシロさんのアトリエ風景素敵ですね。植物たくさん。私はよく植物を枯らしてしまうので、緑の手の持ち主は憧れです。

さて、前回のタシロサトミさんからの質問「逃げ出した一枚」

「逃げ出した一枚」ってすごいですね。好きな作品とい

もっとみる
自己紹介

自己紹介

画家の小河泰帆(おごう やすほ)です。
note始めたということで自己紹介。

福岡市早良区出身。
高校、予備校までは福岡、大学に入ってから東京在住。
1995年武蔵野美術大学油絵科卒業、1997年武蔵野美術大学大学院油画修了。
卒業してからは、出版社勤務しつつ年1〜2回銀座のギャラリーで個展、作品発表。
2000年に結婚。育児のため休筆。
2009年に個展で復帰。以後制作を続け、日本橋のギャラリ

もっとみる