年収を上げる為にはどうすれば良いのか?
人材仲介の仕事をしていると一般的な日系企業と
高賃金の外資系企業などとの年収格差の拡大を実感します。
なまなましい例を述べると、
ある大手製造業の部長(50代)の年収が
約900万円であったのに対して、
某外資証券の新卒1年目が年俸950万円+賞与で
合計1300万円程でした。
名門国内企業の部長なのに、業界は違うものの、
新卒採用のジュニア・スタッフよりも低い年収に
なっていますね。
他には、ある国内大手証券の部長が1600万円に対し、
外資大手証券のVP(課長)が5000万円強で、
MD(部長)は(非開示にしますが)1億円を大きく超えています。
特にこの4-5年の間に外資系、特に欧米系の
会社での年収が一気に上がったので、
その差が随分と目立つようになりました。
最近は物価も上がり始めていますし、
みんな収入を上げたいですよね。
どうすれば自分の年収を上げることが出来るのでしょうか?
年収UPした事例
先日、過去に転職をお手伝いした人々の年収が
転職して中途入社から5年後にどれくらい
増えているのかを調べました。
すると最も高くなった人が10倍強、
2-3倍は結構多くて、もともと高めだった人は
1.5倍などでした。
もちろん年収アップを目指すだけでなく、
働き方など他の要素とのバランスを重視した結果
年収は2割増という人もいます。
取り扱っている求人の性格上、業界に偏りがありますが
参考までに事例をご紹介すると下記の通りです。
***
<前職→中途入社5年後の年収UP例>
・大手銀行→外資系金融機関:400万円→5000万円
・大手証券→外資系投資ファンド:800万円→4000万円
・大手メーカー→外資ITコンサルティング会社:600万円→1800万円
・中央官庁→戦略コンサルティング会社:600万円→1800万円
・監査法人→大手財務コンサルティング会社:800万円→1500万円
***
上記の各事例は年収アップが目立つ事例で、
ある意味、年収がアップするのが当然の転職パターンです。
年収水準が(それぞれの業種にしては)低めの
国内企業から(総合商社は除く)、
お金が集まる業界の外資系企業への転職ですから、
結果として年収は上がります。
年収を上げる為に必要なこと
では、年収を上げるには外資の金融やコンサルへ
転職するしかないのでしょうか?
決してそうではありません。
10倍にしたいのであれば、投資ファンドや
ヘッジファンドなど投資のリターンの分け前を
もらうタイプの業種に転職するか、
自分で起業して事業を成功させるか、
などを目指すべきでしょう。(リスクありますが)
しかし、何もそんな10倍にする必要はなく、
1-2年以内に2~3割UP、5年後位には
2~3倍にしたいのが現実的な本音でしょう。
(例えば、500万円→1000万円~1500万円へ)
どうすれば、これを実現できるでしょうか?
副業などとの掛け合わせは今回考えず、
あくまで賃金を上げる方法に限定して述べます。
まず、前提としては、生産性の低い業界にいるなら、
高収益な成長産業・成長企業への転職です。
まずはこれです。
停滞している業界でメンバーシップ型雇用を
している大手企業にいても年収は増えません。
年収が上がる2パターンの転職
次に、年収が上がるチャンスのある転職を
2パターン述べます。
1つは、フロント職への転職です。
フロント職とは営業など顧客に商品やサービスを
提案して売る仕事のことです。
高い商品やサービスを売る仕事で、
自分や会社の業績と賞与が連動している仕事は
収入にアップサイドがあります。
しかも、不況になった時でも採用される人材は
お客さんとのパイプを持っていて売り上げを
上げることが出来る人です。
(リーマンショックの不況時にも顕著でした)
お金を引っ張ってくることが出来る人が、
お金をもらえるというシンプルなことですよね。
高年収企業として、日本M&Aセンターや
キーエンスなどがランキング上位にくるのは、
需要がある高いサービスや製品を優秀な営業が
売りまくっているからです。
もう1つは、どの業種・会社でも必要な共通の
専門職(IT、財務、会計、法務、等)で、
ハードスキル・知識が無ければできない仕事です。
これらは急に年収が跳ね上がることはありませんが、
その職務が出来るスキルが無いと採用されません。
ですから、スキルを高めていけば、ワンクラス上の
スキルが求められる今よりも高い年収のポストへ
転職出来るチャンスがあります。
また、専門スキルに英語力やITリテラシーなどを
かけ合わせると更にチャンスが広がります。
ただし、目指す会社は成長産業の成長企業で、
ジョブ型あるいはそれに近い制度の会社です。
メンバーシップ型雇用の大企業で、例えIT等の
専門職に就いても、同じ会社の他の同年代の
人々と年収は変わりません。
(正社員でなく契約社員にすることで
高い給与を払う会社もありますが)
収入と働きがいのバランスは?
本コラムでは年収を上げる方法が論点ですので、
お金の話を中心に述べました。
しかし、仕事から得る満足はお金だけでは
十分に得ることは出来ません。
収入は一定の水準を超えると全体的な満足度は
頭打ちになります。
収入を増やす必要がある特別な目的がなければ、
おそらく独身だと1500万円を超えたくらいから
満足度の高まりが鈍化してきます。
(他、800万円から満足度が頭打ちになるという説もありますよね)
一方で、仕事の中身に対するやりがいは、
天井がありません。
自分にとってやりがいがある仕事内容であれば
あるほど、幸福度は高まり続けます。
したがって、収入と働きがいに対する見方は、
収入については「少なくともこれ以上は必要」
というボトムラインを明確にすることです。
それを上回っていたら、ひとまず良しとして、
やりがいを持てる仕事を追求するのが良いと思います。
それが仕事を通じて幸せになる方法ですし、
長期的には収入も増えてくるでしょう。
(2022年7月19日)
山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士
プロフィール
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