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FICTION & POETRY
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短篇集 『赤い切妻屋根の小屋』 (2023)

When the wind chime rang   On the porch, he was hanging   A new bamboo blin…

18

詩「起立性調節障害ではないけど」(2023)

君と僕は違う。 君は起立性調節障害で、僕は朝寝坊。 朝だということはよくわかるけど、 僕も…

Yasuharu Nagura
5か月前
12

詩「車窓からの富士山」(2023) 

自分が何をすべきかについてじっくりと考えてみる。 僕が何を撮るべきか、何を撮らないべきか…

12

短編小説「伊良湖デイト」(2023)

 山下宗司(やました・そうし)と鈴木晴星(すずき・はるね)は二年同棲している。彼らがどこ…

11

詩 「赤い切妻屋根の小屋」 (2023)

私は午後、赤い切妻屋根の小屋のところへ行って、一晩過ごした。小屋の右側の土地は傾斜してい…

16

児童文学 「ハロウィンの夜」 (2022)

 ハロウィンのある夜、ぼくは小5で塾の勉強が終わってお母さんを待っていた。マイカちゃんの…

9

詩 「台湾女人」(2022)

この町で唯一の台湾人女よ  一度だけの恋をしようよ 台北か桃園へ  小舟でいざなって そこでは 恋人は恋をするのだ 狂ったパンダのように いつか僕は死ぬだろう もしも君が僕に寄り添ってくれるのなら 僕は死ぬだろう  毎日でも 写真 Photography in Taiwan (May, 2017)より

詩 「月日は流れ」 (2022)

銀河が流れる 月の下に 我らの思い出が流れる 私は思い出す  過ぎ去りし日々の出来事 日が暮…

7

詩 「鍵」(2022)

ある夏の日、女の子が僕の家を訪れた。「どうしましたか?」と僕が訊くと、彼女ははじめ黙っ…

3

詩 「ヴィヴィアン・リーの人形」(2022)

 昔のことだけれど―たぶん一九四一年か四二年だったと思う。―私は十代で、すでに母親をパー…

4

詩 「八月のレクリエム」(2022)

霧雨の中 風の彼方に彼女は消える 残り香はかなく沈み果てる 一人残された僕は 消えた彼女の…

4

詩 「観覧車と」(2022)

正気? 硬いベッドから起き 一杯の水をいただく 清く躰にとけゆく 陽気? 朝靄を吸込む かの…

10

詩 「宇賀渓」(2022)

ふと目が覚めて筆を執る 切り立つ山を思い出す 山から風が吹きすさび 池の水面(みなも)を波…

3

詩「春の金華山を感ずる」(2022)

しとしと降る雨音を聴きながら しづかにおれは登山の記憶を辿る。 おれは山城の展望台で瞳をひらいている。 さびしい犬鷲の羽音をきいて心は涙ぐむ。 長良川のほとりを過ぎゆく遊覧船 乗客は誰なのか? その船の先に長良橋がかかっている。 俥が橋を渡って行く。 ちまたにスタジアムが二つ。  にしへいき 風が全景にながれている。 ひとり冠雪の伊吹山を眺め 城の瓦葺きを眺め 遠くに伊勢湾の海の光を感ずる。 ああ内部へさし入るデーライト。 麗らかな春の日を感ずる。 しづかな感情が城