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村の昔の生活史

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昭和43年から続く小さな村の広報誌。ページをめくると大野見の歴史や民話、暮らしぶりが記されている。 そこには歴史の教科書に出てくる偉人など一人もいない。
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2023年3月の記事一覧

高知県中土佐町大野見、ここに始まる。

高知県中土佐町大野見、ここに始まる。

今を去る1380年ぐらい前(600年ごろ)、 用明天皇の頃、仁井田の川の内の百姓に長左衛門という人がいました。ある日、伊勢川と川の内の境にある若目山にあがって、山の上の高い木によじ登り、はるかに北の方を眺めました。(地図下部)

大野見を発見した長左衛門。

そこには黒々とおいしげった大きな山波が続いていました。が、その中に、広い平原と思われるものを発見したのです。長左衛門は喜び勇み、あくる日、若

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狼がいた頃の夫婦遍路の悲しき末路

狼がいた頃の夫婦遍路の悲しき末路

 もし、あなたが他人にうけた不親切が理由で、想像も出来ないほどの悲しみに逢ったとき、その人々をうらみに思わないだろうか。

 野老野(ところの)から日野地(ひのじ)に越える、昔の通路の高峠に、小さな祠がある。人々はこの祠を高の峠様と呼んでいる。 

夫婦遍路、峠を越える。

 数百年の昔の秋の夕暮どき、この径(みち)をいそぐ夫婦づれの遍路があった。妻は身ごもる体であったため、今日は山を越す事は出来

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町に豆腐屋があるという贅沢。

町に豆腐屋があるという贅沢。

畠の肉とも呼ばれる程栄養価も高く消化もよい、みそ汁に、すき焼きに日本人の食卓に欠かすことのできない豆腐、この豆腐を製造し続けて四十余年。

雨の日も風の日も豆腐に明け暮れ、私の生きる道と定め、ひたすら豆腐造りに精出している「豆腐屋のおばさん」 こと黒岩挙(あぐる)さんを今回は紹介してみたい。

豆腐との出会い

 挙さんは明治四十年(1907年)一月、窪川町東又で七人兄弟の五女として生まれた。
 

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