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詩 「宇賀渓」(2022)

ふと目が覚めて筆を執る
切り立つ山を思い出す
山から風が吹きすさび
池の水面(みなも)を波立てる

記憶の山を蹴り進む
心の中に生きる山
いくつか滝に触れてみる
日陰に生える毒草も

薄紅色の石楠花に
銀の雫がレトリック
葉陰の鳥を眺めたい
わたしが死ぬるその日まで

左に曲がり人をよけ
しばし躇い(ためらい)駆け上る
人こそ踏まぬ道があり
やさしく白き雪見える

写真 Photography at Uga Gorge, Mie, Japan (2022) より

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