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地域経済の希望④~長野県大町市往訪録(後編)・スタバに関する考察など~

止まった時間が再び動き出す

お久しぶりの投稿となり申し訳ありません。プライベートの方で前向きな激変があり、更新のタイミングを逸しておりました。激変の方はまたいずれご報告したいと思います。さて、途中になっていた長野県大町市への往訪録の後編を。前編は以下参照。

水飲み場で喉を潤したあと、商店街を奥に進みます。一見すると古い商店もよく見ると店舗が変わっていて新しい血が入っている様子も窺われます。商店街を少しそれたところにコーヒースタンドがあり、運営の方はもちろんのことお客さんも若い方ばかり。

ai coffeeさん

店員さんとお客さんの距離感の近さは地方ならではで、「最近来てなかったけどどうしたの?」なんて会話に心が温まる。
なるほど、これが”居場所感”なのかと思い、都会に住んでいるとありがちな「人はいっぱいいるけど何とも言えない孤独感」のアンチテーゼなのではないかと思うのです。最近、都内でもスナックに再び注目が集まっているのもこんな背景があるのではないか。

突然ですがスタバのモバオに関して思ったことを書いてみる

ワンオブゼムのワタシではなく、顔の見える唯一無二のワタシを認識してもらえること。それがこれからの時代は付加価値なのではないか(大町市から脱線して申し訳ないですが、もう少しお付き合いください)。

それで少し思ったんですけど、わたくし、スタバで勉強することが多く(実は本稿も旅行先の新潟県上越のスタバで執筆中)、最近は便利だからモバイルオーダー(以下モバオ)をよく使うのです。都内のスタバってレジがとにかく混むので、電車内でモバオして、下車したら駅前のスタバに行って待たずにコーヒーを受け取って座席に座る、なんて行動パターンも増えました。実際、混雑回避のためか店舗側もモバオを推してますよね。

だけど昔のスタバって客側の立場からすると店員さんとの会話が楽しみだったりして、それが一定の常連さんをつかんでいる部分あると思うんですよね。わたくしは人見知りなので一言二言話すくらいですけど。

上越にて

でも、レジが混んでいればそんな会話も薄れていくし、待っている人たちの顧客満足も下がりかねない。だからモバオにシフトするんだけど、そうすると私の名前は「ジャワ*11」になっていて、マジックでメッセージも書かれることもなく、ただシールが貼ってあるだけ。つまりモバオ勢からすればスタバは自動販売機のように割高なコーヒーを買って、ただ単にスペースを売るだけの商売になっている恐れすらある(極論です。引き続きスタバはGold会員です)。まさにワタシはワンオブゼム。

これを地域経済の文脈に落とし込むと、従前のような会話を楽しみながら…というビジネスモデルは過過密が進む都市部では、客の集中・混雑によって成り立たなくなっている気がする。結果、効率ばかりが重視されるようになって、勉強やPCはこの時間開くな、なんて店舗も。スタバのようなシアトル系のセカンドウェーブコーヒーはそもそもそんな都市型に適合したビジネスモデルだったはずですが、最近はコーヒー界隈もサードウェーブ、フォースウェーブへのシフトだったり、一週回って純喫茶への回帰もみられており、消費者のし好の変化を表したものなのではないでしょうか。

翻って大町市。昭和の価値に令和世代が気づく頃

奥に進むと大町名店街の看板が見える。
これがねぇ、実に渋くて、趣があって、最高にいい雰囲気なんですよ。首都圏じゃ絶対になくなっていたであろう昭和の街並みが地方のスローな時空の中で残されていて、本当に最高に雰囲気がいい。昭和ノスタルジーマニアの皆さんならご存じなのかもしれませんが、まだ行ってない方はぜひ行きましょう。街を丸ごとタイムカプセルに閉じ込めたような素敵な空間です。

大町名店街

そんなことで感動していたら、横から大学生っぽい3人組が商店街をカメラでパシャパシャと撮っていて「おぉ、すげぇ!」なんて言っていました。どんなに巨額の資金を投入してもこの空間は再現できません。そこに息づく人々の長い営みと、この空間を守ってきた町の人たちの努力の結晶です。地方が都市に比べて持つ優位性、つまり効率性重視という価値観から離れ、長い間大切にしてきた文化や街並みの”ビンテージ性”がそこにはあるのです。

よくぞこの看板を残してくれた!

だってね、商店街の古びた衣料品店がね、露天にワゴンを出しているんですけど、すっかり日焼けした女性ものの下着が並べてあるんですけど、値札には350円とか書いてあるわけです。下手したら40年くらい売れ残っているんじゃない?ってものもあったりして、さすがにちょっとその余裕感はやばいぞと思ったほど。

時間の持つ意味を気づかせてくれた水の町、大町市

さて、色々と書きましたが、都市のように効率を求めると、とにかくすべての物事のサイクルが早い。流行とかブームと言ったりしますが、とにかく消費しつくして飽きたら終わりの繰り返し。それが都市の魅力でもあるわけですが、そんな行動原理を一度見直してみてもいいのではないでしょうか。

酷暑が続きますので、東京に疲れた皆さん、ぜひとも水の町大町市への訪問をご検討ください。ぜひとも泊まりで。

お読みいただきありがとうございました。

信濃大町駅にて


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