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地域経済と私⑤:俺の実家は田舎の楽器屋なんだ~地域を動かすニューエイジたち~

大学生の時の出会い

私は、東京都内の大学に通っていましたが、地方出身者の方もやはりそれなりに多くいました。その中で経営系のゼミに入っていたのですが、妙に馬が合う奴がいて、気づけばすぐに意気投合。ただ、お互いの出身地は知っていましたが、彼の実家の家業については知りませんでした。

当時、私は受験時代にハウスミュージックを聞きながら勉強することが多かったこともあり、割とハウスなどのクラブミュージックに親しんでいたこともあり、そのことを彼に話すと「よし、クラブに行こう!」となりました。

内心「クラブって怖いところだし、僕そんな陽キャじゃないし…」と思っていましたが、彼曰く「音楽好きが集まる音箱(比較的治安がいい音楽好きが集うイベント)なら大丈夫だよ」と教えてくれたので、渋谷のとあるクラブに行きました。

初のクラブはとにかく疲れた

人生であんな爆音を聞く事ってないよなと今でも思いますが、耳が慣れてくると妙な一体感があって、だんだん周囲との距離も近づいてきて、知ってる曲が流れると「いぇーい!」なんて騒いだりして。
でも帰る頃の明け方になるとさすがに眠気で辛かったですね。。。

そんな初のクラブデビューのあと、その後も彼から誘われる形で大沢伸一氏など著名なDJのイベントに参加したりもしました。

そして、ひょんなことからその友人の家に遊びに行ったところ、家の中にDJ機材がずらり!
おぉーすごいなぁ、なんて言いながら学生ならではの青春を満喫していました。

「俺の実家は地方の楽器屋なんだよ」

そんな彼と他愛もない話をしていた時に自分たちの実家の話になり、どうやら彼の実家は地元では有名な楽器屋さんらしく、いわば御曹司。どうりで音楽に明かるいわけだ…と合点がいきました。

というか、クラブに限らず、幅広く音楽文化を楽しみに行くスタイルがすごいなと思っていて、出自を聞いて全部納得しました。

私は、地方経済を、というか、もっとドミクロな視点で地方のシャッター街をどうしたらいいか、ということなどを学生自分から思案していたこともあり、お互いに議論が盛り上がりました。

彼は、学生時分から「音楽の力で地元を盛り上げたい」と語っていて、大学卒業後、社会勉強のために色々と遠回りもしたようですが、今は立派に家業を継いでいます。

そして、自社のことだけじゃなく、マチが倒れれば自分のイエも倒れるとの危機感から、音楽の力でマチを活性化しようと頑張っています。

地域を動かすニューエイジたち

バブル崩壊後の長期停滞に苦しんできた我が国でしたが、我々世代は大学全入時代の初期で、経済的にも比較的裕福な家庭が増えてきた時期でもありましたので、地方出身であっても都市部の大学に入学する方が多くなっていました。もちろんそれが地方から東京への流出を加速させた原因でもあるのですが、これが足元では意外に面白い動きが目立ってきているように思います。

東京を全身で経験した今の若旦那衆(=二代目、三代目の御曹司)は、地元を都市部と相対化することや、俯瞰視点でメタ認知することができる視座を持っていることに加え、スキルや知識、人脈も十分にありますし、何よりこの失われた30年で衰退していく地元を見てきているので、危機感が違います。

恐らくですが、過去にも前者のような視座を持った人はたくさんいたのでしょうが、後者のような強い危機感を持った人々が増えてきたことこそが現代の若旦那衆の大きな特徴であり、付加価値といっていいのではないでしょうか。

こうした方々が、今、地方で大きなダイナミズムを生み出し始めています。上述した私の親友のことも含め、もう少し具体的なお話をしていきたいと思いますが、それは私の移住および転職が完了した後にでも。

本日もご覧いただきありがとうございました。

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