<13>リセットする技術
次のキャリアステージに移行するにはコツがあります。(新しい自分に変わる、新たな挑戦を始める、などの時も含めて。)すっきり新しくスタート出来るか、あるいは、頑張っているのに同じところをグルグル回って次のステージに移れない期間が続くのか。このコツを実施するか否かで、どちらになるのか決まってしまい兼ねません。
まず手放す
次のステージに移行したくて頑張っているのにも関わらず、それが出来ないのはなぜか?
それは「自分の新しい挑戦を、古い自分のやり方や考え方で行っているから」ということが多々あります。
次に行きたいのに、手放すべき古いことを手放していないから、です。
本マガジンでエピソードとして取り上げた営業マネージャー和田さんの事例(*参考コラム)では、彼は先輩に相談することによって、これまでの自分の仕事のやり方や考え方が古くなって終わっており、その終わりを受け入れるようにアドバイスされました。
*参考コラム:キャリアチェンジが転職ではなく、仕事のやり方のチェンジだった話~ある営業マネージャーの事例(後編)~
その為には自分の終わりを見つける
先輩にアドバイスされた営業マネージャー和田さんは、これまでの人生やキャリアを自叙伝を書くことで振り返って、自らの仕事のやり方の原点が学生時代に部活でキャプテンとしての経験にあることに気づきました。
また、同時にその従来のやり方の限界にも気づいて、慣れ親しんだやり方を手放すことを決断。
で、過去を手放す決断をした記念に一人旅に出たというお話でした。
本コラムでは、この一人旅がポイントです(笑)
通過儀礼で時の流れを区切る
一人旅がポイントと書きましたが、なにも旅をしなくてはいけないということではなくて、手放したことを自分に印象づける象徴的なイベントを行うことが重要なのです。
ちなみに、人生の節目に象徴的なイベントを行うことは我々の伝統文化にも組み込まれています。
例えば、昔の武士が行っていた元服式は子供から大人に変わる通過儀礼で子供の名前から大人の名前に変わって、その式の後からは大人として生活をします。本人も意識が切り替わったことでしょう。現代に行っている成人式はその名残かも知れませんね。
他には、学校の入学式や卒業式も同じようなものでしょう。
元服式、成人式、入学式、卒業式など、いずれもそれらのイベントをやる前と後で、その人達にとっては自分の人生のステージが切り替わります。
皆さんも、過去の入学式や卒業式を思い出したら、自分の意識が変わったことを覚えておられるのではないでしょうか?
ある意味、年末の大晦日を過ぎると旧年から新年に変わることも同じですね。1月になったら、12月以前は去年で終わった年と認識し、これから新たな年を始めるという気持ちになります。時の流れで言えば数分から数時間しかありませんが、その前後で過去から新たなステージに変わってしまうから不思議ですね。
次のキャリアステージに移行するコツとは、この変化を自分で引き起こすのです。
古い自分からの卒業式の後は、次のステージに全集中
つまり、古い自分をリセットして新しい自分に変わる為にも、自分にとっての時間の流れを区切る通過儀礼として、象徴的なイベントを行うことが効果的です。
そこで、古い自分からの卒業式をやるのです。
一人旅以外の例では、ある人はちょっと高めの腕時計を買いました。身につけて、もう後戻りはしないという気持ちを常に意識する為の工夫だそうです。
もちろん、旅行とか買い物ではなくても、一人で美味しいものを食べに行っても良いでしょう。あるいは、散歩したり、日帰りでどこか行ったり、お参りをするなど、自分だけの卒業式は色々な方法でやれます。
どの様な形でも構いませんので、人生のステージを切り替える区切りの時を自分に印象付ける為に、特別なことをやることがコツです。
そうやって、古い自分に戻ろうとする気持ちを消して、次のステージで移行して、そこで全集中できるように自ら仕掛けるのです。
(2023年11月20日)
山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士