フクダヤスヒコ

1957年東京都出身。早大第一文学部卒後、自己のバンド「YOU」でメジャーデビュー。8…

フクダヤスヒコ

1957年東京都出身。早大第一文学部卒後、自己のバンド「YOU」でメジャーデビュー。80年代は主にスタジキーボードオプレイヤーとして活動、90年代は主に作編曲家として数多くのJPOP作品、ゲーム・アニメ音楽を手がける。0年代以降、映画・映像音楽分野にも進出。

最近の記事

さよならうさぎをつかまえて 第一羽と最終羽

2003年に、浜田省吾公式HPでリレー式連載された「さよならうさぎをつかまえて」の第一羽(話)と最終羽です。第一羽を福田が書き、第二羽を浜田さんが書き・・・様々なクリエイター、音楽関係者の元を回るうちにお話しのスケールは巨大化、かつファンタジックなものへと変貌し、最終羽の前の回は小川糸さんが書きました。そのラストは、主人公・真由子がウサギのカタチになった配偶者「新ちゃん」を産む、という衝撃的なもので、福田はそのインパクトに圧倒されつつ、それまでこの作品に携わった方々が張ったす

    • 「池袋モンパルナスの唄」オーディオ制作記

      今日(2021年10月11日)、桜井浩子さんがTwitterで「怪獣のあけぼの」についてのTLをされていて、「池袋モンパルナス」の話を久々に思い出して懐かしくなりPCのHDを探ると、掲題のような文章が出て来た。 かなり丁寧に書かれた文章だが、用途が全く思い出せない。当時のブログだろうか・・・ひよっとしたら、オペラ歌手の高野二郎くんとのユニット「JURAN JURAN」のライブの時に配布したものかもしれない。 とりあえず、全文を掲載してみる。 2005年 9月中旬 某日 実

      • 猫のこと

        幼い頃、猫が苦手だった。 家から歩いて5分ほどの母の実家では犬を飼っていた。 赤毛の中型犬で、俺になついていたわけでもなく特に可愛いと思った事もなかったが、母は「おばあちゃんは昔から猫が嫌いなの。おかあさんも嫌い。なんか猫って薄気味悪いじゃない」と言う主旨の言葉をたびたび繰り返した。その影響に加え、幼稚園に置いてあった少年雑誌で「仕事で三味線を作っている男の娘の額にネコ型の痣が浮き出た」とかいうイヤな絵物語を読んだのはかなり致命的だった。猫は祟る。執念深い。うわー。 更に追

        • ピラニア(曲)

          ピラニアはどの水たまりにもいます。多分。

        さよならうさぎをつかまえて 第一羽と最終羽

          かげ

          ある日、自分の影が二つあることに気づいた。 良く晴れた日の夕方、仕事帰りの僕は西日に向かって歩いていたのだが、背後に何かの気配を感じて振り返った。自分の影がアスファルトにふたつ、足元から右と左に長く伸びていた。試しに右手を上げてみた。二つの影も同時に右手をあげた。なんだこれは。僕はスマホを取り出して、写真を撮った。 翌日、友人に写真を見せた。友人は冷静に「光源になるものが二つあったんじゃないのか」と言った。「カーブミラーとか。そこに西日が反射して、影が二つできた」 おお、そ

          ピラニア

          その男の言葉を信じるならピラニアはどの水たまりにもいる 隣のビルの配管に詰まってゼリーみたいなウソを吐いて生きる 最近抜け毛が酷くなってと開いた手のひらに絡んでるのはヒル ねじれた午後を撒き戻して手繰り寄せるぐちゃぐちゃのスチル その男の言葉を信じるならピラニアはどの水たまりにもいる 夕暮れと鉄の匂いが境目を汚した布切れを着る 僕の筋肉は白いんですよと笑いながら切り裂いて捨ててみる 少しの熱で崩れ落ちても やり直せるかもとあがき 散る その男の言葉を信じるならピラニアはど

          マガサス

          「そうですね、そう難しい事じゃないです。ほんの数秒集中するだけなんで。もちろんその集中には才能も訓練も必要なんですが。」 「具体的にはどんな訓練を?」 「まあそれは企業秘密で。」 男は少し笑った。 「とにかく、いわゆる修行みたいなものじゃあないです。修行のレベルに入らなければダメな人間はそもそも適性がない。やってみたら出来た、というレベルの人間しか雇わない。そういう人間は罪悪感も抱きにくいので」 「罪悪感と言うと・・・自分の行いに、ですか」 「一種の暗殺に近い事なので。分かり

          ピアノのこと つづき

          T先生率いる校内トラベリン合唱団「歌のメドレー」がどうやって終わったか、実は全く覚えていない。2年生が終了したと同時に自然に消滅したような気がする。3年生に進級して担任が変わった後、校内でT先生に会った覚えがないから、ひょっとしたら先生は別の学校に移られたのかも知れない。 T先生はおいくつだったのだろう、と今更考える。当時は「大人」だとしか思っていなかったが、風貌を思い出すと、まだ20代中盤か後半だったようにも思える。少なくとも、自分のクラスの生徒全員を合唱団として校内を引き

          ピアノのこと つづき

          ピアノのこと

          4歳の時、母方の祖父がYAMAHAのアプライトピアノを買ってくれた。 祖父は明治生まれの腕のいい大工で羽振りがよかった。「27万円」と言う値段を母が口にするのを後日何度も聞いた。調べてみたら1961年の大卒初任給は14,200円。「目の中に入れても痛くない初孫」への贈り物にしても、結構な買い物だ。 4歳の頃の他の記憶は殆どないのだが、ピアノが家に届いた日の事は鮮明に覚えている。配達員が玄関からピアノを運び込む作業の手引きを隣のおばさんに任せて、母は家の前の道を凄い速さで駆けて

          ピアノのこと

          書く事、について

          昨日の続きを書いてみる。 高校に入って、バンドを始めた。ガールフレンドも出来た。このあたりの事はまた別枠で書くけれど、とにかくなにかと忙しくなり、中学の時ほど「書く事」に対する執着は無くなった。 それでも完全に欲求が消えたわけではなく、1年生の時、なんとなく有志を募って非公認の「地下文芸部」を勝手に立ち上げ、中学時代身につけた大量の原稿用紙を束ねて製本する技術を活かして「鬱」という回覧誌を作った。 なんでまた「鬱」だったのか。 まあ、まだ思春期だし。色々憂鬱だったんだと。

          書く事、について

          note書くかな

          元来、書くことは好きだった。昔話から始めてみる。 横罫ノートに「イカルス衝突10秒前」というSFを書いたのは小学校4年の時。ちょうど、小惑星イカルスの地球への接近が話題になっていて、それに乗じた。詳細は忘れたが、とにかく地球衝突を食い止めるべく主人公(科学者)がイカルスに降り立ち、一つ目の怪獣と戦ったりしつつイカルスの爆破を試みるお話だったと思う。最後、科学者は仕掛けた核爆弾でイカルスと共に爆死、地球衝突を回避する。ヒロイック。今思えば「アルマゲドン」みたいな話。自分的には