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<3>新しく始める為の第一歩は、古い自分をリセットすること

新しいキャリア・ステージ(あるいは新しい人生)に移行するタイミングが
来たなぁと感じても、なかなか自分を変える為の一歩が踏み出せないものですね。変わりたくても変わる為に行動出来ないと言うことは人として自然なことであることと、何が必要なのか、ということを前回のコラム(新たなキャリアのステージに進む勇気と知恵~転職で人生を変えたい人に必要なこと~)で書きました。


変わる為にまずやること

それでは、古い自分から(現在の自分から)新たな自分に変わる為にやるべきことは何でしょうか?

まず、やるべきことは自分の何が古くなったのか、古くなって終わりつつあるものは何なのかを把握することです。今まではこうだと思い込んできた考え方、やり方、上手く機能していた勝ちパターン、スキルや知識、人脈などのリソース、そもそもの自分の興味・関心、あるいは昔に描いたビジョンや夢など、今まで自分を形づくっていたことで終わりを迎えつつあるものがあるはずです。何が終わったのか、あるいは自分は何を手放すべきなのか。

そして、それら(古くなって終わりつつあるもの)を把握したら、思い切って捨てるのです。つまり、古い自分をリセットします。

とは言っても終わりは避けたいもの…

古い自分をリセットすることが必要だと言っても、誰にとっても慣れ親しんだことが終わることは怖いものです。我々にとって「終わり」は避けたいことですよね。

人生の終わり、雇用関係の終わり、大切な人との関係の終わり、楽しい時間の終わり、日曜日の終わり(?)などなど、良いことが終わるのはみんな嫌ですよね。我々は終わりを感じると終わらせたくないと焦ってしまいます。それが自然な反応です。

私は多くの人々のキャリア相談に乗ってきましたが、終わりに直面して混乱している人々も沢山おられました。

終わったと絶望した人々のその後

そんな人々の例を2件ほどあげえると、例えば、だいぶ前の話ですが、リーマンショック時の金融不況で職を失った外資系投資銀行の男性は「金融は崩壊した。投資銀行ビジネスはもう終わりだ」と普段の聡明で自信ある態度からは想像できないくらいに取り乱していました。

また、ある友人は恋人との別れに直面して「俺の人生は終わった」と本当に世界が破滅したかのように号泣して悲しんでいました。

人は終わりを迎えると、過剰なまでに悲観的に反応してしまうものです。

それぞれの出来事から10数年が経過していますが、終わったはずの彼らは今どうなっているのでしょうか?

まず、上記1人目の外資系投資銀行の男性ですが、彼が終わりだと言った金融も投資銀行ビジネスも終わってはいません。引き続き世の中に必要な産業として重要な役割を担っています。因みに、その職を失った投資銀行の彼は別の業界の会社に転職をして財務分野の経営幹部として活躍中で活き活きとしています。お会いした印象も、冷静で隙が無い自信家の雰囲気から、笑顔でオープンな雰囲気に変わっていて今の方が幸せそうです。

また、失恋した彼は、元気に生きています。別の女性と結婚してお子さんと3人で幸せに暮らしています。仕事をバリバリやりながら、休日は家族で楽しむ子煩悩なパパです。

終わりは変化のプロセスの入り口

この2人の終わりは、終わりではなくて新たな始まりの入り口だったのです。終わりの後、しばらくは二人とも辛い時期を過ごしたと思いますが、数年後には新しい幸せを手に入れていました。

「終わり」は単なる1つの出来事ではありません。終わりはその先に続いていく新たな自分への変化のプロセスの入り口であることがこの事例からも分かりますよね。

ただ、繰り返しになりますが、誰も「終わり」を望んではいませんよね。「終わり」は恐ろしくて避けたいという気持ちが自然です。しかし、この恐ろしい「終わり」を苦しみながらも消化することが新たな自分に変わる為の第一歩です。「終わり」を消化出来ていないと、過去をいつまでも引きずって新たな始まりは訪れず、新たな自分には変われないのです。

具体的に言えば、自分の古い考え方や思い込み、習慣などを維持したままでは新しいものは育ちません。ガーデニングで木の古い葉を取り除いたら、新しい葉が芽吹き始めるのと同じです。「終わり」に向き合い消化する必要があるのです。

自分に起こっている「終わり」を理解して、過去をとらえ直して、古い自分を終わらせるのです。古い自分のリセットです。その上で、新たな自分を始めるにはどうしたらよいのか、探索を開始するのです。

(2023年9月4日)
山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士


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