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書評14年目、夫14年目、雇われ11年目、教育9年目、選書7年目、父親6年目、Kairos研究6年目、群馬県民5年目、人類学3年目 http://naokiyamamo.to Sense of Wander,Chance of Wonder,Source of Becoming

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「未来」という科目が受験科目になる未来

お勉強を積み重ねた大人が起こす不可解な事件や嘘の発言。 偉い人を守るために嘘をついたら、その行為が報われる社会。 それは、(偉い人のために)努力するものが報われる社会、のあり方? 子どもたちに説明のできないニュースが多すぎる世の中、それは、模範がなく、規範が揺らぎ、未来が薄暗い社会である。 そんな中でも、希望をもって「こんな社会だったらいいな」と妄想を膨らませつつ、未来への期待と絶望の両方を考えられる子どもたちが増えること。それが僕の考える「こんな社会だったらいいな」であ

    • 子どもの2つ目の習い事を選んだ

      前提1:5歳10ヶ月のころ 前提2:急にピアノをやりたいと言いはじめた(1つ目の習い事) 前提3:過去に公文式の体験にいこうとしたら、建物にさえ入らなかった ①子どもが「やってみたい」というまで待った あるとき、ピアノをやってみたいといいはじめた。動機は仲のいい友達がやっているから。過去に公文式に無理やり連れていこうとしたら、教室にさえ入らなかったことがあり、無理はさせない。 ②さまざまなスポーツや習い事に見学と体験に行った 他にもやってみる?と聞いたら、前向きだった

      • 40歳とかいう節目と向き合ったら、15000日のほうが大事じゃんとわかった件

        40歳になったけど、なりきれなかった事情2023年12月、夜中にサンタがプレゼントを枕元に置くのに忙しい日。 四十路街道に向けて右折した。行列ができ、信号待ちを4回程度して、ようやく曲がれた感じだ。ということで、左折ではなく右折である。 毎年思うことなのだけれど、年の瀬に誕生日があることはラッキーだ。1年を振り返る上で一石二鳥、一度に二度美味しい。 40歳になった2023年は前述の通り右折だった。修士論文執筆で気分も時間も脳内も身体も渋滞し、どん詰まりだった。 完全な想

        • 「わかる!」の快感

          わかったとき、快感がある。 クイズとか、パズルとか、テストとかでも感じられるあれ。 万人に共通の答えがある問いに対し 「わかる!」 は快感がある。ただ、それなりである。 答えの見えない問いに対し、自分なりの答えが見えたときの 「わかった!」 はもっと快感である。 そして、答えのない問いに対しての自分の「わかった!」 は人に理解や共感してもらえるかわからない。それを共有するときのドキドキと共感や理解が得られたときの安心感と興奮は、こっそり心の中で楽しめるもの。 た

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        「未来」という科目が受験科目になる未来

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          俯瞰と没入の往還

          抽象と具体、直観と論理、優しさと厳しさ、自由と権利、、両立が難しいことはたくさんある。 まだ、頻繁に語られていない両立が難しいものとして、俯瞰と没入(没頭)があると思う。 俯瞰は時間と空間をひいて、空間はマクロに時間は長期にもち、全体感をもつというイメージだ。 没入は時間と空間を忘れて、空間はミクロに、時間は消えるイメージだ。 俯瞰モードのときは、没入しているときのことを考えられておらず、そのため、計画の精度が落ちる。 没入モードのときは全体感を持てておらず、想定外の方

          俯瞰と没入の往還

          37歳で社会人大学院入学した経緯を、40歳で修了したときに書いてみる

          30代までに大学院を卒業したい30代までに、大学院卒業したい。考え始めたときのなんとなくの理由と動機である。そして、卒業から逆算し2021年10月、37歳10ヶ月に入学し、2024年3月、40歳3ヶ月で卒業。 半年休学したため当初の計画は後ろ倒しになった。時間の確保に悪戦苦闘しながらなんとか修了したのだけれど、修了したときに振り返ると、大事だったのは、大学院を選ぶ過程で逡巡したことだったと思う。2017年ごろから入学までの4年間、何を学ぼうか、お手つきしながら、選んでいった。

          37歳で社会人大学院入学した経緯を、40歳で修了したときに書いてみる

          『創造性はどこからやってくるかーー天然表現の世界』創造とは外部を召喚すること

          ワクチンを開発した科学者パスツールは「Chance favors the prepared mind.(幸運は用意された心のみに宿る)」という言葉を残している。準備する心によって偶然に気づくことができるのだということだろう。心構えはとしては納得できる、と同時に疑問が湧いてくる。チャンスそのものを増やしたり、再現性を高めることはは可能なのだろうか。 本書の射程は、チャンスそのものではない。チャンスや幸運を捕獲する網をよりよくデザインすることを検討する。心構え以上のものを探ると

          『創造性はどこからやってくるかーー天然表現の世界』創造とは外部を召喚すること

          『スラッジ: 不合理をもたらすぬかるみ』悪い行動経済学

          スラッジ(SLUDGE)、直訳すると、泥、ぬかるみである。 煩雑な申請、長い待ち時間、何を書けばいいのかよくわからない書類など、摩擦が大きい故に、合理的に行動を阻むものである。ナッジを世間に広げた法学者が本書の著者である。スラッジとナッジは兄弟のような関係なので、まずはナッジの短い歴史をおさらいしよう。 1999年、アムステルダムのスキポール空港は経費削減を目論んでいた。床の清掃費が高くついていた男子トイレに目を付けた。経費削減のためにやったことは、効率性の高い清掃マシン

          『スラッジ: 不合理をもたらすぬかるみ』悪い行動経済学

          『メタ認知 あなたの頭はもっとよくなる』思考を観察するもうひとりの自分

          メタ認知、最近よく聞くようになった言葉だ。辞書をめくると、「自分の行動・考え方・性格などを別の立場から見て認識する活動」と書いてあるが、うーん、わかるようでわからない。 サブタイトルの頭がよくなることとどんな関係があるのだろうか。著者はメタ認知の専門家であり、中学生入学段階からメタ認知を意識し始めたらしい。きっかけは、英語学習を通じて、頭の使い方を意識するようになったことだ。周囲の友人からは急に頭がよくなったね、と言われるようになったそう。 サブタイトルは「あなたの頭はも

          『メタ認知 あなたの頭はもっとよくなる』思考を観察するもうひとりの自分

          『スノーボードを生んだ男 ジェイク・バートンの一生』一枚のおもちゃを世界的なスポーツに

          雪の上を遊ぶおもちゃの板を、一つのスポーツ、一つのビジネス、一つのカルチャーに育てあげたアメリカ人の自伝である。泥臭く地べたを這いつくばりながら0から1を作り上げたThis is Americaとも言えるストーリーである。その男の名は、ジェイク・バートン、スノーボードのメーカーとしてもっとも有名で巨大なブランドを立ち上げた男である。 はじめに断っておくが、評者は大学時代にカルト的にスノーボードにのめり込んでいた。頻繁に雪山に通えなくなってからは、長らくスノーボードの本が出る

          『スノーボードを生んだ男 ジェイク・バートンの一生』一枚のおもちゃを世界的なスポーツに

          『反逆の神話〔新版〕: 「反体制」はカネになる 』カウンターカルチャーへの愛憎相半ばする複雑な気持ち

          反体制はカネになる。ん、どういうことだ?、違和感があると同時に居心地が悪い。だって、反体制の人たちはおカネよりも大切なもの、例えば、自然とか文化とか、コミュニティとか、スタイルとか色々とあるから。儲かることや経済とは一線を画して、独自路線を進んでいるのであって、おカネや儲かるという言葉とは縁遠いはずだ。 だけど、読み終えると、そんなやわな考えは吹き飛んでしまう。反体制が儲かることに納得せざるをえない。オーガニック食品、カウンターカルチャー、スローフード、反グローバリズムなど

          『反逆の神話〔新版〕: 「反体制」はカネになる 』カウンターカルチャーへの愛憎相半ばする複雑な気持ち

          『差別はたいてい悪意のない人がする』特権という厄介で見えにくいことを考える

           差別はつねに、差別によって不利益をこうむる側の話である。差別のおかげで知らぬうちにメリットを得る側の人が、自ら立ち上がって差別を語ることはしない。ただ、よーく考えれば、差別される側になる可能性があるのであれば、差別する側になることだってあるはずということに気がつける。 「もうすっかり日本人ですね」 「希望を持ってください」 この2つの声がけは一見褒めていたり、励ましていたりする言葉のように見える。だが、前者は国外から日本へ移住した人たちに、後者は障害者に対する代表的な

          『差別はたいてい悪意のない人がする』特権という厄介で見えにくいことを考える

          『仕事のアンラーニング 働き方を学びほぐす』捨てる学びで、古いパターンを捨てる

           コロナ禍が契機となり、自宅からでも学ぶことができるオンライン動画学習やコーチングサービスが活況に沸いている。学びたいけれど、時間がない、高額で払えない、仲間がいない、という悩みが解消され、学び直す人が増えているようだ。 新しい知識や技術を手に入れ満足はしたし、アウトプットや小さな実践・副業もした。だけれど、仕事が忙しくなって、元の木阿弥になってしまった。もし心あたりがあるなら、アンラーニング(unlearning)という言葉に注目してほしい。 アンラーンは「学びほぐし」

          『仕事のアンラーニング 働き方を学びほぐす』捨てる学びで、古いパターンを捨てる

          Wayfinding the Future

          幸せへと続く人生への道を歩む。これが想像以上に困難であるのは、道には分岐点があるからだ。できれば、誰かのあとをついていきたい。 自己決定が将来の幸福につながるらしい。だけど、自分で決めるのは怖い。流されるままに、できれば、人と違うことをしたくない。 あれこれあるが、幸せは完全には科学できない。最後は自分に合った答えで決める。自分なりの道が見つかる、自分らしい道を見つける。 なんとか、自分の考えをまとめようと、四苦八苦していたとき、向田邦子のエッセイ『手袋を探す』を読んだ

          Wayfinding the Future

          意思決定、責任、応答、欲望形成

          意思決定は英語で、"Decision Making"である。Decisionには切り捨てる、という意味がふくまれている。 責任は、英語で、"Responsibility”である。Response、つまり応答する、という意味がふくまれている。 無意識に意思決定したの本人に責任が生じる、帰責すると考えている。しかし、切り捨てたのであり、応答はしていない。だから、意思決定すなわち責任が生じるはどうも矢印の方向が違うように感じる。 本来は、かかった声に応答するからこそ、責任が生

          意思決定、責任、応答、欲望形成

          『WAYFINDING 道を見つける力: 人類はナビゲーションで進化した』使わないには、失うには、惜しすぎる

          北極圏は氷と雪と岩ばかりの地表である。季節ごとに雪が積もり、氷が溶け、景色は移ろいでいく。イヌイットはその中から場所を特定する手がかりを見つけ、獲物を探し、そして迷うことなく家に戻る。アボリジナルがオーストラリア大陸の広大な砂漠を横断するために実践するナビゲーションの技は、祖先たちの足跡を刻む曲がりくねった道を参照にすることだ。太平洋諸島のカヌー乗りたちは天体に輝く星、太陽、月の位置と波を感じ取りながら、航路を調整する。 彼らのような先住民は動物に近く、それゆえに無意識の直

          『WAYFINDING 道を見つける力: 人類はナビゲーションで進化した』使わないには、失うには、惜しすぎる