走馬灯で聴きたいあれこれ7選
出棺曲なら平沢進『オーロラ3』がいいけれど
でも、自分のお葬式って(生前葬でもしない限りは)自分は参加も開催も出来ないじゃありませんか。自分ではない誰かに頼らざるを得ないので。だもんで、葬式で流したい曲って特段ないんですよね。自分が聴けなかったら悔しいじゃありませんか……。
※『オーロラ3』はこちらに収録されています👇
人生の終わり、自分の意志で何とかなりそうなものと言えばそう、走馬灯ですね。
そこで今回は、走馬灯で聴きたい音楽を集めました。
そもそも、走馬灯って持ち時間何分なの?
天国か地獄にiPhoneは持ち込めるの? 充電器は? オンラインなの?
まだまだ走馬灯を見るつもりはないんですが、早め早めの対応がいざと言う時役に立つはずです。
※以下、順不同です。これらがランダム再生で聴ければ、十分満足な走馬灯になるのではないでしょうか。
The xx / Angels
私がこの曲を始めて聴いたのは、下でご紹介しているNPR Tiny Desk Concertのライブ(1曲目が『Angels』)。
今でこそ、The xxの3人はそれぞれソロ活動が盛んですが、Tiny Desk ConcertのライブはまだThe xxが2人だった頃のもの。幼馴染である2人の親密な雰囲気の中演奏される『Angels』に心を全部持って行かれました。
彼らのライブを生で見た時の感動も忘れられません。音が鳴った最初の瞬間、号泣してしまったくらいです。The xxの音楽は私の心に染み渡るものが多いので、ふとした時に聴くと「ウッ」と呼吸が締め付けられます。
(オールナイトニッポンで米津玄師がおすすめしていたとか。)
この楽曲は、走馬灯ソングというよりは召されそうになる歌、”召されソング”かもしれません。でもまあ、人生の終わり=召されかけているなのでTPOに合っているのではないでしょうか。せっかくの走馬灯ですから、こういうしんみりした曲も入れておきたいものです。
この曲が入っているアルバム『COEXIST』、最高にいいのでぜひ👇
トンデモワンダーズ / ワンダーランズ×ショウタイム × KAITO
どうせ人生のさいごなら、景気よく行きたいねということで。私が最近始めたリズムゲーム、プロセカで聴ける楽曲です。
明るく元気にショーを繰り広げるユニットの曲なので、とにかく楽しい。プロセカで知った好きな楽曲・泣きたくなる曲はたくさんあるんですが、最初から走馬灯で聴きたいと思ったのは『トンデモワンダーズ』だけ。
なにせ、曲紹介でもこんな風に書かれている楽曲ですから。人生さいごも、こんなノリで行きたいものです。
プロセカ関連エッセイはこちら👇
フルで聴きたい方はこちら👇
Sudden Lights / Aijā
Eurovision 2023のラトビア代表、Sudden Lightsがコンテストで演奏した楽曲です。彼らについては、Eurovision 2023関連のあらゆるエッセイでしたためておりますが、今でもまだこの曲が好きで好きで……。
抽象的な歌詞を美しく切なく歌い上げるエモロック。走馬灯にぴったりの名曲です。
関連エッセイはこちら👇
この曲が収録されているアルバムは現時点(2024年3月)でまだリリースされていませんが、既にリリースされているアルバム『Miljards vasaru』も良いですよ👇
シルク・ドゥ・ソレイユ / コルテオ
これ、サーカスの演目なんですけど、走馬灯ってどれくらい時間使えます?
大大大好きな、シルク・ドゥ・ソレイユの演目『コルテオ』。私は日本公演を何度か見て号泣した記憶があります。(DVDも持っているんですが、それを見てもやっぱり泣いた。)
そもそも、この『コルテオ』自体が”主人公のおじさんが死んで天国へ行くまで”のストーリー。
美しい音楽に合わせて男の目の前に現れるのは、子どもの頃にベッドで跳ねて遊んだ思い出や、キュートで少し奇妙な芝居小屋、恋に落ちた女性たちの可憐な姿、それから……。
『コルテオ』、走馬灯業界の中でも最高傑作では?
シルク・ドゥ・ソレイユはサーカスなんですが、『コルテオ』はどこかしらに自分を重ねることが出来る素晴らしい走馬灯で、心の琴線をじゃんがじゃんがとかき乱してくれます。
私の走馬灯はこんなに美しくないだろうから、せめて『コルテオ』を見せちゃもらえませんかね。いかがでしょう。
ちなみに、シルク・ドゥ・ソレイユの公式YouTubeチャンネルでは33分にまとめられた『コルテオ』が見られます。様子を知るためにぜひどうぞ👇
フルでご覧になりたくなったらこちらから👇
椎名林檎 / 獣ゆく細道
私の走馬灯には彼女の曲が欠かせません。大好きな曲はたくさんありますが、走馬灯という局面ではこの曲が聴きたいなと前々から思っていました。大好きな椎名林檎と大好きな宮本浩次が、最高に格好いい楽曲を歌唱しているんですからそりゃ最高ですよね……。
これはいい走馬灯になる気配がしてきました。
👆こちらのライブ映像を収録した円盤は『林檎博' 18』。ゲストにMummy-D、トータス松本、レキシとか言う、日本のポップミュージックの歴史みたいな豪華メンバー揃い踏み。
曲だけ堪能したいストイックなあなたにはこちらを。
東京事変 / 透明人間
東京事変の楽曲も好きなものがたくさんあるんですが、私が思う走馬灯のテンションに一番合っているのはこの曲な気がしています。
ゴテゴテした装飾はせずに、明るく切なく、ドラマチック過ぎず、こざっぱりとした終わり方。こういうのがいいなと思います。
『透明人間』単独でのライブ映像だとか音源が公式で見つからなかったので、聴きたい方はぜひ収録アルバム『大人』を覗いてみて下さい。
スピッツ / ロビンソン
私はスピッツをこじらせています。どれくらいこじらせているかと言うと、2017年にリリースされた『CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection』を今も(2024年3月)聴けずにいるくらいのこじらせ方です。
でも、別に何かエモい思い出があるわけではないのが恐ろしい所。ただただ、音がよくて歌詞がいいというだけでスピッツへの”好き”をこじらせてしまった人生でした。
少しでもスピッツを聴くと意識が全部引っ張られてしまうので、多分私の心身にとってスピッツの音楽はもう致死量に達しているのだと思います(故に最新アルバムとか追いかけていない)。
ならいっそ、走馬灯で聴けばよくない?
スピッツの楽曲は色々聴いてきましたが、結局立ち返ってしまうのは大ヒット曲『ロビンソン』。ずーっと危うい歌詞と爽やかで淡い曲調が、心の柔らかいところとドロドロしたところに触れてくる危険な曲です。
私はこの曲のリアルタイムでスピッツを好きになったわけではないのですが、後から聴いてあまりの危険さに「これが流行っている頃に好きになってなくてよかった……」としみじみ思いました。
ところで、あなたは『ロビンソン』のベースを意識したことはありますか? 私はかつて、スピッツのコピーバンドでベースを担当したことがあるのですが、指と心がもげるかと思いました。だって、それだけで別の曲が成り立ってそうな勢いの音の動き方するんだもの……。最高のベーシストだと思います、田村氏は。
スピッツ、私の人生に現れてくれてありがとう。
👇関連エッセイはこちら。
この楽曲を収録したアルバム『ハチミツ』は1995年リリースとか。今でも色褪せない危うく輝くロックミュージック。頼むからあと5億年ほど長生きしてほしいバンドです👇
今時点では、最低限でもこの辺りを走馬灯で聴きたいと思っているのですが、きっと本当に走馬灯を見る時にはラインナップが変わっているんでしょうね。
私はまだまだ走馬灯に出くわすつもりはありませんが、こうやって考えるのは大変楽しかったです。
あなたが走馬灯で聴きたい音楽は何でしょうか。
走馬灯と対峙する日が遥か彼方であることを祈りつつ、いい音楽が聴けることも一緒に祈っておきましょう。
おまけ
「あの世で音楽聴けるのか問題」に端を発して考えた短編小説があるので、ついでに置いておきます。
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