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村の昔の生活史

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昭和43年から続く小さな村の広報誌。ページをめくると大野見の歴史や民話、暮らしぶりが記されている。 そこには歴史の教科書に出てくる偉人など一人もいない。
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#田舎

生きるための狩猟と楽しむための狩猟。

生きるための狩猟と楽しむための狩猟。

現在、人口1000人を切る旧大野見村にも、かつて狩りの名手がいた。
狩猟を生き甲斐とし、狩猟を愉しみつくしたその猟師の姿は
現役の地元猟師にも重なる。
狩猟を経験している私自身の感触とともに、
娯楽としての狩猟を、どうとらえたらいいのか考えてみた記録。

幕末の土佐藩主に認められた猟師
 東の空が白みかけた朝まだき、凍てつくような霜柱を「サク、サク」ふみしめながら、西に向って進む狩り姿の一行があっ

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嫉妬深さに向き合う

嫉妬深さに向き合う

昭和43年から続く大野見の広報誌に編まれている、
昔話「悲劇の神童 庄三郎-前半-」。(後半はこちら)
たかが昔話、されど昔話。
人間の嫉妬の恐ろしさを伝える、ある少年の悲話である。

13歳の少年、盗みを犯す
落合の橋を渡った時一ばんどりが鳴いた。

静寂の空に星が桑田山(そうだやま:中土佐町の東に位置する標高770mの山)にむかって走っても今朝の庄三郎は少しも恐怖をおぼえなかった。彼はただ夢中

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