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メタバースの将来~天国と地獄~

はじめに

バーチャル美少女ねむさんとMilaさんの「メタバースでのハラスメント調査[1]」が、趣旨が正反対の読売新聞の記事となり、拡散されています[2,3,4]。
(追記:ねむさんの抗議により、当該記事は削除されました [5])

この騒動により、私の中でモヤモヤしていた霧が晴れました。
メタバースにとって、今こそが、10年後のメタバースが天国になるか地獄になるかが決まる分水嶺だと感じます

メタバース世界の自治

違和感の元は「メタバースのことはメタバース住人が決める」原則がないがしろにされ、「物理空間の人間がメタバースのことを決める」点にありました。

大資本が「メタバース」を物理空間の経済活動の「道具」にしようとしているのです。

今回の「セクハラ規制」も、物理空間からメタバースへの干渉に他なりません。
多数あるメタバース世界のそれぞれで、メタバースの住人が、独自のルール作りを行えばいいのです

問題は、今回のTwitter騒動に見られるように、VRChatなどのプラットフォームが「ルール変更」を行う場合です [6]。
これに関しては「プラットフォームは住民の共有材であり、プラットフォーマーが勝手に仕様を変更できない。ルール変更には住民の合意を得る」住民自治の考えが必要だと思います [7]。

NFTの出番

メタバースでは、「匿名」、「なりすまし」、「多数のアカウントを所有する」など、物理空間と異なる状況があります。
この環境で自治を行う手段としてNFTの利用ができないでしょうか

住民の「ひとり一票」が確立できれば、「エストニア」の電子政府 [8] というお手本がすでにありますから、デジタル空間の自治は物理空間よりずっと構築しやすいでしょう。

著作権(料)、知財(料)、そして貨幣のない世界

著作権(料)

メタバースに著作権を持ち込む動きがあります [9]。
渋谷は著作権物で溢れていますが、「デジタルツイン渋谷」に著作権が適用されたら大変です。看板は似たデザインに改変、建物も「似て非なるもの」に、店舗の商品も異なるものに・・
これでデジタルツインと言えるでしょうか?
メタバースは「著作権料フリー」が望ましいのです。
むしろ、プラットフォーマーが運営資金を稼ぐ「メタバース広告」の規制こそ必要なのではないでしょうか

知財(料)と貨幣

物理空間は、「著作権・知財・貨幣経済」の維持に莫大な社会資本を投資しています。
個人は「財産を殖やす」ことが人生の目的となり、そのために活動しています。

この呪縛から解放されれば、どれだけ素晴らしい社会が訪れるでしょう[10]。

メタバース住民は、この呪縛から解き放たれて桃源郷を堪能する
「財産を殖やす」ことを目的とする個人を操る大資本の進出を許し、格差社会を持ち込むかの分水嶺にいるのではないでしょうか

追補(メタバース経済圏に関する考察 [11])

おわりに

現在YOUTUBEで無料公開されている「楽園追放」という映画 [12]では、
管理された「メタバース住民」である主人公が「リアルワールド(物理世界)」に降りたち、時代遅れで最先端技術から取り残された物理世界の相棒の自由奔放な生き方に触発され、メタバースエリート住民を捨て、物理世界で生きる決心をする。

楽園追放で描かれる「メタバース」と「物理空間」を入れ替えると、
現在と一致する。
現実は、「物理空間」が「管理社会」、「メタバース」が「自由奔放」の世界なのだ(いまのところは)

このまま放置するとメタバースが物理空間以上の管理社会になりかねないと感じています

「メタバースのことは我々が決める」と声を上げよう

(おまけ)
私はメタバースの入り口で立ち止まっています
したがって、住民にあれこれ言う立場ではありません
しかし、メタバースを体験したことがない非住民が桃源郷を破壊するのは座視できません
メタバース、私が住民になる時も桃源郷でいてくれよ!

参考資料

[1] メタバースでのハラスメント調査

[2] 読売新聞の記事

[3]ねむさんのインタビュー内容

[4] 私のコメント

[5] ねむさんの抗議により当該記事の削除確認

[6] プラットフォームを変更すればいいとも言えますが、どっぷりつかっている人にとっては死活問題です。特にそのワールドで築いた財を失う人のダメージは計り知れません
「ファイナルファンタジーXI」が、サービスを停止すると「FFXIが人生の全て」となっている人達が自殺しかねないのでサービス停止が困難だと言われた時以上に深刻です

[7] プラットフォーマーは、プラットフォーム作成までは自由に行うことができる一方、住民が住み着いたあとは不具合修正以外では住民と合意した時しか仕様変更はできない。
機能追加に関しては、NEOSVRやマインクラフトのように、住民が自由に機能追加を行えるしくみが望ましい

[8] エストニアの電子政府

https://e-estonia.com/wp-content/uploads/2828-e-estonia-introduction-presentation-jap-estonian-design-team-19121622.pdf

https://e-estonia.com/wp-content/uploads/2828-e-estonia-introduction-presentation-jap-estonian-design-team-19121622.pdf

[9] 著作権データベース一元化 文化庁「メタバース」にらむ
たとえば成長が見込まれる「メタバース」。現在はある仮想空間をつくろうとしたとき、東京の銀座や渋谷など現実世界をデジタル空間に複製することが多い。町並みに欠かせない看板や建物の再現にも権利処理が必要だ。映画や漫画、アニメを配信したり、キャラクターを登場させたりするのも一つ一つ著作権が絡む。

[10] 私が考える2050年の社会

[11] メタバース経済圏に関する考察
私の「貨幣不要論」は、ねむさんの「メタバースは経済圏が確立して初めて完成する」と真っ向から衝突しているように見えます。

私の推測ですが、個人系VTuberの「ねむ」さんも、大資本を巻き込んだ経済圏は望んでいないのではないでしょうか。

まずは「個人の商取引は許容するが、企業体としての経済活動は制限する」あるいは「メタバース内通貨は期限があるか、時間とともに目減りする」とするところから始めるのはどうでしょう。
メタバースは、経済システムの実験場にもできるのです

メタバース経済圏については引き続き考察を進めていきます

(経済圏の実践例)
MMORPGのFFXIが経済圏の実験場になりました
プラットフォームが供給する貨幣が消費する貨幣を上回り、ハイパーインフレが起きたのです。
ルール違反のリアルマネートレードがはびこるようになってからは、会社組織が現れました。狩りをする労働者、労働者の獲得財を現金化し、一部を報酬として労働者に支払う会社です。労働は1日8時間、最も効率よい狩り場で単調労働の繰り返し。これにより一般プレイヤーが、ドロップアイテムを狩りで手に入れられず、市場での高値購入を強要され、多大な損害を被りました。

メタバースのワールドも、物理空間とリンクした資本主義経済圏になると、同様の事態か、もっとひどい事態が起きる可能性が高いと危惧しています。

[12] 楽園追放期間限定公開

メタバ-スを理解したい人はこちらをどうぞ

メタバースにダイブしたことのない方で、メタバースの楽しみ方を知りたい方はこちらを参考にどうぞ

報道の問題(2022年11月26日追記)

近畿大学時代、京極秀樹先生が3Dプリンタで「世界一受けたい授業」に出演されたが、「すでにシナリオができあがっていて、意見は取り入れてもらえるが、かなり自分の望んだ内容とずれた」と、話されていました。

大栗先生、NHKでもシナリオがあることを匂わせられている

この番組、読売新聞事件からスタートしてる


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