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インフルエンサーマーケティングを考える 第5回- 「バーチャルインフルエンサー」

第3回でサントリーがバーチャルインフルエンサーの山鳥水生(やまとり みずき)を活用して、自社商品のプロモーションを行っていることを紹介しました。

山鳥水生は、おすすめ料理のレシピだけでなく、環境保護や水資源保護に関するメッセージを発信するキャラクターとして登場し、消費者との新しい形のコミュニケーションを展開しています。

他にも多くのバーチャルインフルエンサーが活躍しており、中でも、日本で開発された「イマ」はプラダのイベントに登場し、渋谷PARCOのオープニングキャンペーンにも起用され、世界中で多くのフォロワーを抱えています。

2016年にデビューしたリル・ミケーラは、ソーシャルメディアのインフルエンサーとして高級ブランドのコンテンツを投稿し、年間200万ドルの収入を稼いでいます。

このように、リアルな人間ではないバーチャルインフルエンサーを起用する企業も増えています。

ハーバードビジネスレビュー8月号の記事「企業はバーチャルインフルエンサーの起用をいかに判断すべきか」では、バーチャルインフルエンサーのメリットとデメリットを理解するための5つの視点を紹介しています。

その5つの視点におけるバーチャルインフルエンサーの利点は以下の通りです。

  1. エンゲージメント: バーチャルインフルエンサーの方がリアルな人間より「いいね」を多く集める傾向があります。リアルのスポンサー付き投稿には抵抗が強いことがわかっています。

  2. リーチ: フォロワー数はリアルの方が多いものの、フォロワー数が中程度のインフルエンサーの方がエンゲージメントを生み出しやすいとされています。

  3. 多様性: 人種的背景など包摂的であることを目指す場合、リアルのインフルエンサーは限られた集団から選ぶ必要がありますが、バーチャルインフルエンサーは多様性に対応できる利点があります。

  4. レピュテーションリスク: リアルなインフルエンサーはスキャンダルに巻き込まれたり炎上するリスクがありますが、バーチャルインフルエンサーにはそのような心配が非常に少ないです。

  5. コスト: 人間のインフルエンサーはバーチャルよりもコストがかかります。

一方で、バーチャルインフルエンサーのデメリットも以下の通りです。

  1. 感情的なつながりの欠如: バーチャルインフルエンサーはリアルな人間ではないため、フォロワーが感じる感情的なつながりが希薄になる可能性があります。これが消費者の忠誠心や共感を得る上での障害となることがあります。

  2. 制作コストと技術的課題: 高品質なバーチャルインフルエンサーを作成し、継続的に管理・運営するには、かなりの制作コストと高度な技術が必要です。また、技術の進化に伴い、常にアップデートが必要となるため、維持管理が複雑になる場合があります。

  3. リアリティの限界: リアルな人間のように多様な感情や複雑な状況に対処することが難しく、フォロワーにとって不自然に感じられることがあります。これにより、信頼性や説得力が欠けるリスクがあります。

まとめ

バーチャルインフルエンサーは、多くのメリットを持つ一方で、感情的なつながりの欠如や技術的な課題、消費者の受け入れに関する課題も存在します。これらのメリットとデメリットを理解し、戦略的に活用することで、ブランドは新しいマーケティングの可能性を探ることができます。今後、企業がバーチャルインフルエンサーをどのように活用していくのか、その動向を注視していきたいところです。

参考文献:


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