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私が考える2050年の科学技術(ムーンショットの課題に沿って)

はじめに 

私が考えている、2050年の社会を以下に記載しておきます。思いつきのレベルなのでディスカッションしてブラッシュアップしたいのですが、なかなかその機会に恵まれないまま3年ほど経過しています

NISTEPの、未来予測「重要課題」分類に沿った未来社会予測と
「ムーンショット」 課題に沿った未来技術予測を述べます

どちらもコメントなどを参考に随時追記・修正をしていきます

ムーンショット課題に沿った未来技術予測

2022年9月1日開催の、電気学会産業応用部門大会シンポジウム「アクチュエータの将来動向を予測する〈3・2〉2050年の理想的な社会」の内容を、追記・修正した内容です。随時追記・修正していきます

目標1.2050年までに,人が身体,脳,空間,時間の制約から解放された社会を実現

現在,メタバース参入は3万円台で可能になっており,フルボディモーションキャプチャを追加しても50万円かからない。

バーチャル美少女ねむ:「メタバース進化論」,技術評論社,(2022).

メタバースのプラットフォームも充実し,アバターファイルの標準化が進められている

加藤直人:「メタバースさよならアトムの世界」,集英社(2022).

参考:ブレインストーム (フルダイブVR)

Neuralinkが脳にマイクロチップを埋め込むBrain Machine Interfaceを精力的に開発しており,普及するとゴーグルやモーションキャプチャシステムが不要になりメタバースにフルダイブ可能になる。

脳神経研究者が考えるBMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)

2050年のメタバース時代,人間は現実世界の容姿や性別の制約から解放されて自分自身および住環境を自分好みに自由に設計可能になる。

バーチャル美少女ねむ:「メタバース進化論」,技術評論社,(2022)

自分の意識はメタバースに置き,リアルでは自身とクローンおよび複数のアバターロボットの間を自由に往き来して生活することが可能になる。
食事と排泄の問題が解決すればメタバースで一生を過ごすことが可能になる。

参考:ソードアート・オンライン オーディナル・スケール(AR)

参考:ONE PIECE RED(仮想空間)

参考:アルジャーノンに花束を(映画邦題:まごころを君に)(脳力増強)

目標2.2050年までに,超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現

2017年にNHK「人体」で,情報システムとしての新しい人体モデルが紹介された。

あれから5年,ウイルスや腸内細菌との共生や,DNAのらせん構造など人体構造が明らかになり,高校生でも人工生命を作成可能になっている。

Apple Watchをはじめとする常時ヘルスモニタリングも普及している。

2050年,ウイルスとの共生関係を含め,人体の解明とモニタリング技術の進歩により疾患を未然に防止できるようになる。さらに人工臓器の培養と移植,サイボーグ化による心身機能のブーストも可能になる。

健康維持に費やす時間と社会資本がほぼゼロになり,莫大な時間と資本が解放される。獲得した時間と資本は自己研鑽と文化・芸術活動に費やされる。

参考:ジュニア (男性妊娠)

目標3.2050年までに,AIとロボットの共進化により,自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現

「AIりんな」をはじめとする対話型人工知能が生活に入り,Twitterアカウントの10~15%はBotであり,トレンドの5割がBotにより生まれているという分析結果もある。

再生可能な皮膚を持つロボットや,そっくりさんロボットが製作されている。

再生可能な皮膚を持つロボット

再生可能な皮膚を持つロボット

Michio Kawai, Nie Minghao, Haruka Oda, Yuya Morimoto, Shoji Takeuchi: ”Living skin on a robot”、Matter 5, pp.1–19(2022)

そっくりさんロボット

石黒浩:「アンドロイド、ジェミノイドと人間の相違」,情報処理学会誌,Vol.49 No.1, pp.7-14(2008)

メタバースでの物理シミュレーションソフトUnityや、芸術系AIがロボット制御に活用され,リアルとメタバースの境界が曖昧になっている。

2050年,人が違和感を持たないロボットがリアルおよびメタバースで生活するようになる。これらロボットは2022年のTwitter民がBotを排除しないのと同じく人間と共生し,文化・芸術活動が飛躍的に進歩する

参考:ロボコップ (サイボーグ警官)

参考:2001年宇宙の旅 (AI)

参考:攻殻機動隊(物理アバター)

目標4.2050年までに,地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現

IPCCの第6次報告書の準備が進んでいる。平均気温1.5度上昇をオーバーシュートするのは避けられない状況といわれ,地球温暖化の兆候は十分であり,特異点を超して海面が急上昇する恐れも出てきている。永久凍土からメタンが放出されているなど課題が次々見つかっている。

いっぽうCO2吸収・貯蔵や人工降雨による気温制御など提案されているが決め手はなく時間との競争になっている。

2050年,画期的な技術により地球温暖化ガス濃度を低下させ,汚染物質も回収できたとする。Cool EarthとClean Earthの次は,地球環境を理想状態に変え,維持することである

目標5.2050年までに,未利用の生物機能等のフル活用により,地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出

農業のあり方が多様化し,葉物野菜に次いで根菜類も工場で生産可能になりつつある。石油タンパクの加工食品や培養肉生産も始まっており,新しい食物生産の手段は拡がっている。

一方,食品ロスは50%に達し,食品ロスの削減が課題になっている。
2050年,土の中を完全制御,生物の力を完全活用,廃棄食品を液化輸送し,3Dプリンタで再利用可能になっている。

葉緑素を持ち光合成が可能な人間が登場すれば食事と排泄を克服し,メタバースにフルダイブして一生を終えることが可能になる。

参考:ジェラシックパーク(絶滅種復活)

参考:ブレードランナー2049 (クローン)


目標6.2050年までに,経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピューターを実現

量子コンピューターのビット競争が進んでいるいっぽう,誤り訂正がネックになっている。

電子計算機のビットはリレー,トランジスタ,ICと進化し,2値を取る物理量はなんでもビットとすることで計算機が構築できる。同じく,量子もつれ現象はなんでも量子ビットにすることができる。トポロジカル物質や粘菌の研究が進展しており,常温で操作可能な量子ビットを有する量子計算機が開発されるだろう。

2050年,誤り訂正が可能な量子コンピューターが当たり前に使われている。NP問題も普通に解けるようになり,人間の「ひらめき」の解明と応用が進む。身体を持ち,五感や感性を持つAIが共生する社会になる。

目標7.2040年までに,主要な疾患を予防・克服し100歳まで健康不安なく人生を楽しむためのサステイナブルな医療・介護システムを実現

人体の研究が進み,がんや認知症発症のプロセス解明が進んでいる。介護ロボットの発表も相次いでいる。

2040年,健康寿命は100歳を超え,好きなことをして人生を過ごすようになる。

2050年,人類は不死になり,自分の死期を自分で決めるようになる。早く未来社会を見たくて人工冬眠する人も現れる。10年ごとや100年ごとに1日だけ目覚め,お気に入りの未来で暮らす人が現れる

参考:永遠に美しく (不老不死)

目標8.2050年までに,激甚化しつつある台風や豪雨を制御し極端風水害の脅威から解放された安全安心な社会を実現

地球シミュレータの精度が上がり,ゲリラ豪雨もピンポイントで予報可能になっている。十分なセンシングにより気象予測が可能になっており,気象制御の時代に移りつつある。

2050年,気象は予測から制御の時代に移行し,ピンポイントで雨天や晴天にすることができる。気象が設計され,天気予報どおりの気候が訪れる。

地球環境は理想状態に維持されている。火山の破局噴火,巨大地震,隕石衝突,太陽フレアも予測可能になり,制御のフェーズに移行している

目標9.2050年までに,こころの安らぎや活力を増大することで,精神的に豊かで躍動的な社会を実現

ユヴァル・ノア・ハラリは,ホモ・デウスにおいて2000年に人類は餓死・病死・戦死から解放され,新たに不死・幸福・神性を追求する時代になったと説く

ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田(訳):「ホモ・デウス」,河出書房新社,(2018)

すでに哲学や幸福学が重要視され,「豊かさ」以外の指標が模索されている。

2050年,人類は労働から解放され,十分な時間と必要な財を手に入れることができる。貨幣,知財,著作権という社会資源を莫大に食い潰した概念は過去のものとなる

ニコニコ動画の初音ミク2次創作に萌芽があった「みなで創作する文化」が花開き,文化・芸術の幅が拡がる。

誰かのアイデアはあっという間に形になって現れる。みな,創作過程を楽しむため,「あいつは成果物を享受するだけでけしからん」などという人はいない。成果物を享受するだけの人も存在そのものに意味がある世界になる。

「心の可視化」ツールにより自己分析もしやすくなる。

おまけ:宇宙

宇宙人とのファーストコンタクトはイレギュラーでいつ起きるか予測不能だが、確実に世界が変わる

2022年12月26日(NEW!)

参考:未知との遭遇(ファーストコンタクト)

参考:とある魔術の禁書目録-エンデュミオンの奇蹟(宇宙エレベータ)

参考:機動戦士ガンダム 水星の魔女(モビルスーツ)

参考:正解するカド(ファーストコンタクト)

参考:トップをねらえ(ファーストコンタクト)

あとがき

理想の未来社会を想像し、その創造に向けてロードマップを作成し、実行することが重要である。

理想の未来社会もロードマップも複数考えることが重要だ。
NISTEP主催の国際フォーラムで、カナダでは首相直結の未来予測部門があり、1000以上のシナリオを検討しているとの講演があった。

私も日本機械学会技術ロードマップ委員会の一員として、より良きロードマップ創造に向けて貢献したいと考えています



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