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今月の短歌 7月1日~7月15日

背伸びして夏ニットへと袖通す やや灰色のH2O 

エアコンに甘えたいのは日曜で冷し飴にも魔法をかける

新作のダメージ加工のTシャツの首元ぴりり 明日も雨だ

ネープが少し伸びてきたかな 君はまた微笑んで猫とじゃれ合う

パリまでに君の文化を知っておきたかったのです。時差7時間

モザイクで忘れてしまう毎日とカメラ機能だけが進むスマホ

カエサルのいたずらなんてこの夏の熱が織り成す早朝の薔薇

20代での落とし物 ワーキングメモリの枯渇 増えて出ていく

12.2光年。ただ最短で目立ちたがりの君と繋がる

コンコルド広場で踊る青い影 センターパート、これでもいいか

スパイクのギザギザ、茜色の火が灯り出したら逢えるはずだよ

憧憬をぐっともぎ取れ恥じらいもコンプレックスも捨ててしまえ

月前の意外と明るい地平線 告白に似た生成りのキッス

価値観の否定。鎖を断ち切るも「解」なんて無い 上着も要らない

霹靂、それほど歯で困ったことがなくて調べた「知覚過敏」

空を舞う放物線のその前の革新的な中指の先

そうか今年も花火が上がる季節になった 溢れ出る日よ、爆ぜろ

雨の降る街の僕らのあしあとに色がつくよな魔法の季節

ローファーの硬さに宿る違和感が僕には遠く懐かし過ぎて


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